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推しと世界崩壊

 魔王さんへの返信は熟考した結果シンプルにした。あまり長すぎて気持ち悪がられるのも嫌だし、あくまで平静を保ち、感想をもらい慣れている風でフランクに返信する。そうする事で今後も魔王さんが感想を書きやすくする、これがマナーというものだろう。



《どもども魔王さんチース。エルっす、読んでくれてちょりんす。ペムッチ推しは分かりみ深いっす。多分40話から43話にかけてのぶどう酒共同作成で心持ってかれたのかな? 自分で書いててなんだけど分かるわそれ分かるわー。あれはクロウが農園のスキルを使ってぶどう酒作ろうとする所をペムッチがビシッとね、このぶどう酒は自分で作らなければ意味がないの、さぁその薄汚い手をどけて、ってね。初めてクロウのスキルが否定される渾身のシリーズなんすわ。あ、ちなみにペムッチ関連はこの後凄い展開考えてるんで、もう頭の中でペムッチ動き出してるんで、そこんとこ期待してもらって大丈夫っすよ。あ、あといつでも感想オールオッケーなんで気にせず絡んで来て。やーなんか魔王さんとは気が合いそうっすわ。これからも頑張りまっす。ではではまた》



 ふう、まあこんなもんだろう。

 俺は何度も失礼がないか読み返した上で魔王さんへの返信ボタンを押した。


「さて、これは忙しくなるぞぉ」


 なんといっても期待してくれる読者がいるからな。これは更新頻度を増やすか? いや感想でも書いた通り折角だからペムッチメインの話を早速作っていこうかな。うん、そうだ、そうしよう。


 その思いはその後魔王さんからの返信への返事が返って来てより一層強固なものとなる。



《エルさん。返事ありがとうございます。まさか返事貰えるとは思ってなかったのでびっくりしています。エルさんが仰るとおりぶどう酒関連の話で完全にペムッチにどっぷり嵌ってしまいました(恥ずかしい)。

ペムッチ関連の話も楽しみにしています。それではお身体に気をつけて執筆頑張ってください》魔王



 ふむふむ。なんと礼儀正しい人だ。これは早く書いて喜ばせてあげないとな! 俺はペムッチ編とタイトルをつけ全15話構想の話を投稿。内容はこうだ。


 ある日ペムッチが盗賊に拐われてしまう、それをクロウが颯爽と現れて助ける、しかし未遂に終わったとはいえすでに凌辱の手前までいっておりペムッチは心に深い傷を負ってしまう。そこでクロウはあの日作ったぶどう酒をペムッチにプレゼントするんだ、そしてそれは農園によるスキルではなく、自分の手で心を込めて作ったクロウにとって初めての作品。ペムッチはそれに気付き、涙し、心を取り戻す。


「か、完璧だ。過去の伏線も消化した完璧な仕上がり...これは魔王さんも喜ぶぞ!」


 


 

 ......そしてペムッチ編全15話を投稿し終えたあと、魔王さんからは一言だけ感想が来ていた。



《ペムッチの傷は消えない。ペムッチが泣かなければいけないこんな世界、もう無くなってしまえばいい》魔王



 翌日、全世界の勇者、冒険者に緊急クエストが走った。魔王軍全軍が進撃、世界滅亡の危機。ただちに各地区の民を守れ...と。

 

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