はじめてみない?
僕と霞は1周年記念特別コラボ雑誌が大反響によって、両雑誌の揺るがないトップとなった。そんなある日。
「おーい馨くん。ちょっといいかな。」
僕はプロデューサーとアイマイミー編集長に呼び止められた。
「はい?」
僕はなんかやらかしたんじゃないかと怯えた。
「この雑誌も1周年たったから、もっともっといろんな人にこの雑誌を知ってもらいたい。そこで一つ提案があるんだけど、MeTubeやってみない?」
何もやらかしてないようだ。
「Metubeですか?」
MeTubeは自分の趣味とか挑戦してみたとかそういうことを動画にして、世間に見てもらうという、世界一の動画配信アプリである。僕は自分でメイクができるから、コスプレをしてはミンスタやツイッツーに載っけていた。でもMeTubeだけはやっていなかった。別にMeTubeを始めて良いと思うのだが、こういう活動はネットでの露出が増えるので、かなりバレるリスクが高い。こういうリスクを考えると、気はのらない。でも雑誌のためとなるとリスクを負ってでも、トップモデルとしての意地は見せなければならない。優柔不断な僕にとって決断するのは難しい。
「少し考えさせてください。考えがまとまったら、どうするか伝えます。」
「OK、じゃあ今日は気をつけて帰ってね。」
「お疲れ様です。ありがとうございました。」
ここで一つ素朴な疑問が生まれた。
「霞はMeTubeをやるかやらないか問題」
霞もトップモデルだし、向こうの雑誌も1周年だから、ほぼ同じ環境である。だから向こうの雑誌も何か新しい取り組みをしたいところだと思う。霞に聞いてみるか。
〜大学〜
「霞〜。MeTubeやってみない的なこと言われた?プロデューサーとか編集長とかに。」
「あっ言われたよ。1周年だからこっちも新しいことやりたくて、だから霞ちゃんにお願いしたいの!って編集長が。もしかして馨も?」
「そうそのもしかしてだよ。別にやってもいいけど、万が一バズった場合、身バレのリスクがあるからハイリスクローリターンって感じなんだよね。」
「私も。身バレは防ぎたいからね。」
2人はやらない方針で固まった。
〜後日〜
今日は休日だったが、プロデューサーから緊急で会議が入ったから来て欲しいと言われた。せっかくの休日を...。重たい足を引きずりながら、事務所へ向かった。
「おはようございます...。」
「元気ないね。」
プロデューサーは笑っている。
「シャキッとしてよね。うちの出版社、井川出版社(ういの出版社の名前)の社長、井川さんがいらっしゃるんだから。」
「あっ社長さんがいらっしゃるんですねぇ。...えっ!社長さん!?」
そこには井川社長と僕のプロデューサーと海のプロデューサーがいた。社長もそうだけどなんで海のプロデューサーが?
「おはよう。馨くん。」
社長は少し声が低くて、すらっとした、たたずまいをしている。
「おはようございます。あの一つよろしいですか?」
「ん?どうした?」
「なぜバイトである私を呼んだのでしょうか。」
「それはもう一人呼んでるから、その人が来たら言おうかな。」
「あ、ハイ、わかりました。」
〜少しして〜
「おはようございます。」
元気のない声が聞こえてきたと思ったら、霞だった。」
「元気ないね。シャキッとしてよね。我らが出版社の社長さんがいらっしゃるから。」
「へぇ社長さんがいらっしゃるのね。...えっ!sy(以下略」
社長は一つ先払いをし、話し始めた。。
「コホン。では今日の本題に入ります。昨日もお伝えしたように、2人にMeTubeをやって欲しいんです。この両雑誌は、今井川出版にとって大切な雑誌なんです。だからこのまま勢いに乗って欲しいんです。」
社長直々に言われてしまった。どうしよう。回避できないかもしれない。