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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 前編  作者: ぽすしち
わかりたい ナタリ

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本物じゃない


「・・・ふつう、『聖父さま』は聖なる清い存在だから、結婚しないだろ?」

「まあ、教えと儀式を守るための人で、みんなを代表して犠牲になったって考え方もあるね」

「うちの教会の《聖父さま》は、奥さんも子どももいるよ」

「はあ?」

「だから、『本物』じゃないんだ」



 少年が言おうとしてることがつかめたルイが、「中身が違うんだね?」と本棚からぬきとった一冊をじっくりとながめた。

 聖堂教の《おしえ》がかかれた、《聖辞典》 だ。


「これは『本物』の聖辞典だけど。きみのお姉さん、すごい勉強家みたいだね。ここに収まった本みんなに、付箋がたくさんはられているよ。これも、・・・」同じように付箋がはみでたそのぶあつい本をめくりながらルイは「ふむ」と顎を指でかいた。




「―― ということは?さっきの、あの立派な祭壇も、飾られた《光》の象徴も、すべて『聖堂教』をあらわしてるけど、ちがう宗教ってこと?」


 ウィルの問いに、少年が、あごを引く。


「だけど、《うちの教会》のみんな、・・・誰も何もいわないし、自分たちの信仰は、『新派の聖堂教』だなんて、堂々と嘘をついてるんだ」


 《新派》だろうと《旧派》だろうと、聖堂教の『聖父』は、結婚しない。



「それは・・・移民する前に信仰していたものを、『聖堂教』ってことにして、信仰してるってことなのかい?」


「わかんない。・・・うちが行く教会の信徒はみんな移民で、《聖父》さんはすっごい年寄なんだけど、自分たちの神様こそ『この地のほんとうの神様』だって言ってる」




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