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────はい、回想終わり。
それと同時に私の方も一区切りついた。
「お客様、いかがでしょうか」
担当してくれたスタッフさんに声を掛けられて、私は瞼をゆっくりと持ち上げる。
大きな鏡に映る私の背後に、爽やかなスマイルが眩しいお兄さんとわくわくした様子のオネエさん。
「アラアラまあまあ! 素敵! モトコ、すっごく可愛くなったじゃないのよぉ」
「…………うわぁ」
試着室の中じゃないから全身は映ってない。
大はしゃぎするマルスに対し、銀色っぽいケープを着せられた私は自身に起きた凄まじい進化っぷりに言葉が出てこなかった。
(……これ、本当に私?)
進化の過程をこの目で確かに見ていた筈なのに、とても信じられない。
今まで激安カットで済ませていた長い髪は肩のあたりで整えられ、美容師のお兄さんの手によってふわふわしたアレンジを加えられている。
すごい、ふわふわ。めちゃくちゃ、ふわふわ。とにかくふわっふわっしてる!
適当にやっていたからムラだらけだった髪色も、斑茶色から綺麗な栗色に変わっていた。
美容師さんって、すごいんだね!(語彙力喪失中)
「上手なのね、アナタ」
「き、恐縮です……」
「今度、アタシも美しくしてくださる? アナタの──この綺麗な指先で、ね? フフッ」
「そ、そんな……お客様はそのままでも充分お美しいです……」
自分に見惚れていた間にマルスが妖艶な微笑みと共にイケメン美容師さんへ迫っていた。
気のせいか声音まで女性よりな感じにしているから、お兄さんの目にはきっと美女に見えているんだろう。
こう言うと語弊があるかもしれないけど、女慣れしてそうな感じのイケメンさんもマルスの美貌を前にしてたじたじになっている。
「アラ、そんなに顔を赤くしちゃって。お熱でもあるのかしら?」
「あっ、いや、これは熱なんかじゃ」
「フフッ、じゃあどうしたのかしら……? なんだか初々しいわね、食べたくなっちゃう」
「あっ……お客様……っ」
「ストップストップストーップ!」
段々キスでもしそうなくらいの距離までマルスが迫ったところで慌てて止めに入った。
少女漫画で例えるならエフェクトで薔薇が舞ってそうな空気になってたし! ほら、あるじゃん。高鳴る胸トゥンク、見つめ合う二人ドキドキ、みたいな。
とにかくそんな感じだったから顔が茹でタコ状態の美容師さんからマルスを引っ剥がした。
「ウフフ、冗談よ」
「冗談に見えないから!」
BでLな展開も好物ですけどね! アッ、見た目はお姉さんだった!
でもここ、美容院ですから。営業中のね!
そんなこんなでお会計を終え、預けていた荷物の数々を受け取って出たら、外はすっかり暗くなっていた。
もう秋だし。あっという間に冬が来そうだけど。ひとつの季節が過ぎるのって本当に早いね。
「実に有意義な時間だったわぁ、ウフフッ」
「うん、そうだね……」
マルスの言葉に私もこくりと頷く。
ここまでが怒涛過ぎて疲れたけど、美容院でのビフォーアフターには私も納得している。
本当にすごい。髪型ひとつで雰囲気変わるもんだねぇ、あとメイクもしてもらっちゃったし!
一応やり方を教わったけど、毎回やれる自信はもちろんありません。
「さて……」
るるるーと鼻歌を口ずさむマルスがジャケットからスマホを取り出して楽しげに操作する。ちなみに私のスマホなんだけど。
結局私のスマホは人質にされたまま、マルスの手の中。
ああ、愛しのスマホよ、暫くの辛抱だからね。
私、絶対あなたを取り戻してみせるから。
まあ、アプリも消されてないし不必要に私のスマホいじったりはしてないみたいだからいいんだけどね。
「……ねぇ、あの人すっごく美人だね。外国人モデルさんかな?」
「わっ、ホントだぁ。すっごく綺麗な人……!」
スマホをいじるマルスの隣で佇んでいると通りすがりの会話が聞こえてきた。
マルスを見たいのかゆっくりと歩く女性二人組からだ。
つられて私もマルスを見る。
マルスは何やら調べごとをしているのか、女性達の会話に気づいてないみたいだ。
(……確かにすっごく綺麗だよね、マルスって)
まるでサファイアのような青の眼差し。
目鼻立ちがくっきりしていて、確かに外国人風な雰囲気がある。
中性的な顔をしているから現在の服装と合わせて見ても今のマルスは女性にしか見えない。
手脚も長い。スリムな長身。まじうらやま。
……そりゃ私のスキニージーンズが履けてもおかしくないね。その事実に何とも言えない気持ちになるけど。
あ、ちなみに全部私が大事に持ってた服です。ええ、買ったはいいけど着こなせないから大事にしまっておいたシリーズです! ブーツは違うけど。
まあ、とにかくマルスは目立っていた。
買い物中も道行く人が振り返っていたし、今だって目の前を通り過ぎる誰もがマルスの方を必ず見ていく。
目立つからその紫髪をどうにかして! って頼んだから力を使って黒髪になってくれたんだけど(汚れた天力でもそれくらいのことは出来るらしい)、結局こうして注目を集めてるんだから無意味だったかもな。
「うわー、すっごい美人……もしかしてモデル?」
「隣の女の子もモデルさんなのかな?」
ふとそんな声が聞こえた。
学校帰りなのか、女子高生二人組だった。
(私もモデルと思われてる……!?)
