彼氏とデート、前編
霞目線の話。
私は少し緊張していた。初めて彼氏の家に行くか、だ。人生初である。私は、彼氏いない歴=年齢だったので彼氏がいること全てが人生初なのである。緊張と共にテンションも上がる。そして、今日は女装の証拠を掴むんだ!心拍数が色んな意味で上がる。とにかく楽しみだ。
私はインターホンを押した。これからは未知の世界だ。
ガチャッ
ドアが開いた。
「いらっしゃい。」
そこにはいつもかっこいい私の自慢の彼氏がいた。もうどういうテンションで話していいかわからなくなってきた。
「やあ、彼氏くんよ。待ち遠しかったかい?」
「初めて自分の家に人あげたから、緊張してるかな。」
「そうかいそうかい。まあ彼女なんやし、緊張せんでもええよ。」
私なんで今関西弁使ったんだろう。東海地方出身なのに。
「まあとりあえずあがって。」
「おっじゃまっしまーす♪」
人生初の彼氏の家!テンション上がるな〜
「るんるんだな。」
私はスキップしながら廊下を進んだ。
「この奥が部屋?」
「そうだよ。」
「初・彼氏くんの部屋〜」
ガチャ
「おお〜これが彼氏くんの部屋かぁ。この椅子かっこいい!」
何から言えばいいのか頭真っ白でわからなくなったので、とりあえず椅子を褒めた。目から得られる情報が椅子のみになるくらいに視界が狭かった。
「部屋入った感想それかい!」
しっかりツッコまれた。
「すまんすまん。かなりPC周りの環境が整ってるから、つい驚いちゃって。」
苦し紛れの言い訳が出たが、なんか騙せた。ちょろい男だぜ。ニシシ。悪い笑みが溢れた。あ、そんなこと言ってる場合じゃない。とにかく女装の衣装探さなきゃ。ちゃんと見つけないと。お、鍵かかった部屋はっけ〜ん。動揺するか確認してみよう。
「ていうかこの鍵のかかった部屋は何?」
馨は思わず目を背ける。ここだ!ここにある!
「そこはまだ公開できない秘密基地。」
動揺からか、変な言い訳をしてきた。これは確定演出
だ。
「ふーん...。じゃあいつか見せてね。」
そう言ったら、馨はこんな顔をした(・Д・)
たえたぁ〜。アホで良かった!とでも思ってるだろうな。
「と、とりあえず何する?」
「ゲームしようぜ!この家なんのゲームある?」
「2人以上でプレイできるのはヌマブラかマリコバイク8か。どっちがいい?」
「マリコバイクで。」
「ok」
〜2時間後〜
「ちょっと俺トイレ行ってくるわ。」
「了解」
きた!大チャンス!私はトイレに行ったことを確認し、鍵を解除しようとして、持ち上げた瞬間
カチッ
開いた。そうな簡単に開くことある?もっとダイヤルとかに苦戦するかと思ってた。とりあえず中に入ってみることにした。そこにはレディースの服から際どいものまで色々な服が収納してあった。私よりも、持ってる。女子なのに男子に服の数(しかもレディースの服て)負けてしまった。若干の悔しさと共に、証拠を掴めた嬉しさが込み上げてきた。ここに長居するとまずいので、急いで部屋から出た。ちょうどそのタイミングで馨が帰ってきた。馨はきょとんとしていた。おそらく秘密にしてた部屋の鍵が開いていることに、驚いたのだろう。
「霞、あの部屋に鍵開けた?」
顔を真っ青にして聞いてきた。
「ちょっと気になって触ってたら、外れちゃった。」
「中は...みた?」
私はここで見たと言ったら、面白みがないと思った。
「...見てないよ」
馨は安堵の表情を浮かべた。私に気づかれたことも知らずにね。