何かの秘密が?
はたと周りの視線に気付いた男は、大きく息をつき、エバに礼を言う。
「―― 立ち会わなかった自分に腹が立ってるんだ。それに、この報告書をちゃんと読まなかった自分に。・・・スコットがこんなに細かく載せてくれてたのに、まったくおれは馬鹿だ」
みんなの端末に、レオンが報告書の資料画面を送る。
「・・・これに、何かの秘密でも?」
三体の骨がかろうじて身につけていた衣料の残骸と、車内に残っていた押収物の一覧に、マイクが疑問をなげる。
ザックがそれをみて思わず言った。
「なんだ?これ?傘の残骸?」
それは、番号の付けられた錆びた金属と黒い袋状のものが並んだ画像だった。
「資料番号で照らし合わせると・・・革靴か?これが?」
マイクが端末に目をよせる。
「靴?だって、この骨みたいで錆びてる金属は?あ、何かささったのか」
ザックの問いにスコットが答えるより先に、レオンの怒気を含む声が皆を黙らせた。
「刺さってるんじゃなくて、靴につけてるんだ!わざととがらせた金属をな!ジャスティン、この三人の中でリーダー格の男の写真はあるか?送ってくれ」
自分が怒鳴られたように身をすくめた男が端末を操作し、届いたそれを確認したレオンは、口をついてもれでた悪態をかろうじてのみこむと、大きな両手で顔を覆う。
真っ赤な顔の男が自分を落ち着かせるのに成功するまで、だれも口を開かなかった。




