ぶっ壊れてる?
準備ランプがともり、並んだ男達が腕をあげかまえる。
ランプが点滅し、当てるための的が出た。
「・・・・・・・」
防音がしっかしりして、小さな音しかきこえない部屋で、ザックは口をあけてしまう。
学校と違うのはわかっている。訓練期間にその違いはしっかり叩き込まれている。
だげど、しかし・・・。
「なあ・・・、ここの的、ぶっ壊れてんの?」
だって、おかしいではないか。
射撃の腕前をみるための的は、奥から手前にきたり、右から左に抜けていったりするものだ。
動くそれを、どれだけ正確に打ち抜けるかみるのだから。
「いや。あれは、あの出かたでいいんだよ」
ウィルが微笑みながら見上げた画面を指差した。
『 移動時間 :八秒 』
『 的数 :十二 』
八秒間に、たくさんの的が縦に横にでたらめみたいに出て、めちゃくちゃな印象だった。
それに、どう見ても的は十二以上でてきている、とザックが言えば、撃ってはいけない的の数は入ってないからね、とのんびりウィルが答える。
「実際に撃ち合って、あんなにお行儀よく襲ってくるやつらなんていねえからな。こういうのが、正解だろ?」
「・・・・・・」
自分より年若くみえるケンに聞かれても、実戦にまだでたこともないザックには、何も答えられなかった。




