令和に戻ってきます!
あの柴田勝家にはもう一つの顔がある!それが俺達にとって逆転の切り札だと楓さんは見抜き、急ぎここへと戻って来てくれたのだ!。
「で、楓ちゃん?…あの柴田のもう一つの顔とは、な、何じゃ?…」
「はい………くすっ♪……」
「お❤…おぉ、楓ちゃんが笑うた!…な、なんとめんこい❤」
「おい、表六玉!」
「はっ!…す、すみません…」
何かを楓さんは思い出したのか、これまで大勢の前では決して見せなかった笑顔を出した、そんな彼女に俺達は更に柴田勝家の事が気になり始める!。
あの[剣客サイボーグ]の楓さんを笑わせた!恐らく彼女がここに戻って来た際、キツネに摘まれた様な表情だったのはそれが原因だったのかも知れない、一体、あの柴田勝家に何があるのだろうか?。
「ねぇ?楓!…自分だけウケてないで説明してよ!…うちらは何も分かんないんだから!」
「わ、分かりました…で、でも……くすくす♪…」
「やっぱり楓ちゃん、めんこい~~❤」
「猿亭主!!」
「ご、ごめんなさい…」
一体楓さんは柴田勝家の何を目撃したのだろうか?…俺に対してもあれほどの笑顔を出す事は無かった、そんな彼女が二度も右手の甲を口に当て笑うとは、ここで俺は彼女の笑いの原因を少し想像してみる。
①実はあのいかつい風貌でプライベートはオネエだった…。
②一人でお人形とおままごとをしていた。
③幽霊が怖くて夜中に厠へ行けない。
④虫を見ると「キャァー!こわ~~い!」って悲鳴を上げる。
⑤おねしょ癖が治っていない!。
どれを想像しても笑ってしまうよりキモイの方が勝っていると思うのだが、ここは是非楓さんからの答えを聞いてみたい!。
「あの、楓さん…落ち着いたら教えてもらえませんか?…マジで俺と木下家の存亡がかかっていますので…」
「おほん…も、申し訳ございません……ん、ん!…じ、実は…柴田勝家様は…大の……」
「大の?…」(巽&木下家)
「くすっ…だ、大の……ワンちゃん好きなんです♪」
「は?…ワンちゃん?…」(巽&木下家)
俺自身ホラー級の想像をしていたからか、何故か楓さんの答えを聞きホッとした…もしあの五択のうち一つでも正解があったとしたら、完全に俺の思考回路は停止したはずだからだ…。
「はい、実は柴田様のお屋敷の裏に醤油問屋がありまして、その主人の屋敷で飼っていた犬が先月仔犬を4匹産んだそうです、それを聞いた柴田様はすぐに主人の屋敷を訪れ、その仔犬の可愛さに心を奪われたのです♪…それからは決まって夕刻には、その仔犬達と遊びたい一心で…くす♪…今もこっそりと通われているのです!」
「楓?…それ、ほんとなの?…あの鬼柴田が?…」
「事実です!私も最初、こんな夕刻に何処へ向かわれるのかと疑問に思い、醤油問屋の屋根から観察したのですが…くすくす♪…そ、それはもうワンちゃんにでれでれと言いますか……何度も嬉しそうに「よちよち♪…そうか、そうか、うれちいのか~❤」とお庭で…た、戯れて…おられました♪」
い、いかん!ここは笑っていい場面なのか?…それともこの情報を元にさっそく分析を始め、これからの新たな策を構築するのがいいのか?…た、ただもう一言、楓さんの口から何か飛び出したら…もうダメだ…笑ってしまう!…そう感じながらも、俺は視線を藤吉郎様に向けた!。
(うっ、藤吉郎様は…完全にアウトのようだ!)
「ひひっ、ひひっ、あ、あの柴田勝家が…「よちよち、うれちいのか~❤」どぅわって~♪……だぁーーーーーっはっはっはっはぁ~~♪」
「ちょ、ちょっとあんた…そ、そんなに…笑っちゃ…く、くく…あははははは~~~♪」
(いかん、おねちゃんも釣られた!)
「あ……兄上…くっ……そ……くくっ…そ、そんなに……ふふ…わ、笑っては…し、失礼ですぞ…」
(小一郎様は何とか耐えているようだが、顔が真っ赤になっている事に気が付いていないようだ…)
「これ!いい加減にしなされ!…織田家のご家老様に対し、何たる無礼な態度じゃ!」
ずっと何も言わず瞑想のように静かに話を聞いていた仲様がいきなり一喝した!そんな仲様の表情はこの話の内容でも眉一つ動かさず、常に冷静さを保っているように見えた。
「はぁ~、はぁ~…か、母ちゃん…」
「はぁ~、はぁ~…母上…」
「も、申し訳ございません…母上…」
「いいですか、よく聞きなさい…人は皆、誰にも知られたくない隠し事の一つや二つはあるもの…どうですか?…違いますか?」
「…うっ…」(藤吉郎)
「いっ…」(おね)
仲様の言葉に一番反応したのは藤吉郎様とおねちゃんだったのは言うまでもない!。
「犬好き、結構ではありませんか、わしも犬は大好きじゃ♪…柴田様が犬好きで何が悪い…普段は重責を担うご家老…心を休める刻があってもよいではないか?…人の安らぎを笑うそなたらを、わしは笑うてやりたいぞ!」
「…す、すまねぇ……母ちゃん…」
「…ごめんなさい…」
「お許し下さい、母上…今のお言葉…しっかりと胸に刻んでおきます…」
さすが未来の大政所様!…これで俺も笑っていたら、彼女からどんなお叱りを受けていたか…だって、この件の発案者は俺だし…。
だが、柴田勝家は大の犬好き…これは大きな情報ではないか?。
「主、この時代の犬は大体同じ犬種…しかし、あのショッピングモールで私が見た動物売場には、多種多様の可愛いワンちゃんが売られていたと記憶しております!…」
「楓さん……!!……そ、そうか!……柴田様は仔犬が好き!……な、なるほど!…それだ!」
「何?…何?…なんなの?楓?…それに、たっちゃんまで…」
「藤吉郎様、おねちゃん、小一郎様、俺!ちょっと令和の時代に戻ってきます!…」
この時代と令和の時代ではかなりのタイムラグがある、それを効率よく済ますための準備を俺は頭の中で構築していった!。
「ほっほっほ…巽様は何か良い案が浮かんだようだね…これで、この木下家にも春が来そうじゃて♪」




