あいう◆捻くれてるのを自覚しているからこそ質が悪い
人は自分の為に生きる。
人に優しくするのは自分の優越感を守る為。
人を傷つけるのは自分の優位性を守る為。
そんな考えが少女の中にはあった。
それは少女の勝手な思い込みによるものだと本人は分かっていたし、
世界に少女の考えが当てはまるかと言われれば、それを証明する事は少女には出来ない。
けれど、少女の中ではその考えが当て嵌まっていた。
それは少女がそう行動してきたから。
人に優しくすれば周囲は褒めてくれた。「なんてあの子は優しい子だろう」と言って。
それは存分に少女の優越感をくすぐり、そして増させてくれた。
けれど、人に優しくなんて自然なままいつもできる訳がない。
そこまで少女はお人好しでも善人でもなかった。
自分より明らかに劣る、クラスで孤立し、誰からも嫌われる程に性格の悪い者が居たとしよう。
少女は、そんな彼らには容赦なかった。
中々に頭が良かった少女は、誰も見ている筈のない場所で、笑顔で、彼らを傷つけた。
罵りという口達者な少女の武器で。
そしてクラスで孤立し、気の弱いだけの彼らには、殊更優しくするのだ。
彼らが彼女に対して好感を持ち、またそれを見ていた周囲が彼女に好感を持つように。