第2話
「冬馬、もう10時よ!さっさと起きなさい」
「ぅ…わかってるよ…」
俺はいつものように母さんに叩き……いや、殴り起こされ、支度をすませて1階へ行った。
「…げっ…なんで…トーストの上に納豆…」
母さんは今、納豆にはまっているらしい。ちなみに俺は納豆は大の苦手だ…
「これなら冬馬でも食べられると思ったんだけど、無理かしら…?」
「俺、今日腹減ってないしいいや…」
まぁ、春華となにか食いに行くか…
「じゃあ、俺、もう行くから」
「納とースト美味しいわよ!食べなくていいの?」
あれは“納とースト”というのか…なかなかのネーミングセンスの無さだ…
「い…いらない」
「あら、そう…じゃあ私が食べておくわね!」
…最初からそれが狙いか
家を出てしばらく自転車を走らせるとやがて、春華の家に着いた。インターホンをならすと
「あっ、冬馬?もうちょっと待ってて!まだ着替えてる途中だから」
それから10分後…
「お待たせ!」
いつもピンクばかりの服だが今日は白系の服を着ていて、率直に綺麗だと思った。
「今日はピンクじゃないんだ」
えへへと笑った春華は
「イメチェン」
と言ってバックから小さな袋を取り出した。
「今日が何の日か覚えてる?」
俺たちが付き合いはじめたのは、春だから違うし…
「その顔は忘れてたでしょ!今日は冬馬の誕生日だよ!」
「えっ…俺の誕生日って今日だったっけ」
「3月6日。今日だよ」
すっかり忘れていた。