ソードマスター
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お茶会から公爵家に帰ったあと、真っ先にお父様の所へ外出許可を貰いに行った。反対されるかな?と思っていたけれど、少し難しい顔をしながら許可してくれた。ただし――…
「ソードマスターを2人以上連れていくこと…か」
ソードマスターは、剣のすごく強い人で、沢山を修行して、素質がないとなることができないすごい人のこと。その境地に到れる人は極わずかと聞いたのに、ソルステラ公爵家には、4人いるそうだ。その人達が、いま目の前にいる。
「姫様の護衛をさせていただきます、ソルステラ騎士団所属、タッカーと申します!」
ガタイの良い男の人がそう言って、頭を下げた。ガタイは良いけれど、明るそうな雰囲気と、絶やさない笑顔のおかげで怖さはない。いかにも頼れるお兄ちゃんという感じの人だ。
「同じく、ソルステラ騎士団所属、アリンと申します」
細身の女の人が頭を下げる。彼女も明るい雰囲気だが、少し緊張してるのか、笑顔が少し強ばっている。私一応、公爵令嬢だものね。緊張させてごめんなさいと思いつつ、女性騎士で、しかもソードマスターってすごくかっこいいなと思う。
「…おっ……同じく……ソルっ…ステラ騎士団所属のっ……ハトリと申しまふっ!」
……最後噛んじゃったね。“気にしないで”なんて言った方が気にしちゃうよね?噛んだのが恥ずかしすぎて涙目になっちゃってる……ど、どう反応すれば……タッカーさんとアリンさんが苦笑いしてるから、いつものことのようね。じゃあ、何も無かったかのように私も自己紹介しちゃおう……!!
「ソルステラ・フォン・セレスティアと申します。これからよろしくね、3人とも」
そう言って笑いかける。すると、1人は嬉しそうに笑い返してくれ、もう1人は優しく微笑んでくれ、もう1人は…目に涙をためながらも、会釈してくれた。
問題は、誰を連れていくかということ。2人以上ということは3人とも連れて行ってもいいのだけど、それはなんか申し訳ないというか……
「…2人以上でということでしたから、私たち3人で姫様の護衛を致しますね」
そんな私の考えが分かってしまったのか、タッカーさんに笑顔で一刀両断された。
「はい……」
そして、思わず笑顔の圧に押されて頷いてしまった。ぐぬぬ……
「あ…それなら、もう1人連れて行っても……いい?」
そう聞くと、3人がしっかりと頷いてくれる。
「わ…ありがとう!」
嬉しくてついにこにこしてしまう。1人でソードマスター3人連れて行く勇気はないから、彼を巻き込んで、2人でソードマスター3人を護衛にしよう!
いまから、お出かけが楽しみ……!!
*
一方その頃のお父様
「……シル…セレに影を何人付けようか……」
机に頬杖をつきながら、難しい顔をして真剣に悩んでいた。
「……ソードマスター3人もいるのですが」
「それだけじゃ足りん」
王家の方の護衛でも、お忍びの時はソードマスター1人なのにも関わらず3人つけてもまだ足りないと言う主に呆れる。
「……はいはい」
そう言いながら、しょがなさげにため息をついているが、瞳は優しげに細められていた。