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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第5章 桶狭間

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作戦開始!

 勢い良くここまで加速装置を発動させやって来たおねちゃんだったが、(かえで)さんの変わり果てた変貌に驚き、つい自分の用件も忘れ立ちすくんでいた。


「お、おね殿(どの)…これは昨日私が清洲城で失態を犯してしまい、せめてものケジメとして…」


「何しでかしたのよ(かえで)?…あんた…ま、まさか城内で刀を抜いたとか?」


「いや、まぁまぁおねちゃん…原因は私ですので……えっ?…」


 いきなりおねちゃんの視線が鷹のように鋭くなり俺を突き刺す!それはまるであの藤吉郎様が余計な事をしでかし、おねちゃんの逆鱗に触れた時と同じ眼光だった!。


「たっちゃん、(かえで)に何かしたの?…最近いつも(かえで)が警護に付いていたけど、それを利用してあの子に変な事でもしたんじゃ?…おなごが髪を切るって事は人生の大きな決断の証なんだよ!…うっ!、ま、まさか!…もう(かえで)の…お、お腹には!…いっ、もしやその決意の表れで自分の髪を?」


「おね殿(どの)、何処まで飛躍されるおつもりですか?…私は(あるじ)に[鈍感]と、つい感情的に罵ってしまったのです……その無礼に対しせめてもの償いにと…」


「へ?…て事は、たっちゃんまだ(かえで)の身体には触ってないんだ♪…あ、あははは~♪そんな事で髪を切ったんだぁ~♪たっちゃんが鈍感なのは瞳ちゃんやみんなも知ってるのに~♪」


 何やら安心したおねちゃんの態度が気になったが、どうやら俺の知る女性陣から見れば俺は前から[鈍感野郎]で定着していたようだ…。

 しかし、俺の何処が[鈍感野郎]になっているのか(かえで)さんの言葉を引用するなら、[その言葉、意味不明]てところだろうか?。


(そんなに俺って空気の読めない男かな?…これでも人を雇っている会社の経営者だし…それに色々全体を考えて会社運営してたし…ま、弊社の社員は浩一オンリーだけど…)


「し、しかし…(あるじ)に罵声を浴びせるなど言語道断、切腹を言い渡されても致し方ない所業を私は…」


「いいじゃん、たっちゃんが許してるんだし~♪それにさ、ちょっちその髪型…ムカつくけど似合ってるしぃ~~……ふん!」


 どうも令和ツアーから戻って来たおねちゃんは、浩一の妻である瞳ちゃんを意識しているのか、何となく彼女の口調を真似るようになっていた…その理由は鈍感な俺では全く読む事が出来ないが…。


「に、似合って…いますか?…おね殿(どの)?…」


「ま、まぁ…うちよりは見劣りするけど……そ、その髪の方が(かえで)らしいんじゃない?…てか、ここで二人は何してたのよ!…並んで座りながら川を見詰めちゃってさ!」


(げっ、振り出しに戻った!)


「おねちゃん、実はこれから始まる(いくさ)の準備について(かえで)さんと相談していたんだよ…いかにして柴田勝家をこちら側の味方に引き込むかをね…」


「げっ!!鬼柴田!…う、うちあいつ嫌い~~!…何かにつけて木下家を目の敵にしてるんだもん!…たっちゃん、なんでそんな奴を味方に引き込みたいのよ!」


「それはさ…………」


 おねちゃんも俺の左横に座ると、これまで考えていた事や不安、いつ自分の身に危険が押し寄せるかも知れない予測などを彼女に打ち明けた。


「……そうだよね…たっちゃんはまだこの時代に来て1年も経ってないのに、信長様と拝謁出来るんだもんね…古株の御堅い連中は面白くないよね…そんな連中が一目置いているのが鬼柴田…あいつがたっちゃんの味方になれば怖い物無し…でもね、うちの人とあいつは水と油だし…これは無理なんじゃない?」


「だから忍びの心得のある(かえで)さんに柴田勝家の事を調べてもらう相談をしていたんだ…おねちゃんは柴田勝家について何か聞いた事がある?」


「う~~ん…ごめん、柴田の[し]を聞くだけでうち避けてたから分からない…恐らくうちの人も鬼柴田と全然身分が違うから知らないと思う…」


「そっか…」


(あるじ)…もう一度だけお聞きします、本当に柴田勝家を味方に入れたいのですね?…今なら方向を修正する事が出来ますが……」


 木下家の人々、森様親子、そしていつも俺の側で警護をしてくれている(かえで)さんの事も恐らく柴田勝家はその関係図を調査しているはず…きっと、どこかに隙を見付ければ容赦なく俺達を責め立ててくるだろう…。

 そうなる前に、柴田勝家の性格から趣味趣向、日々の行動を把握しあの男の弱みを洗い出し、こちらから先手を打たなければ間もなく始まる桶狭間の戦いに集中出来ない…いや、俺の居場所すら危うい!。


(お市様への気持ちは知っている、だがそれだけでは足りない…あの男が俺達を信頼させる大きなアイテムを用意しなくては…)


「柴田勝家を味方に導きます!(かえで)さん、計画通りお願いします!」


「委細承知!私は数日留守にいたしますが、その間は私の知人である忍びの喜兵衛が(あるじ)の警護に付くよう手配いたしまする!」


「あははは~♪警護役がおなごじゃなくて良かったぁ~♪……でも、鬼柴田がうちらの味方に?…うぅ、考えるだけでゾッとする…」


「では、私は急ぎ柴田様を探りに参ります、これにて御免!」


 いよいよ計画の第一歩を踏み出した、何とか初夏までに柴田勝家を味方に入れなければ俺達の未来は明るいとは言えない、どんな些細な事でもいい、あの鬼柴田の心を揺るがす何かを知りたい!。


「あははは~♪いってらっしゃ~~い!…(かえで)、たっちゃんのお世話はうちにお任せぇ~♪」


(あれ?…何だかおねちゃん、ウキウキしてるようだけど…な、何か不気味だな……)


「…くっ……い、行って参ります!」


 (かえで)さんは一瞬おねちゃんを睨み付けた後、そのまま俺にも鋭い眼差しを向けた…なぜ最初におねちゃんを睨んだのかは分からないが、もしかして彼女の本心も柴田勝家を味方にする事は反対だったのだろうか?…。


(俺、そんなまずい事を提案したのかな…それとも、また俺はあの子を怒らすような事を言ったのか?…う~ん、女心はまるで迷宮みたいだな…特に(かえで)さんは…)


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