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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第4章 令和のおなごは何かと面倒だ

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みんなでモーニング

 [翌朝]


 これも日々の習慣なのか、私はいつも通り自然と日の出前に目が覚めると、昨日のらしくない自分を戒める為、床の上で静かに[禅]をしていた…。


(あるじ)に対し、何たる無礼な態度を私はしてしまったのだ…これは心の修練がまだ未熟だったからだ…このままでは(あるじ)の警護役すら全うに出来ぬではないか…)


 昨夜から私とおね殿(どの)は藤本殿(どの)の家でやっかいになっている、ここの(あるじ)である藤本殿(どの)は瞳殿(どの)に言われ、今は我が(あるじ)の家にて泊まっていた。


(何とか、昨日の失態を今日は挽回しなくては…)


 私の横で静かに布団で眠る瞳殿(どの)…おね殿(どの)は珍しい[ベッド]なる布団を見つけ、今はそこで寝息を立てている、恐らくはいつもそこで瞳殿(どの)が眠っているのだろう…。


(この時代に来てから驚かされることばかりだが、まさか民家にまで驚かされるとは…)


 瞳殿(どの)は狭くて不便な家だと言っていたが、私にしてみればこれほど快適な家は無いと思う、まず水汲みをしなくても丸い栓とやらを(ひね)ると出て来る水、あの絵が動く四角い箱…昼間のように明るい[るーむらいと]なるもの…水の流れる(かわや)…。


(それだけでも有り難いのに、身体を湯に浸ける風呂とやら…あれは特にいい♪)


 当然ながら行水しか知らぬ私達は瞳殿(どの)に付き添ってもらい、初めて風呂に入ったのだが、ほど良い湯の温もりに、その日の疲れなど消えてしまうようなほど心地よかった♪。


(瞳殿(どの)に教えられ使ってみた[しゃんぷー]と[りんす]、こんないい香りがする髪も初めてだ…出来ればお土産に持って帰りたいな…)


「ん、ん~~~~…あら?……(かえで)ちゃん、もう起きてたの?……おはよう…」


「おはようございます、瞳殿(どの)…」


 しばらくして私と瞳殿(どの)が着替えをしていると、おね殿(どの)がようやく目覚めぼんやりと辺りを見渡していた。


「おはよう、おねちゃん、よく眠れた?」


「うん…この[べっど]、凄く心地よくて、こんなにぐっすり寝れたの初めてかも知れない…ふぅわぁぁ~…」


 まず(あるじ)の前では出来ないであろう大きなあくびをしながら、おね殿(どの)はベッドから下り、のそのそと着替えを始めていく。


「さ、着替えが終わったら、朝の出掛ける準備をして巽君達と合流するわよ!」


「え?…瞳ちゃん、もうお出掛けするの?」


「そう、みんなで朝食をするのよ♪…ファミレスで♪…あ、ファミレスとは昨日パフェを食べたお店みたいな所よ♪」


「あは♪、朝からあんなお店に行けるの?…じゃ早く準備して行こう、行こう♪」


 この時代のおなごの身支度はかなり面倒だった…顔を白い泡泡で洗い、綺麗に髪を()き、毛の付いた棒で歯を磨く…たが、この歯磨きなる行為は私自身気に入ってしまった♪。


「ねぇ?、瞳ちゃん、まだ~?」


 私とおね殿(どの)(かわや)を済ませても、まだ瞳殿(どの)は鏡に向かい顔に何やら塗り続けていた…。


「この歳になると、顔の工事に時間がかかるの!…後はアイラインにシャドウ、ファンデーションにチークとリップをすれば終わるから、もう少し待ってて!」


(リップ以外、何を言ってるのか意味不明…)


「あははは~♪…なるほど~、昨日の夜は浩ちゃんと一緒に寝れなかったから、今日はそのお願いのつもりで綺麗にお化粧をしてるんだね~♪…なんなら、今夜はうちと(かえで)はたっちゃんの家にお泊りするよぉ~♪」


「な、何を朝から馬鹿な事を言ってるのよ!…その想像は大ハズレだから!…もう2人共玄関で待ってなさい!」


「おね殿(どの)?…何故、藤本殿(どの)と一緒に寝る為に、奥方の瞳殿(どの)は化粧をしなければならないのですか?」


「ほら!…おねちゃんが余計な事を言うから、(かえで)ちゃんまで喰い付いて来たじゃない!…もう2人共、大人しく玄関に行きなさい!」


 なぜ瞳殿(どの)が怒り出したのか意味不明だが、その原因がおね殿(どの)の一言なのは理解出来た。

 それからようやく瞳殿(どの)の化粧も済み、寝起きに見た彼女の顔が今は見事に変貌していた事に驚きながらも、我々は[ふぁみれす]なる大きな屋敷に到着し、屋敷の中で(あるじ)達がやって来るのを待っていた。


「あははは~♪…瞳ちゃん、もううちね、こんなお店での作法を覚えたよ♪」


「そう、それは…私も助かるわ…」


 もうお決まりかのように、おしながきが書いてある冊子をおね殿(どの)が嬉しそうに眺めている。


「ん~~…何だか、昨日見た冊子より食べ物の数が少ないぃ~~……」


「大体、ファミレスの朝のメニューはこんなものよ…やはりおねちゃんなら、この焼き魚のセットがいいかしら?」


「え~~~…そんなの元の時代に戻ればいつでも食べれるし~~…ねぇ?…この四角いちょっと焦げたのは何?…野菜と卵焼きは分かるんだけど…」


「これは食パン、外はカリッ、中はしっとり、そして表面がキラキラしてるのはバター、濃厚な味で美味しいの、で…その小さな赤い容器の中にはイチゴジャムが入っているの♪」


「そ、それもイ、イチゴジャムなるものですか!…そ、それは…甘いのですか?…」


「やっぱり(かえで)ちゃんはイチゴと聞いてノッて来たわね♪…えぇ、そのジャムを食パンに塗って食べても甘くて美味しいのよ❤」


「なるほど……あ、ひ、瞳殿(どの)!…この皿に乗った黄色い草鞋のような物は、昨日食した[おむらいす]なるものではありませんか?」


 私はおね殿(どの)が眺めている冊子を逆から覗き込んでいると、昨日メイド喫茶で食した[おむらいす]の絵を見つけた。


「あ、これはオムレツよ、えっと…ご飯の無いオムライスって事かな……玉子焼きをふわふわに丸めたものだと思ってくれれば…」


(見た目はあの[おむらいす]と同じ…それに、あの甘酸っぱい[けちゃっぷ]も添えている…これは是非、(あるじ)に注文して欲しい!)


(かえで)ちゃんは、そのオムレツがいいの?」


「い、いえ…私はイチゴジャムのある[しょくぱん]の皿がいいです…」


「じゃ、うちもそれがいい♪」


「なら、全員それにしましょうか?……で、(あと)は,好きな飲み物を飲めるようにドリンクバーも頼みましょうか?」


「あははは~♪…何?…その[どりんくババァ~~]って?…」


「誰がドリンク(ばば)ぁ~だって~~!」


「ひっ!!」



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