プロローグ3 子犬を拾いました
プロローグ3
離婚、父親の死
大きな喪失感を抱えたまま寒い冬を迎えた。
ある朝、外のポストの郵便物を見に行くと
灰色の薄汚れたぬいぐるみのようなもの落ちていた。
落とし物かな?っと思ったけどこんなところを通る人はいない。
ましてやぬいぐるみを抱えた子供なんて全く来ることはない。
「キューン」
かすかに鳴き声がした。
慌てて抱き上げると薄汚れたぬいぐるみだと思っていたものは子犬だった。
子犬は素人目にも衰弱しているようで弱弱しく鳴いていた。
子犬を抱いたまま適当な毛布にくるみ、家から一番近い動物病院に向かった。
軽トラの助手席に毛布にくるんだ子犬を乗せた。
河野動物病院
家から一番近い動物病院に着いた。
受付の女性(推定年齢80歳)に訳を話した。
高齢化の波と少子化のダブルパンチを受けているのか、待合室には誰もいなかった。
診察室に入るとかなりのご高齢な先生が出迎えてくれた。
「うん、うん」
体重や外傷、体温を調べてくれた。
特に病気や大きなケガをしていることはないようだ。
「それにしてもこの子犬、ずいぶん手足が大きいね。」
いわれてみれば手足が大きい気もする。
「大型犬の子犬なんですかね?」
「かなり大きくなるかもかもね。」
うーん。大型犬か。私に飼えるかな?
予防接種をしてもらった。
栄養剤やら注意点のかかれた紙をいただいて会計を済ませた。
異様に低い金額だったので心配して聞いてみたら
「拾った子犬をわざわざ医者に見せる若者から高い金額はとれない」
といわれた。
子犬が来てくれたことで私の生活はかなり規則正しいものになった。
父が亡くなってから半ば自暴自棄な夜型生活をしていたが、
朝7時には必ず子犬に起こされご飯の催促をされたせいで朝方の生活になった。
子犬の名前は白いからという安直な理由で「シロ」になった。
動物病院の先生の言う通り、子犬はかなりの大きさに成長した。
瞳の色は緑、全体的に青みがかった白い毛並みをしている。
ちょっとオオカミみたいな外見。
シロはとても賢い。賢すぎてたまに言葉がわかってるんじゃないかと思うくらいだ。
シロを買い始めてから三か月が過ぎた。
そして私はとんでもない目にあうことになる。
だだっ広い部屋をうめ尽くすような大きさのシロがいた。
「今まで育ててくださりありがとうございます。」
巨大なシロが言葉をしゃべった。
私はそのまま気絶してしまった。
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