秘密・飛鳥馬 薫
僕は馨。大学2年生だ。
僕には誰1人として言っていない秘密がある。それが趣味であり、仕事でもある「女装」だ。家族にも、友達にも、彼女にも、誰にも言ったことがない秘密である。
女装を始めたのには、ある理由がある。それが今の仕事でもある女装モデルとの出会いだ。それは大学に行く途中のこと、今お世話になっている女装雑誌のプロデューサーに声をかけられたのが始まりだ。ちなみに僕の容姿は、目が大きくて二重でまつ毛が長く、中性的な顔立ちをしていて、身長も低めで太っても痩せてもいない程よい肉付きの体型である。
とにかく中性的で、身長が低いから女装が似合うと判断されたのだろう。そこからというもの今までの自分とは違う知らない自分を見つけてしまい、どっぷりと女装にハマったというわけだ。
僕には彼女がいる。彼女はさっきも言った通り僕が女装をしていることを知らない。そんな彼女が今日家に来るのだ。彼女を家にあげるのは構わない。
しかし大きな問題点が二つある。
一つ目は女装をするからコスメが家にたくさんあるということ。何も知らない彼女からしたらそれを見た時、色々と誤解を生むことになるだろう。
二つ目は衣装問題。僕は2LDKに住んでいるのだが、1部屋は見られても大丈夫。もう1部屋は衣装とコスメがたくさんある。そこを見られてしまったらますます誤解を生むことになる。だからなんとかしてでもこの一室には入れたくないのだ。
もうそろそろ彼女が来る。どうこの場を乗り越えるべきか。