確かにイメチェンしたばかりだし、今の私は確かにちょっぴりすごく可愛くなったかもなんて思ったりしたけど!
そんなモデルだなんて……悪くない気分だ。
「えー、隣の子は付き人じゃない? なんか荷物いっぱい持ってるし」
「あ、ホントだ。じゃあ違うね」
「ていうか、美人さんとぜんっぜん雰囲気違うしね」
内心ニヤけていたらがっくりきた。
ですよねー、やっぱりそうですよねー。
めちゃくちゃお綺麗なマルスの前では誰もが霞んで見えるし。
イメチェン後の私なんかじゃ月とスッポンの差がある。敵いませんって。
「そういえばずっと荷物持たせっぱなしだったわね。貸しなさい」
「……え?」
調べ物はもういいのか、不意にマルスが声をかけてきた。
突然手を差し出されて私は困惑する。
「かよわいオンナノコに荷物をもたせるなんてダメ。アタシとしたことがうっかりしてたわ!」
「い、いや、いいよ……。一応自分が買ったものだし」
「いいから貸しなさいよ、ほら」
「え、でも……」
「貸しなさい?」
「……お願いします」
遠慮していたら野太い声で控え目に凄まれたので、私は大人しく持っていたショップバッグの数々をマルスに手渡した。
「……オンナノコなんだから、オトコには素直に甘えていいのよ」
「え?」
「ほら、行くわよ!」
溜息混じりな呟きが聞こえた気がするんだけど、でもマルスが黒髪を華麗に靡かせて歩き出すもんだから聞き返せなかった。
優雅に歩いていくマルスを私も慌てて追いかける。
さらさらと黒髪が左右に揺れる、マルスの後ろ姿。
先程の女子高生の横を通り過ぎ、その際に意味深な微笑みを投げていく。その美しさに女子高生は揃ってうっとりとしていた。
(もしかして、さっきの会話聞こえてたのかな……)
それで荷物持とうとしてくれたのだろうか。
あんなにグイグイグイグイと私を連れ回してたくせに、突然気なんて遣ってきちゃって。
私の妄想かもしれないし優しさなんかじゃないかもしれないけど、なんだか心の奥が擽ったいような気がした。
そうして優雅に歩き続けるマルスの後ろに続く。
堂々としているマルスに見惚れながら、すれ違う人達は皆道を譲る。
こういう感じのって、何に例えるんだっけ? 自然と道が開かれて……あっ、モーセの海割り?
マルスの後ろ姿を眺めながら歩いていると交差点に出た。歩行者信号が赤なので並んで立ち止まる。
ここを渡って左へ行けば駅がある。
(なんか至るところがスースーする……)
秋の澄んだ風が露出している素肌を撫でていく。
肌寒さに視線を落とせば、ストッキングにショートブーツを履いた私の足。
朝はジーンズを履いていたんだけど、今は買ったばかりのワンピース(もちろんマルスセレクト)を着ているから脱いで紙袋の中に放り込んである。
ワンピースなんていつ以来だろう。久しぶりなので、下半身がなんだか心許ない。
髪も背中に掛かっていた長さを肩上まで切ったから、首周りがスースーする。
でも軽くなったのでこれはこれで気持ちいい。しかもふわふわだし!
しかし一番スースーしているのは私のお財布なんだな。
誰か私の懐を温めてくれませんか。
(でもこれでやっと帰れる……)
推しへのお小遣い(という名の課金)を失くし、がっくりしている私はその事実にほっと息をつく。
だってそうでしょ?
