第二の人物
もう一つ頭を悩ませているのが、ロビン・マクラーレンの登場だ。
婚約予定だったカナンとの接触はあったが、それ以外の攻略者との接点は今までなかった。
学園に入るまでは出会わないのでは無いか?と思い込んでいるところがあった。
しかし、あの日マクラーレン様が現れ、ゲーム内とそっくりなイベントが発生したのだ。
ジェラートを買いに行ったのは、あの場の思いつきで私が決めたことなのに、ゲームと同じ姿のマクラーレン様が同じセリフで微笑んでいた。
誰かの思いで動かされる人生の予測はしていたが、実際に起こるとなんとも言えない不気味さだった。
どんな行動をとっても、結局は無駄では無いのかという虚無感に苛まれた。
「ルシアは、元はモブみたいな立ち位置だったのに、見た目や中身も変わったから、ゲームと違う流れになったのかなぁ 」
高飛車な悪役令嬢とそのおとなしい従者という関係を作ってこなかったのは、紛れもなく私で。
ゲームに逆らった何よりの証が、ルシアなのだ。
当時は深く考えず、長い前髪を切りなさい!と言ったことがあった。
スチル絵と現在の見た目が遠ざかった一因だろう。。
「あ、てことはマクラーレン様もこれからの関わり方次第では、ヒロインとのルートを進む可能性もある?」
マクラーレン様と悪役令嬢でイベントが発生してしまった理由は不明だが、ヒロインを見つけ出して、世話焼きババアのように複数の攻略者とのイベントを発生させたら、マルチエンディングも可能性あり?
いやいや、ヒロインはそれでいいかもしれないが、私はこの家の存続と安泰と、何より自分自身が穏やかな一生を送りたいのだ。