姉よ
前回、なんと馨の姉に活動がばれた(かも知れない)ことが判明!
ちなみに僕の姉は2つ上で、オタクっぽい。しかし、どんなオタクとかまでは知らない。
「なんでバレたの?」
「いや、確実にバレたわけではないんだけど、メールで『あなたのバイトって、女装モデル?』ってきたんだよね」
「いやそれ確実にバレてない?」
「おい、それヤベェじゃねぇか」
2人してとても焦っている。
そして僕も焦っている。
「やばい。撮影どころじゃない。」
「そうだな」
「俺なんとなく未来見えたんだけどさ。多分ここに姉さん来る。メイクとか急いで落とした方がいいんじゃないか?」
「ばっさーって未来見えるの?」
「未来見えるというか、ただの感だね」
「でもばっさーさんの言う通りよ。早くメイク落としたり、着替えたりしなきゃ」
〜5分後〜
「俺コスプレとかしたことないからわかんないんだけど、5分でできるもんなんだね」
「いや、僕もびっくりしてる」
「本来、普通のメイクよりも男装、女装の方が必然的に濃くなるから、大変なんだけどね」
こんなにも早くできるようになったんだな。我ながら成長したな。と思っている矢先、インターホンのベルがなった。
「もしかしてお姉さんじゃない?」
焦り散らかす霞。
「これヤベェんじゃねぇか?」
焦り散らかすばっさー。
「ちょっと行ってくる」
焦りつつも頑張る僕。
「はい?」
「やあ。My brother,嘘か真か確かめにきたわよ」
「人違いだと思います」
ガチャ
「みんな!なんでもなかったよ!」
「えっ?でも今Mybrotherって言ってなかった?」
頭に疑問符を浮かべる霞。
すると姉がピンポン連打してきた。
「やっぱり姉じゃねぇか」
また焦るばっさー。
もう正直、姉と関わるのは面倒だ。しかし出なければならない。
「はい?」
「なんで切ったんだよ?普通に入れてくれん?」
「わかったよ」
僕は玄関の鍵を開けた。
僕の部屋に入った姉。僕の部屋を姉に見られるのはなんか嫌だな。
「あら?霞ちゃんとばっさーじゃない?」
「コンニチハ」
突然の姉襲来で緊張してしまったのか、2人ともガチガチに固まっている。
「じゃあ本題といきましょうか。馨と霞ちゃん、あなたたち2人、男装、女装してるでしょ」
「エ、ナンノコトカ、サッパリワカラナイ」
「白々しいのよ。ちゃんと証拠もあるわ」
机の上に姉が出したのは、僕が表紙を飾る雑誌アイマイミーと霞が表紙を飾るMENS girlだった。
こりゃまずい。もう言い逃れができない。僕らは黙ってしまった。
「助けて!」
とばっさーに目線でSOSサインを送ったが、ばっさーは両手を合わせるジェスチャー、自分を指差すジェスチャー、自分の顔の前で手を振るジェスチャーをした。
おそらく
「ごめん、おれ、助けられない」
と言っているのだと思う。くそっこの役立たずが。
「さぁ!本当のことを言いなさい!私のうちに秘めておくから」
「霞、どーする?」
「どーするも何も、もう言うしかないんじゃない?」
「わかった。姉よ。僕ら2人、その雑誌でバイトしてます」
「やっぱりしてたんでしょ。女装、男装。そうだと思ったのよね」
ここで僕は少し身構えた。そんなのやめなさいと姉に言われる気がしたからだ。
「あなたたち、その職業...」
やっぱり言うか?
「最高だから続けなさい」
え?
僕と霞は目を合わせた。
「え?」
「え?って何よ?カップル2人してコスプレしてるとか、最高じゃない」
「いや。予想とは違ったからびっくりしちゃった」
「予想って何?」
「いや。そんなのきもいからやめちまいなさい。とか言うかと思った」
すると、姉は大笑いした。
「あはは、私がそんなこと言うと思う?全然キモくなんかないわ。全然肯定派よ。ほんっとに最高じゃない。雑誌であれだけの演技を魅せつけられたら、もう誇らしくてしょうがないわ」
僕ら3人はほっと安心した。そして姉とは家族や友達には言わないことを約束した。
「じゃあ、私帰るわ。新刊楽しみにしてるわよ」
ちょっと恥ずかしいけど、味方がいると安心する。理解のある姉でよかったと心の底から思った。
作者はコスプレをしたことがないので、メイク落としとか衣装着替えとかにかかる時間がわかりません!「そんな早くねぇわ」と思った方、多めに見てください。