朝からコンタクトにするために近くの販売店へ行き検査のために眼科、そして販売店に戻ってレンズを受け取り装着。
その後電車に乗ってデパートへ移動。
それから二時間くらい着せ替え人形と化し、最後は評判の良い美容院へ。行く前に電話で聞いたらタイミングよくキャンセル出たから是非どうぞと言ってもらえて。
……まあ、マルスが電話したんだけどね。私のスマホで。
周囲の人が歩き出す。
信号はいつの間にか青に変わっていて、先に歩き始めていたマルスから一歩遅れて私も横断歩道を渡る。
ようやく帰路につける安心感から私の気分はほんの少し上昇していた。
早く家に帰ってご飯食べてゆっくりしたい。あわよくばスマホを返してもらえたりしないかな、なんて。
横断歩道を渡り切り、私は当然駅がある左へと向かう。
「────ちょっと、どこへ行くのよ」
「ぅぐえ」
襟首を掴まれて、カエルが潰れたような声が出た。
こんな表現初めて使ったよ。
「な、なに……?」
「ナニじゃないわよ。どこに行こうとしてるのよ」
「えっ、どこって駅だけど……」
「……アナタ、もしかして帰るつもりだったんじゃないでしょうね?」
「え……そうだけど……」
「はぁぁあん?」
マルスさん、マルスさん! 地が出てます! 出てますって!
美しいお顔がヤンキーばりに歪んでますよ!
凄んでくるマルスに私は歩道の端っこに追いやられる。
ビルの壁に背中がくっついたところでマルスの手が私の横に置かれた。
はい、壁ドンってやつですね。
マルスの美貌が至近距離にあって、ついドキッとしてしまう。
「ねぇ、今日は何のためにモトコを可愛くしたと思ってるのよ」
「えっと……私をオシャレに目覚めさせるため?」
「────カレシを作るために決まってるでしょうが! まあ、それもあるんだけれどね。フフッ」
「で、でも今日は荷物もいっぱいだし……疲れたし……」
「“善は急げ”ってことわざがあるでしょう? 今のモトコなら、間違いなくアナタの可愛さに惹かれるオトコ続出よ! モテモテよ! 今やらなくていつやるのよ!」
──今でしょ? なんて、言わないよ絶対。
つまり、イメチェンしたてで普段より数倍数百倍可愛くなってる今が恋活チャンスということらしい。
確かに、メイクも服も髪型もばっちりだけどさ!
「日本のことわざを持ち出されてもちょっと急過ぎない!? ていうかことわざまで把握してるとか本当に人間大好きだね!?」
「人間観察歴ウン何年を舐めないでちょうだい、ウフフッ」
……自分で濁してたけど、この堕天使さん一体何年くらいストハリの追っかけやってたんだろう。
ていうか本当にそれまでよくバレなかったね!?
天使より堕天使の方が性に合ってるんじゃないでしょうか、マルスさん。
「調べたら今日この先のレストランでパーティーやってるらしいのよ。飛び入り参加オッケーみたいだから行きましょ!」
「えぇ!? パーティーって、ちょ、いきなりハードルが高過ぎない!?」
「恋はガンガンいくものよ! 大丈夫、アタシもついてるから!」
マルスもついてくって、どっち側で参加するの!?
マルス総取りなオチになる予感かしないんだけど!?
ていうか調べたらってさっき私のスマホでやってた調べものってパーティーのことだったのね!
何の装備も無しにラスボスに挑めと言われたような気分だよ。
男の人と関わるなんて仕事以外じゃほぼないし。
それにまず心の準備ってものがあるじゃないですか……。
「いやぁ、無理でしょ……」
「もうっ、モトコの意気地なし! 自信なんて後からついてくるものよ? それにこのアタシの見立てに狂いはないんだから!」
マルスが詰め寄ろうと私はそれでも難を示す。
マルスの言いたいことは分かる。
私だっていつかは恋人が出来たらって思ってたけど、昨日今日で突然彼氏を作ろうなんてまず思考をすぐに切り替えられない。
マルスの言うとおりにせざるを得ないとはいえ、だ。
本を投げた時に割ってしまったガラス、アタシが直さなかったらモトコが弁償してたのよ? って言われたらね……。そもそもスマホを人質にされてるわけだし。
「……それでもゆっくり……」
「ダメ! 時間は有限なのよ!」
けどマルスは強引に私を連れて行こうとする。
なんだかイライラしてきた。
たかが本を(その正体は堕天使だったけど)手に取っただけで目をつけられて、しまいにゃ脅されるような形で彼氏作りを強要されて。
私の気持ちなんてお構いなし。置いてけぼり。
強制的でも恋活するのは他でもない私自身なのに。
「あのさマルス、いい加減に────」
「……アタシは一刻も早く天使に戻りたいのよ……」
よしそろそろ私も本気を出そうかと文句の一つでも言い返してやろうと思ったんだけど。
思い詰めた表情のマルスの呟きに最後まで言えなかった。
せっかく出した本気も萎んで小さくなってしまった。
今までの勢いはどこにいったんだろうっていうくらい、マルスの顔は真摯さを帯びていて。
瞳も目の前の私を見てるんじゃなくて、どこか遠くを見ているようだった。
(……そういえば、マルスはどうして天使に戻りたいんだろう)
もう一度言うけど堕天使の方が性に合ってるように思える。
欲望に忠実で私利私欲のためにルールも破っちゃうし。人間が大好きなら慎ましく天使として過ごすより、堕天使でいた方がマルスも楽しいんじゃないかと思うんだけど。
単に戻りたいだけじゃない、何か理由があるのかな?
