プロローグ 1話
プロローグ1
広大な大森林。普通の人間が足を踏み入れたら生きて帰れないといわれる秘境。
その大森林深部にひっそりと息づく風の里
人族、獣人族、エルフ、ドワーフ 多種多様なものたちが静かに息づいていた。
強大な力を持つ風の精霊王が守るその地は、魔物でさえ手が出せない。
魔物は自分より強い魔物に近づかない。
すくなくともこの300年は。
ドーーーーン
300年の静寂を切り裂く音が森の中に響いた。
大規模な魔物大暴走が起こった。
「里のものを非難させろ!!」
「戦えるものは前に出ろ!!」
わーーー!
きゃあーーー!
逃げ遅れた里の者たちの悲鳴が鳴り響いた。
1000年間歴史上、最も強く賢い風の精霊王フェンリル
巨大なオオカミのような姿。
美しい青銀のたてがみ。
ウガァァァーーーッ!!!!
咆哮を発すると前方がの森林が吹き飛び魔物たちがバラバラになった。
しかし魔物の群れたちはひるむことなくフェンリルを目指し進行してくる。
さかのぼること半日
「魔物の群れがここ(風の里)に来るのも時間の問題でございましょう。」
風の里の長老がフェンリルに伝えた。
「そうか。女子供を今から遠くに逃がすように里中に伝えろ。私はここに残って時間稼ぎをする」
フェンリルは長老に伝えた。
「では私もお供いたします。」
「そうか、それは心強いな」
「急ぎ私の子供を産む。生まれた子を時空魔法で異世界転移させてくれ」
「それはあまりに危険です」
「ここで育てるのは無理だからな。一か八か、私の子ならなんとかなるだろう。」
「……。 了解いたしました。すぐに手配させます。」
フェンリルは生まれたばかりのわが子をいとおしそうに見つめた。
里の時空魔法使いが異世界移転の陣を作った。
「本当に良いのですか?」
「このまま犬死するよりよかろう」
「王よ、魔力をかなり使われましたな。」
「子にほとんど魔力を渡してしまったからな。記憶も託したからかなり力を使った。」
───異世界転移
魔法陣が光り輝くとフェンリルの子供は光の中に包まれ消えた。
「みな大儀であった。」
「戦いたいやつだけは私についてこい。ただし死ぬ覚悟があるものだけだ」
フェンリルと死を恐れない戦士たちは里の前方に陣を作った。
何百三千といようが屠り続けてやる。
「みな!覚悟はいいな!!」
オーーーーー!!!
それが風の里の最後だった。
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