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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第4章 令和のおなごは何かと面倒だ

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楓はメイドさん

「ねぇ?…瞳ちゃん?…たっちゃん達まだ~~?…うち、お腹すいたぁ~~…」


「昨日、あれほどお肉を食べて、まだ食欲があるの?」


 昨夜、みんなで食した焼肉、最初は血の付いた肉を見て少々不快に感じたのだが、焼いて食べてみるとかなりの美味(びみ)で、特に[タレ]なる汁はより肉の味を引き立たせ、私も知らず知らず何枚もの肉を平らげてしまった…。


「だって~、あんなご馳走初めてだったもん…でも、うちだけじゃなく(かえで)だってかなりお肉を食べてたしぃ~~…」


「ふふ、巽君達、殆ど食べずに焼き係になってたもんね…」


「でも、あぁしてみんなで食べるのって…楽しかった♪……うち、一生忘れない……ありがとね…瞳ちゃん…」


「もう、まだ明日もあるでしょ、ほら!…窓から巽君達の車が見えたわよ!…しんみりしないで、おねちゃんらしく笑顔、笑顔よ♪」


「う…うん…」


 それからすぐ、(あるじ)は私達の席を見つけると、藤本殿(どの)は奥方の瞳殿(どの)の横に座り、(あるじ)は藤本殿(どの)右側に座り私と対面となった。


「遅れてごめん!、ちょうど通勤時間と重なって混んでいたんだ…」


「で、瞳?…昨夜は彼女達、ちゃんと眠れていたか?」


「えぇ、色々初めての事ばかりだったから、やっぱり疲れちゃったみたいで、電気を消したとたん可愛い寝息を立ててたわ♪」


「あ、あの…瞳殿(どの)…その様な事は…」


「はは、ゆっくり休めて良かったじゃないか!…それで、もう注文は済ましたのか?」


「まだ、巽君達が来るのを待ってたのよ…」


「それはすまなかったな、で…もう瞳達は注文を決めてるのか?」


「うん、後は浩一と巽君だけよ…」


「そっか、じゃ…俺達は何を…するかなぁ~♪…」


 (あるじ)と藤本殿(どの)はそれぞれ[おしながき]の冊子を開き、何を注文するのか悩み始めた、そして…いよいよ私が勇気を出す(とき)がやって来た!。


(な、なんだ?…この緊張感は!…わ、私は…幾度も剣客と渡り合ってきたのに…たかが(あるじ)一言(ひとこと)お願いするだけでこんなに怯えるとは、伝承者の名が泣いてしまうではないか!)


「よし、俺はこの焼き魚定食にするか!…で、淳一は決まったか?」


「う~~ん、そうだなぁ~~…パンもいいし、日本人なら米も……いや、モーニングカレーは…」


「もう、巽君て昔から優柔不断よね~…男ならズバッ!と決めなさい!」


「ご、ごめん…つい目移りして…はは…」


(い、今だ!!)


「あ!…あの!…あ、(あるじ)!…」


「わ!…ビックリした~!…い、いきなりどうしたの?…(かえで)さん?…」


「そ、その…ま、まだ…お決まりでないのなら………こ、これを…お願いしてください!」


 私は自分でも信じられないほど恐る恐る[おむれつ]なる絵に指を指した…。


「オムレツ?……これを注文するの?…オムレツセット…ね……う~~ん…」


「い、いけませんか?…」


「巽君!…女の子が食べて欲しいとお願いしてるんだから、ここは男らしく、(かえで)ちゃんの願いに答えてやりなよ!」


「え、あ、は…はい…じゃ、この…オムレツセットを…」


「あ、ありがとうございます、(あるじ)♪」


 それからしばらくすると、次々と注文した料理が私達の前に並べられていく……ただ、(あるじ)の注文した[おむれつ]はまだ来ていない、それが更に私を緊張させていた。


(お、落ち着くのよ…(かえで)…今こそ、私はユリア殿(どの)の魂を受け継ぐのよ!)


[お待たせいたしました、オムレツセットでございます…]


(き、来た!)


「あははは~♪…これで全部揃ったね、では!…みなさんでぇ~~…いた…」


「あ、あの!!…あ、(あるじ)!…そ、その…お、[おむれつ]やらを、私に預けていただけますか!」


「え?…か、(かえで)さん?…なんで?…」


「もう~、(かえで)ぇ~~!…さっきから、たっちゃんに何をしたいのよぉ~~…うち、早く[ぱん]てのを食べたいんだけどぉ~~!」


「まぁいいから、おねちゃん!…もう少し(かえで)ちゃんを見守ってあげましょう♪…ふふ♪、そういう事か……」


「何だか、意味は分からないけど……じゃ、どうぞ…(かえで)さん……」


 (あるじ)は首をかしげながらも、[おむれつ]が乗った皿を私に差し出した!…私は皿の上にある[おむれつ]を見ながらそっと瞼を閉じ、精神を統一させていく!。


「あの?…(かえで)さん?……な、何をしたいのかなぁ~~?…」


(武を極めし者は、事を成す前、心を一点に集中させる……私は剣客!…恥かしさを忘れ…この一手に全ての魂を込める!)


「い、今からぁ~~…(かえで)が~~、ご主人様の[おむれつ]が美味しくなる[おまじない]をしちゃいまぁ~~す❤」


「は?…か、(かえで)…さん?…」


(かえで)ちゃん、それ…コーヒーの事よ…」


「うっ、その手があったか!…チッ、(かえで)のやつぅ~~~…」


 精神を統一した私は、静かに[ケチャップ]の筒を握り、白い蓋を開ける!。


(…剣舞を舞うように心を集中させのるだ、(かえで)!)


「い、いざ!…参る!!」


(かえで)ちゃん…やろうとしてる事と、言ってる事が支離滅裂なんだけど…」


(し、静かに呼吸を整え、まずは最初の一太刀(ひとたち)を……いきなり、ここでつまずくわけには…いかぬ!)


 私はユリア殿(どの)が先に描いてくれた猫ちゃんの耳から同じく画き出した!。


(猫ちゃんの……左み~~み❤……よし、いい感じで出来た♪…次は、二の太刀!…気を緩めるな、(かえで)!)


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