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第四の男?
遠くの王子様より、近くの従者。
エミリーの目下の悩みは、別なところにあった。
魔具であるピアスにこめた魔力が、もうすぐなくなるのだ。
体内の魔力は時間とともに回復するが、続けざまに魔法を使うと、どうしても足りなくなる。
その時は魔具から体内に魔力を移し使うのだ。
おまけに魔具込めた魔力は永遠に止めることはできず、少しずつ薄くなっていく。
込めた直後は鮮やかなオレンジ色だった石も、今はほとんど透明になってしまった。
「魔力は込めたいけど、ルシアとやり取りするの、、気まずい」
部屋で引きこもりなどせず、すぐに目を見て話せばよかったのかもしれない。
時間が経てば経つほど、タイミングを見失っている。
「庭にでも出ようかな」
部屋にこもるのは、ひとまずやめにしよう。 誰かと会話しないとコミュニケーションの方法を忘れてしまいそうだ。
芝生から庭師の剪定風景を眺めたり、林檎ような小さな実をいくつかもらったりしていると、意外な人が現れた。