彼女とデート、前編
馨目線の話
〜彼女による自宅訪問当日〜
時刻は午前9時30分。とうとう来たぞこの時が。(倒置法)衣装部屋は鍵かけたし、万が一開けられたとしても、見えないところにしまったから大丈夫。
ピーンポーン
来た!僕は少しの不安を抱いていたが、気持ち切り替るために一呼吸おいてドアを開けた。
「いらっしゃい。」
「やあ、彼氏くんよ。待ち遠しかったかい?」
「初めて自分の家に人あげたから、緊張してるかな。」
「そうかいそうかい。まあ彼女なんやし、緊張せんでもええよ。」
なんで関西弁なんだ。
「まあとりあえずあがって。」
「おっじゃまっしまーす♪」
「るんるんだな。」
相変わらずテンションが高いな。なんでこんなテンション上がってるんだろ?まあいいか。
霞はスキップしながら廊下を進んでゆく。
「この奥が部屋?」
「そうだよ。」
「初・彼氏くんの部屋〜」
ガチャ
「おお〜これが彼氏くんの部屋かぁ。この椅子かっこいい!」
「部屋入った感想それかい!」
部屋に入って一言目がゲーミングチェアの感想って、着眼点すごいな。
「すまんすまん。かなりPC周りの環境が整ってるから、つい驚いちゃって。」
これを見て霞は驚くのか。オタク気質なところあるな。ていうかすごいキョロキョロしてんな。なんか変なことでもあったんかな?
「ていうかこの鍵のかかった部屋は何?」
ヒュッ
もうそこ引っかかるか...。
「そこはまだ公開できない秘密基地。」
こんなわかりやすい言い訳でなんとかなるか。頼む霞!アホであってくれ!
「ふーん...。じゃあいつか見せてね。」
(・Д・)
たえたぁ〜。アホで良かった!
「と、とりあえず何する?」
「ゲームしようぜ!この家なんのゲームある?」
「2人以上でプレイできるのはヌマブラかマリコバイク8か。どっちがいい?」
「マリコバイクで。」
「ok」
〜2時間後〜
「ちょっと俺トイレ行ってくるわ。」
「了解」
僕は部屋を出て、廊下につながるトイレに入った。彼女が部屋にいるだけで色んな意味で緊張するな。ここで息整えておかないと。
僕はトイレを出て、部屋に入った。鍵を閉めたはずの衣装部屋は鍵が空いていた。
...。
なぜだ?なぜ空いている?
「霞、あの部屋に鍵開けた?」
「ちょっと気になって触ってたら、外れちゃった。」
「中は...みた?」
僕の背中に汗が一粒流れた。
時計は正午をさし、張り詰めた空気を鳩がぶった斬った。
「...見てないよ」
なにその溜めてから言うタイプ。まあでも見てないならいっか。