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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第5章 桶狭間

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雪の天使

 小箱を抱えて戻って来た俺を木下家の一同と(かえで)さんが出迎えてくれた。

 特におねちゃんと(かえで)さんは仔犬の到着を心待ちにしていたのか、我先に玄関先まで飛び出して来ていた!。


「あははは~♪ワンちゃん、やって来たんだ~!早く見たい~❤」


「あ、(あるじ)…ど、どんな犬種のワンちゃんですか♪」


 おねちゃんはいつも通りのおねちゃんに見えるが、あのワクワクしている(かえで)さんの姿は初めて見たような気がする、彼女がメイド服を眺めていた時は憧れのような表情だったが、今はまるでクリスマスプレゼントを開こうとする子供のようだった。


「まぁ、まぁ、おねちゃんも(かえで)さんも落ち着いてください…ちゃんと家の中に入ってから紹介いたしますから♪」


「そうじゃぞ、いい大人がみっともない!…少しは落ち着かんか!」


「で、そういう藤吉郎様はどうして彼女達と同じこの玄関先に居られるのですか?…」


「い?…………だぁーーーっ、はっはっはっ!…い、いや、あの鬼柴田を討ち取る猛者(もさ)の姿とはどんなのだろうと……つい…」


「…はぁ、そうですか…」


 居間に上がり、とりあえず登山用のリュックをその場で下ろした俺は、小さくコトコトと揺れている箱の前に座る、それが合図となったのか、木下ファミリーと(かえで)さん達がその箱を囲むように座り、今か今かと観音開きの箱の蓋を覗き込む!。


「…じゃ、箱を開けますよ♪…犬の耳はよく聞こえるので、あまり大声を出しちゃダメですよ…」


「うむ、心得た!」

「大丈夫です、巽殿(どの)…」

「あははは~♪大丈夫だよ~」

「わ、私は…つ、常に…冷静です♪」

「はてさて、どんなワンコかねぇ~…楽しみじゃて♪」


 全員の期待を受けながら、俺は両手で蓋の端を掴み、これから俺達の救世主になられるお(かた)が鎮座しておられる箱の蓋を御開帳していく!。


「うぅ~ドキドキするねぇ~♪」(おね)

「は、はい…わ、私もこの緊張は初めて真剣での立会いした時以来です…」((かえで)

「さぁ、どんな猛者が出て来るじゃろうのぉ~♪」(藤吉郎)

「き、緊張しますね…兄上!」(小一郎)

「わしも年甲斐も無く楽しみじゃ♪」(仲)


 箱の中がほんのりと小窓から注がれる日の光に照らされ、その光りの中に浩一と瞳ちゃんが本気で選んでくれた仔犬が、黒くて小さな目を見開き天井を見上げていた❤。


 [お、おぉ~~~~~~❤](木下家&(かえで)


「皆さん、この子はトイプードルという犬種で、私の時代でも大人気なんです♪」


「あははは~♪…小さくて可愛い~❤…うち気に入ったよぉ~♪」


「この様な犬種が巽殿(どの)の時代に居るとは…それにしても、なんとも愛くるしいですね♪」


「も、猛者は猛者でも…毛並みがモサモサじゃの……じゃが…かわえぇぇぇぇ~~❤」


「あ…ぁ…か、可愛いです……ポッ❤」


「これはこれは、この子はまるで粉雪のように白い毛をしておるのぉ~…なんと綺麗なふわふわした毛並みじゃ♪」


「えぇ、トイプードルという犬種は多様な毛色が揃っていまして、この子は白になります…」


 さすがこの子を選んだ浩一と瞳ちゃんだ!人それぞれ顔の形や性格も違うように、色の好みもまちまちだ!特に日本人の場合、民族性なのか控えめの色を好む傾向にあるそうだ。

 街を走る車もしかり、シルバーやホワイト、黒が比較的多い…中古車市場の査定でも明るい色彩の車よりその3色の車の方が査定額も高いそうだ。


(誰でも違和感を感じない色を浩一達は選んでくれたんだな…サンキューな♪)


「ねぇ~、ねぇ~、たっちゃん?…この子の名前はもうあるの?…」


「いえ、いずれ柴田様の元に行くので名前は柴田様に…」


「ダメだよ~!名前ぐらいうちらが付けたい!…いいでしょ?…」


 おねちゃんの意見も一理ある、まずはこの子が人に慣れるしつけを始めないといけないのだから、名無しではややこしくなるはず…しかし…そうなると、みんなこの子に情が移ってしまい、お別れの時に一悶着ありそうなのだが…。


「そうですね…でも、これだけは絶対に忘れないで下さい!…この子は柴田勝家様の家族になる事を!…更に私達の命運を握っている事もです!いいですね?…」


「あははは~♪分かってる、分かってるって~♪」


「私も心得ております♪…(あるじ)…」


 完璧にこの二人が一番気がかりだ……令和の時代で嫌と言うほど、ファンシーグッズや可愛い物を目の当たりにしてるし…特に(かえで)さんはヌイグルミがお気にになってたし…。


「お、おほん!…では、この木下家の(あるじ)であるわしが、立派な名を授けてあげよう♪…今、こやつは名無しの権平(ごんべい)じゃから、権平(ごんべい)じゃ♪…よい名じゃろう♪」


(この人、壊滅的にネーミングセンスないな…)


「はぁ?何、その可愛くない名前!…表六玉はもう何も言うな!…う、うちは…うちはね、このふわふわな毛並みだから、ふわちゃん❤」


(似たもの夫婦か…)


「いえ、兄上、姉上、この子は木下家の命運を握っておるのです!…もっと立派な命名を授けてあげないと…あ、三国時代の名軍師、諸葛孔明殿(どの)から、孔明ではいかがでしょうか♪」


(木下家のセンスってこんなもんか…)


「いえ、この子には柴田勝家殿(どの)の心を討ち取る使命がございます…討ち取るなら一撃必殺!…ここは信長様の愛刀[大般若長光(だいはんにゃながみつ)]から般若(はんにゃ)はいかがでしょう?」


(ま、(かえで)さんは期待通りの発言だったな…)


「あ、あの…皆さん…この子…女の子なんですけど…すみません、伝えるのが遅れて…あ、そうだ!…ここはやはり、仲様にお願いするのはどうですか?」


 さすがに仲様の名前が出た以上、誰も文句は言えず俺の言葉に納得してくれた。


「ほっ、ほっ、ほ…えらい大役を押し付けられたもんじゃ♪…でも、わしはもうこの子を見て決めておった…この白い毛並み…まるで粉雪のようじゃろ?…それにおなごじゃから、この子の名は[小雪]じゃ!」


「小雪!!」(仲様以外、全員)


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