その理由をふと聞いてみたくなった。
「……ねぇ、マルスはどうして」
「お取り込み中すいませーんっ」
────と思ったんだけど、陽気な声が割り込んできて叶わなかった。
マルスと一緒に声がした方へ顔を向ければ、若い男性が二人。
キャップ帽子を被った男性とニット帽を被った男性。なかなかのイケメンさんだった。
例えるならストハリと同じ某男性アイドル事務所に所属してそうな感じの。
私達二人と目が合って、キャップ帽子の人の顔がぱっと明るくなった。
「おおっ、やっぱり! めっちゃ綺麗なおねーさんと、めっちゃ可愛いおじょーさんだわ!」
「二人で何してたんですか? 暇ならオレたちと遊びません?」
ナンパだ。
えっ? これ、ナンパだよね?
ナンパなんて生まれて初めてだ。これもイメチェン効果なのかな?
すごいなぁ、本当にあるんだねぇナンパって。都市伝説だと思ってたよ。
(あ、でもこれからパーティーに……連れて行かれるんだっけ。申し訳ないけどお断りだよね)
うん、本当に申し訳ない。
行きたくはないけど一応予定があるしね。
……可愛いと言われて悪い気はしませんでした!
しかしこういうのに慣れていないので私は黙っていることしか出来ない。
でもナンパもなかなかにハードルが高いよね。
パーティーと違って暫くの交流を経たりするわけでもなく、その場でハイ決定! お持ち帰り! ワンナイトラブ! なんでしょ? あれ、違う? それなんてエロg……いや何でもないです。
「ダメかなぁ? 二人とも超目立つからさ! 気になって声かけちゃったんだけど……」
「すんません、ホント突然」
キャップ帽子の人もニット帽の人も申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。
なんかすごい良い人っぽそう。私まで申し訳なく思えてきた。
(ていうかマルス黙ってるけど、どうしたんだろう?)
きっとすぐに何か一言告げて断ってくれるだろうと思ってたんだけど、何の反応も示していない。
ちらり、とマルスを盗み見る。
(え……?)
ほんのりとチークでもはたいたかのように頬が赤い。
優美なサファイアブルーの双眸に帽子二人組を映しきらきらしていた。
まるで推しの姿を見つけたオタクのようなそんな表情。
嫌な予感がした。
これはマズイ気がすると私の本能が訴えている。
緊張している場合じゃない。早く、早くこのお誘いを断らなければ────!
「あ、あ、ああの! ごめんなさ、私、ふたりこれから!」
「────ちょうどワタシたち、この後どうしようかって話し合ってたところなのぉ! そのお誘い、ありがたく乗らせてもらうわ」
わたわたとお断りを告げようとした私の声に、声色を最大限に中性っぽくしたマルスの声が覆い被さる。
当然私の声は帽子二人組には聞こえず、その代わり誘いを受けると告げたマルスの声が届いてしまった。
「マジで! やったあ!」
「あざーっす!」
すると帽子二人組は大はしゃぎ。
こうなるともう今更無理だと言い出しにくい。
私は二人に聞こえないよう小声でマルスに話しかけようとした。
「ちょ、ちょ! マルス! そんな勝手に決め──むぅ」
ぴとり、とマルスの指が私の唇を押さえる。
この流れ、昨日も無かった?
「フフッ、せっかく声をかけてくれたんだもの。断るなんて申し訳ないでしょう?」
────いやいや!
確かに申し訳ないなとは思ったけど! 思ったけど!
ただ、帽子二人組がマルスの好みだったからでしょおお!? 絶対そうだよねぇ!?
「二人で買い物してたんスか? めっちゃ荷物持ってますねー!」
「あ、よかったらオレ荷物持ちますよ」
「あら、ホント? ウフフ、助かるわ」
するりと私の前から退いてマルスは黒髪美女を演じる。
帽子二人組は満更でもなさそうに頬を赤くする。
あれ、私は?
お願いだから、私を置いてけぼりにしないでください。
「モトコ? 何してるの? 早く行くわよ」
茫然とマルス達を見送っていたら、振り返ったマルスがぱちんとウィンクを飛ばしてきた。
これがアニメでここにエフェクトを入れるなら、きっとウィンクしたあとで星が飛んでるんだろうな。
私は天を仰いだ。
街灯やらビルやらの明かりで見えにくいけど、真っ黒に染まった空ではきっとお星様が瞬いていることでしょう。
ああ、お星様……どうか私の行く末を見守っていてください。
秋は夜長。
夜はまだまだ始まったばかりでしたとさ……。