こんな僕が、好きになってもいいですか?
昔から、兎に角僕は自分に自信がない。
顔は平凡だし、勉強やスポーツは苦手だし。得意なことや、人に自慢できることなんて何一つ無い。
取り柄の無い、つまらない人間で。
それなのに。
君は、そんな僕に好意を持ってくれてて。
こんな僕に毎日のように「好き」って言ってくれて。
それなのに僕は、君のくれた「好き」を偽りとして聞き流していた。
どうせ、僕を騙して笑うつもりなんだろ?
どうせ、僕を騙してお金とか奪い取る目的とかなんかだろ?
そんなことばかり考えて、君が僕にくれた言葉を無視していた。
けど、ある日君は怒った。
「どうせ、偽りの好意なんだろ」
って、僕が君に言ってしまったら。
「一生懸命なあなたのことが、本当に好きなの」
泣きながら、君は僕に怒った。
それから君は、僕に近づかなくなった。
君の「好き」に偽りなんてなかったのに。
卑屈で自信の無い僕のせいで、君をひどく傷つけてしまった。
君が居なくなって。
君の微笑みが見られなくなって。
今更、僕も君のことが「好き」って気づいて。
もう、無理かもしれないけど。
謝っても、無駄なのかもしれないけど。
今更「僕も君のことが好きです」なんて言っても遅いのかもしれないけど。
君に言いたくなって。
君に会いたくなって。
君を探してさがして。
───────────
君はまた、僕の前に現れた。
「やっぱり、あなたのことが好きで諦めきれない」
僕が謝る前に、君は涙を溢しながらそう言った。
…どうして?
何でこんな僕のこと、こんなに好きになれるの?
僕の良さなんて、僕には全くわからない。
寧ろ、僕は僕のことが大嫌いで。
それなのに君は、こんな僕のことを───
僕は最大限の謝罪を君にして。そして。
「こんな僕だけど…君のこと、好きになっていいのかな?…いや、そうじゃない。僕も、君のことが…好きです。君の傍に居させてください」
僕がそう言うと、君は泣き笑いながら僕の胸に飛び込んだ。
妻になった今も、君は僕にたくさんの「好き」をくれる。
僕は今でもあまり自分に自信はない…けど、こんなに素敵な妻が傍に居ることは、僕の大きな自信で自慢だ。
こんな僕を好きになってくれて、ありがとう。
いや「こんな」は、もう卒業かな?
僕を好きになってくれて、ありがとう。
愛してるよ。
詩にしようとしたら、まさかの短編小説になってしまいました。
拙作に触れてくださり、ありがとうございました。