ここから録音
ふいに何かに気付いた少年に、教会で、乱交パーティーって捕まるの?と質問され、一瞬言葉につまる。
「いや、・・・私有地なわけだし、合意なうえだろうし・・・。まさか、きみも呼ばれたわけじゃないんだろう?」
「おれはまだ。十八歳にならないと、呼ばれないんだ。ナタリは一回行ったあとは嫌だって言って、行かなかったみたいだけど」
「断ってもいいのかい?」
「問題ないよ。無理強いはないんだ。―― それに、ナタリには・・大事に思ってる人がいたし・・」
ウィルとルイは顔を見合わせた。
「それなんだけど、きみのお姉さん、本当に恋人がいたのかい?」
その人についてなにか聞いたことあるかい?と聞くウィルに、少年は怒った声で「恋人じゃない」とこたえた。
「え?でも、『大事に思ってる』って・・・あ、まだ、恋人じゃないってことかな?」
ちがうって、と大きく手をふった少年は、ベッドではねてルイをゆびさした。
「 こっから、録音していいよ。 ―― あのさ、ナタリがすごいソワソワして出かけることがふえたんだ。行き先はいわないし、誰と会ってるかも言わない。連絡もとれない外泊が増えて、父さんがいいかげん怒って、一週間部屋に閉じ込められたこともある」
それは、警察官のつくった資料にも書かれていたことだ。




