表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

かがみよかがみ

かがみよかがみ2

「かがみよかがみよかがみさん 世界で一番美しいのはだあれ」が持ちネタのお妃様のところにお友達が悩み相談にやってきました。童話の登場人物から思いついた小話です。人様を悪く言う言葉も出てきますので、「残酷な描写あり」にしました。苦手な方はご注意ください。

「かがみよかがみかがみさん

世界で一番美しいのはだあれ?」


「お妃様、

世界で一番美しいのはあなたです!」


鏡のこっち側では・・・


ピロリーン

お妃様はスマホをチラ見。

お友達からSMSです。

「林檎様、

聞いてほしいことがありますの。

今日はそちらへお伺いしてよろしいでしょうか・・・

グッスン( ;∀;)」


お妃様は林檎というお名前のようです。


「糸車様、

おはようございます。

今日はいかがなされました。」


お友達は糸車というお名前のようです。


「林檎様、

些細なことなんですの。

お恥ずかしいですわ。

でも、なんだか気力がわかないんですの。」


「糸車様!お気を確かに!お話をお伺いしたいです。

よろしかったら私のほうへおいでくださいませ。」


最後の一文を送信し終わるや否や、

ぽん!

弾ける音と白い煙がしゅわわん、

林檎お妃のお部屋にご婦人が現れました。


「林檎様~!」

「糸車様~!大丈夫ですか?

いったい何があったのですか?」


「ねえねえきいてよきいてよ。

仲間外れよ!イケズですよ!妖精組合の先輩軽視よ!」


お妃様は紙とボールペンを用意しました。

「状況を正確に把握するために、メモを取ってもよろしいですか?」

「はい。うちの国の王様にお姫様が生まれたのは御存知かしら?」

「はい(えっ、初耳?私、情報疎くなってます?(-_-;))もちろん存じ上げておりますわ。」

「私たち王室付き妖精は王家にお子様が誕生すると、お子様におまじないのプレゼントをするのが伝統なんですの。」

「まあ、素敵ですわ!」

「そう!素敵で名誉なことなのよ!」


ご婦人糸車様は妖精なんですね。


妖精糸車様はお姫様誕生のお祝いの席にうっかり呼び忘れられたというのです。


(さて、予想されがちな対処法のひとつに

『①王宮に怒鳴り込んでお姫様に呪いをかけて15年後に呪いを果たす。』

というのがありそうですが、

まだまだほかにやりようはありそうですよね。たとえば・・・

『②日を改めて、妖精組合の話の分かりそうな人に手紙などをしたため、お姫様を祝う機会を取り持ってほしいと相談する。』

といった、穏当なやり方です。)


「呼び忘れるなんて、がっがりですわね。」


「ですよね、ですよね。」


「妖精のお知り合いで相談できる方は?」


「もちろん私だっていい大人です。

妖精組合の知り合いに、なんで私が呼ばれなかったのって聞いたわよ。ぜひお祝いしたいから、何とか取り次いでいただけませんかって、打診もしてみましたわよ。」


「そうですか・・・。」


「そうしたら、なぜか数日のうちに『おにかいらんばん(仮)』に『オワコン妖精、お祝いはぶられ逆切れ、呪い!』なんてスレッドが立ち上がっているじゃありませんか!?」


「おにかいらんばん(仮)」は、ご近所問題・家族内のごたごた等、人間関係のこじれ等が虚実入り乱れてアップされているインターネット上の掲示板。対人関係のあるあるお悩みが多いので、関係ない話でも自分のことに思えることもあるあるです。


「まあまあ、糸車様、落ち着いてくださいませ。」


お妃の林檎様はスマホで「おにかいらんばん(仮)」を検索し、「オワコン妖精、お祝いはぶられ逆切れ、呪い!」というスレッドが☆31に達しているのを見つけて

「これかしら?」

と、妖精糸車様に見せました。


「それですわ。これが落ち着いていられますか。呼び忘れられて面目丸つぶれで困っているのは私なのに、私と名指しはされてないけど呼ばれなかった妖精がお姫様に呪いをかけて、『15年後に呪いが完成する、おっほっほ』と捨て台詞を吐いたことになっていて『まあなんて心の曲がった妖精?』『年甲斐がなさすぎますことよ』って、非難の集中砲火を浴びていますのよ。誓って、私は呪いなんてかけておりません。」


「まだ、糸車様の事例が利用されたとは限りませんし、どなたかががやったとか悪意があったとか、今の段階で決めつけるのは得策ではないかもしれませんよ。」

「そうかしら。」

憤懣やるかたない妖精糸車さん。

「全然関係ない話かもしれませんし、だれか心無い人が作り話をしているだけだったとしたら、腹を立てるだけ損というもの。お話はお聞きしますが、あわてて仕返しとかしないでくださいよ。」

「このスレッドを真に受けて、王家が私を反逆者と誤解しないかも心配なんですけど・・・。」

(申し遅れましたが、妖精糸車様の国とお妃林檎様の国は別々です。)

「確かに心配ですわね。その誤解は解いたほうがよろしいかもしれませんわね。」


妖精糸車様は心配のあまりやや憔悴のご様子。


お妃様は昨日隠し厨でこしらえたアップルパイを嬉しそうに持ってきて、ドーンとテーブルに載せました。

「見て見て!昨日作っちゃった!一人じゃ食べきれないから手伝ってくださらない?」

「おお!さすが林檎様!」


お妃林檎と妖精糸車は

何のためにここにいるのかすっかり忘れて

アップルパイを食べまくるのでありました。


めでたしめでたし!?


この二人が如何様に「おにかいらんばん(仮)」スレッドの誤解を解くかは・・・?

この続きはあるかもしれませんし、ないかもしれません・・・あしからず・・・。










童話の登場人物は魅力的。

悪役にされている人に感情移入しがちな今日この頃です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あはは、童話なのに身近ですね~!凄い。 ワタクシも悪役側に心奪われがちですよ、年齢かしらん(^_^;) 立ち位置がかわれば良し悪しが変わる。 悪役は必ずしも悪ではなく、(←勿論キ○ガイじ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