空気いれかえ
会議室の面々に、いつものように片手をあげてあいさつをしながら、ドアわくにもたれる。
「きみがこの会議に出ていても進展はないだろう?あとは彼らに任せておきたまえ。会議内容はエバが誰にでもわかるようきれいにまとめてくれる」
いたずらっぽい笑みをむけられた女が、もちろんです、とうけあい、困ったように眉を下げて見せた。
「でも長官、今回は、ちょっと気になる発言が多くて、前置きが長くなりそうなんですが?」
「かまわんよ。わたしはエバの公平さを信用してるからね。さあシェパード、早く来たまえ、わたしもすぐ出なくちゃならない」
いいおくと、さっさとドアからはなれた。
「 長官!っくそ、エバ、さっきわたしが言ったことを忘れるな、いいか?きみはわたしたち警察組織の人間なんだぞ! ― 長官!待ってください!」
あせって椅子の足にひっかかりながら出ていった男をわらって見送り、「さて」と、ノアが手を打ち合わせる。
「―― まず、空気を入れ替えて、コーヒーでも飲みなおそうじゃないか?」
 




