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蒼の本  作者: 黒月
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平和な時間ミモザ視点2

鬱蒼とした木々を抜けた先に広がる墓地。地面がむき出しの小さな道の脇には野草が生えている、汚いとは言わないが綺麗とも言えない虫のさざめきしか聞こえない空間。

その中にミモザは一人でポツンとあるお墓の前に立っていた。

足元にはさっき摘んできた花たちが華やかな色を纏って置かれている。

けれど、ミモザは無性に考えてしまった、お母さんがいたらどうなっていたかを。

どうしてお母さんはお父さんと私をおいて死んでしまったの。私にはお母さんとの「思い出」はないけど、お母さんがいたらそうしたら、

お母さんの作ったご飯が食べれた?

頭を撫でて微笑んでくれた?

友達とのおしゃべりでお母さんのことを自慢したりできたの?

眠れない時には一緒に寝てくれた?

手を繋ぐこともできた?

お母さんがいたらお父さんももっと笑ってくれた?

おかしいなぁ、なんでこんなことばかり思うんだろう。でもお母さんがいたら私は・・・・・。

私、は、カワイソウって、思われなかった、の、かな。

お父さんが私に引け目を感じているのはわかってた。近所の大人にも周りの友達にも「かわいそう」って何度も言われた。ローズにも・・・・・。

そんな思いに駆られているとどこからか視線を感じて顔を上げる。

そうすると猫が一匹こちらを見ていた。

それはまるでこちらを責めるような目だった。私の思いが間違っているというように。

何もしていないのに。心臓がバクバクいってる。なんでずっと私を見ているの?

「いつからいたの?私気づかなくてびっくりしたのよ」

声を震わせながら手を猫の視線より下から向けて匂いを嗅がせる。

その猫はふんふん、と鼻を鳴らしながら匂いを嗅いで尻尾を上へと向ける。

なんだただの野良猫じゃない。変に緊張して、どうしたのかな私は。なんか変な気分。

あぁでもこの子も警戒が薄れたのかな。可愛い。けどもう帰らないと。

いつも暖かく見守る太陽はもう傾いている。そろそろ帰る頃合いだ。

身体を起こしてお母さんに背を向ける。お父さんの待ってるであろう家に帰るために。

でもなんでこんなにカラダが重く感じるのかな。





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