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ゼウスは一人それぞれの関わり合いを理解していた。
あーのデメテルちゃんがねえ。無自覚ツンデレってやつかねえ。
うんうん、と納得したかのように頷くゼウスに、柔肌を惜しげもなく晒ししなだれ掛かる女。
「どおしたのですかあ、ゼウスさまあ」
砂糖菓子のように甘ったるい猫撫で声で女は豊満な肢体をぴっとりとくっつけた。
えーと、この子なんて名前だっけ。
まあいいや、と疑問を放り投げたゼウスは、与えられる誘惑を甘んじて受け止め、白い布地で揃えられた寝具の中に沈んだ。
ゼウスはハデスがちょっと苦手であった。たとえ嫌われている相手でさえ、ゼウスは鬱陶しい絡みまくる。やがて相手も諦め仕方なしに付き合うという、ゼウスの強引かつお決まりのパターンである。元来持ち合わせているコミュニケーション能力を存分に活かし、数多く交流を重ね関係を築いていくのだ。
しかしハデスにはその一切がまるで通じなかった。冗談を欠片も理解していないというか、こいつ生きてんの?と疑るくらい表情筋が機能していない。ちゃらんぽらんなゼウスとは対に堅実に役目を全うするハデスは、部下から厚い信頼を寄せられ、冥界全体がハデスに傾倒していると言っても過言ではない。なので冥界の雰囲気も不真面目を非難する空気であり、だらしなさの極みであるゼウスにとって居心地の悪い空間となっていた。
真ん中の兄弟ポセイドンはあまりの二人の対極ぶりに逆に影が薄くなっているのだが、それはまた別のお話。
なんだかんだ力はあり、大抵の我が儘はやり尽くし、暴君如し思い通りにしてきたゼウスだったが、ハデスだけはどうにもうまくいかなかった。
ハデス個人がゼウスのことをどう思ってるか、というか思考が、存在意義が全く謎であることが理由かもしれない。存在意義など、冥界の王の一言で説明がつくのだが、そうではなく、なんか、ハデスをぎゃふんを言わせたくてたまらないのだ。
ぎゃふんとまではいかなくても、せめて何かしらの感情の動きが見たい、そう思うゼウスは何か面白いことがないか、と思考を巡らせていた。
そんな時に発覚したデメテルとの逢引。やましい何かはハデスにはない。がデメテルはどうだろう。ハデスのようによっぽどの朴念仁でもない限り、デメテルがハデスに対峙する様はとてもわかりやすい。
問題はハデスだ。あやつめ、ちゃんとつくものついてんのか、と疑いたくなるほど浮ついた話を聞かない。本人曰く、経験がないわけではないとのことだが、それも確かかどうか。口数自体が少ないハデスを掘り下げるのは至難の技なのである。
あのハデスがおっぱいに顔を埋める様が想像できないのだ。
とおっぱいに顔を埋めるゼウスは思った。戯れにあちこちいたずらしていたゼウスは、くにゃんくにゃんになった女を見下ろしながら、頃合とばかりに自らの分身を酷使する。
艶かしく揺さぶられる女を目の保養としながら、ゼウスは自らの思いついた素晴らしい妙案を実行する明日が楽しみで仕方がなかった。




