獅子のように
作戦実行の日!なんの作戦だって?とても「great」で「elegant」な作戦。その名も、「ライオン作戦」!この作戦さえあれば、どんなに断られても最終的には答えてしまう、最強の作戦なのだ!今日の仕事の合間にマネージャーかスタッフから聞き出してやる。
「はい、お疲れ様でした。すごくよかったですよ!流石です、馨くん。また午後の部もよろしくね。」
「ありがとうございます!よろしくお願いします。」
今日もカメラマンさんが褒めてくれる。これが女装モデルを続ける、励みでありモチベーションにもなっている気がする。
「かおちゃん。これから休憩ね。30分後にまた再開するでね。」
マネの琴塚さんに声をかけられた。ライオン作戦を実行するには絶好のチャンス!獅子のように付き纏うんや!
「あの〜昨日も聞いたんですけど、MeTubeの企画ってどうすればいいでしょうか?」
「かおちゃんまだ悩んどったん?て言うかなんでまたわたしに聞くん?前も言うたやん。わたしに聞くなって。」
表情はまだ穏やか。ここで下がってしまったら、ライオン作戦が失敗に終わってしまう。顔をしかめるまで粘ろう。
「そこをどうにか。僕、もうすごく悩んでるんですよ。」
「んなこた、わかっとる。でもかおちゃんの個人チャンネルの方向性を決める、大事な一本目の動画の企画をわたしが決めるのは、どうかと思うね。」
ぐ...ごもっともすぎる...。でもライオン作戦をしなければ。まだ顔をしかめるほどではないようだ。
「でも、やっぱりどうg」
「しつこいやっちゃねほんま!少しは自分で考えろや!動画の企画が〜ちゃうねん!自分の方向性くらい自分で決めい!」
「ハイ!」
僕の声に勝るほどの声量で怒られた。顔をしかめるどころか、真っ赤になって怒っている。琴塚さんってこんな怖かったっけ。どこの方言かはわからないけど、方言で詰められるのなんかすごく怖い。って言うかライオン作戦失敗しちゃった。あっけない終わり方をしてしまった。流石にあんな怒鳴られたら続けられない。引かなくてはならない。だから諦めることにした。
〜帰宅〜
「ただいま」
「おかえり。どうだった?作戦の効果あった?」
霞は成果が気になるようだ。
「えっと、なんの成果も得られませんでした。」
「なんてこった。これは予想外だ。」
「もう諦めるしかないよ。」
「そうかもしれない。」
ライオン作戦。失敗!
琴塚の顔も三度まで