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隕石よハシレ

作者:

現在、地球に歴史上、類を見ない史上最大の未曾有の事態が迫っていた。

隕石が残り一週間で降って来るのである。

それは、とても小さく周囲に激しい重力変化をおこしているのである。

本来、隕石は成層圏に突入する時、プラズマに四散して、地上からは筋を引いたように見えるのだ。

俗にいう流星の正体である。

だが、この隕石は違った。

隕石はとてもゆっくりと地球に迫っているのだ。つまり、成層圏では焦げきらず消滅しないのだ。

只、単数で襲ってくるならまだしも、今回の総数は約5000個である。

絶望である。

5000個の隕石は壮大な数値の重力変化をおこし世界の誇るサテライトレーザーは跳ね返されて、レールガンは吸収され、核弾頭が直撃せども無傷のままに進撃を止めない。

絶望である。

もう少し隕石が速く来ていれば、こんなにも死を待つような求刑時間はないのだ。

世界最後の一日に背中を押された僕は何をしているか?

長く生きようと努力するか、大切な時間を大切な人と過ごすか、なんともない一日として消化するか、どれも違うのだ。

こんなに追い込まれないと行動できないなんてまったく情けないけれどさ、目の前に呼んだ彼女を真っ直ぐに見つめて感情を吐露する。

空を切り裂く轟音と地を捲り上がらせるような衝撃が全身に伝達したとき、僕は燃え盛る遠い町を見て口を稼働させる。

「好きになってもいいですか?」

彼女の答えは宇宙に溶けていった。

彼女の姿が滲んでゆくなか、僕ら二人が結んだ関係はまだ誰も知らない。

そして、これからも永遠に。

銀河の或るどこか、煌めく二つの対になった星が少し近づいたのは気のせいだろうと深く思う。

隕石よハシレ


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