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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
レオンの事件

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天国へのドライブ


 『科学捜査部』が怪しいところはないと判断をくだせば、《事故》として処理される。


 スコットは眼鏡のブリッジを指で押し上げた。


「 『事故』か、と聞かれれば、ぼくはなんとも答えられません。先月見つかったのですが、科捜部の捜査はほぼ終わってます。ただ、《状況》が気になったので早めにみなさんにお知らせしようかと・・・。 車が湖底に沈んだのは二年以上前のことで、そこから見つかった三人は、軽犯罪部の常連の若者たちでした。 湖からこうした車はときどきあがりますが、今回のこれは、クスリを服用しての天国へのドライブだったのか、クスリの売買でのトラブルかは、わからないですね。 科捜部からは、ドアはロックされてなかったし、体を拘束されていた後もなし。シートの下からクスリの入ったビニール袋が見つかっています。残っていた骨には骨折や陥没あとは見当たらないってことです」


 困ったようなスコットの視線を受けた男が「軽犯罪部のジャスティン・ホースだ」とザックに名乗ってあとを続けた。

 会議が始まる前、ザックと交換されそうになり、コーヒーにむせた男だ。


「車が沈んでたのは、時々不法侵入不審車両が見つかる近くだ。整備された道路からだいぶ離れてる場所だから、隠れて楽しんでて、運転席の男が急にハイになってアクセルを踏み込んじまったってとこだろ。―― 車は盗難じゃなく、この中にいた男の持ち物だった。身元は遺体が身につけてた服の残骸にあったサイフですぐに判明。お友達も、イモづる式にわかった。 二年以上行方不明だったにもかかわらず、三人とも捜索依頼はでてなかった。どの家族も、十代の後半から、『自立』させていて、気に留めていなかったってことだ。運転してた男は『自立』してから、クスリで一回、窃盗で一回、恐喝で二回、暴行で五回、うちで世話してる。 どれも証拠不十分と相手が訴えを取り下げてすぐに返してるけどな」

 どこか軽さを漂わせるしゃべり方で、最後はエバにほほえみかけた。

 シェパードに小声で『あんたが言うか』と言ってにらまれたこの男はここまでの会話には積極的に参加せず、つまらなさそうにコーヒーばかり飲んでいた。

 疲れたような眼の下のくまが濃く、いっけん無精ひげのような髭はマイクとは違い、実は細かく手がいれてあるようだとザックはみてとる。

 


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