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第13話 リンゴの木の近く、少女と出会う

 軽く匂いを落としたあと、とりあえず安全層を見回ることにした。安全層は他の層と違って螺旋状じゃないし、そもそも明るいし、モンスターもいないし、かなり異質みたいだ。


「何かのサンプル持って帰りたいな……」


 思わず呟くと、隣でミヤビが不思議そうな顔をして俺を見た。1回瞬きしてから、また前を向く。


「食べられるものと、寝る場所探しますかね」

「だなぁ。また洞窟で寝るか、もしくは木で小屋でも作るかどうする?」

「私はどっちでもいいかな。安心して寝れるだけで幸せだし、それにお腹空いたし」

「だな」


 ミヤビはずっとお腹空いたって言ってる気がするけど。

 

「久しぶりに甘いもの食べたいから、やっぱり果物探しましょう! リンゴとかないかな……」

「こんだけ木があれば、リンゴの木が生えててもおかしくないんだけどな。気候的には生えてそうだし」

「気候……」

「あぁ。ここちょっと肌寒いからな。感覚的にだけど、リンゴはよく育つと思うよ」

「詳しいんだね」

「整備士の知識だよ」

「ほんとにそれ整備士の知識ですか?」


 ちょっとだけ苦笑いしたような顔をして、くつくつ笑う。初めて見る表情だ。

 いつもより大人っぽい……ような気もする。


「……あっ、あれじゃないですか。リンゴ」


 ハハッと笑い続けるミヤビはふと顔を上げて、目の前の森を指した。いや、正確には森の奥。

 俺もつられて、ミヤビから目線を上げる。

 確かに、ちらほら赤が見える気もする。


「食べるか」

「早く行こう!」


 ミヤビは嬉しそうに頷いた。腕を引っ張って早歩きになるところはまだ子供っぽいような気がするけど。


「うわ〜ん久しぶりだな甘いもの。蜜入ってたらいい、な……」


 はしゃぎ声を上げたミヤビはリンゴの木の少し手前で硬直した。隣で俺も立ち止まる。


「ああああの、貴方たち、誰ですか……?」


 リンゴの木に隠れるようにして、ワイン色のローブを羽織った、小さな女の子がいたからだ。

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