素敵な祭壇
「―― あちらの暖炉の上にある祭壇、素敵ですね」
突然、ルイにほめられた家族はいっせいにそれを振り向く。
少年だけが、首を振ってゆがめた顔をうつむけたのを、ウィルはみつめた。
「ええ。―― うちは、『移民』ですからね。私の父からこの《聖堂教》になったものですから、家を建てるときにこの祭壇をこしらえました」
「ナタリが全部見つかったので、《聖父さま》が、改めて葬儀をしてくださって・・・。本当に感謝しています」
そろえたような両親の言葉に、いらついた気配の少年が立ち上がる。
待ち構えていたように、ウィルが声をかけた。
「じゃあ、きみのお姉さんの部屋を見せてもらえるかい?」
「 ――――― 」
少年の緊張した顔を見つめ、ジャンがルイに目配せした。
「じゃあ、そっちは頼む。―― では、ご両親にうかがいますが、彼女が亡くなる前の二年ほどで、急に今までの生活を変えた、ということはありませんでしたか?たとえば、今まで平気で食べていたものを食べなくなったとか、――― 」




