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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第4章 令和のおなごは何かと面倒だ

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自分が分からない…

 ♪バタン!

 ♪バタン!


 瞳ちゃんの合図とともにおねちゃんと(かえで)さんが車から出て来た!…だが、そこには俺の知っている彼女達の姿は何処にもなかった…。

 ドロップキックにラリアット、竹刀を振り回しパリピの口調で俺の予想を遥かに超えたイケイケ女性のおねちゃん、クールに口数少なくサイボーグのように無表情で剣術を扱う楓さん、そんな彼女達でも女性らしい可愛さを持っている事は知っていたが、衣装が変わるとこれほど魅力的に見えるとは、俺も正直恐れ入った。


「お、おねちゃんと…(かえで)さん…だよね?」


「ほぉ~~…女性って、変われば変わるもんだな…」


 やはり浩一も彼女達の容姿に言葉が出なくなっているようだ。


「どう?…浩一、巽君!、私のコーディネートは♪…」


 彼女達の着物姿しか知らなかった俺達は、ただ静かに車の横で立ち尽くす二人を見詰めていた…。



 [(かえで)視点]



 (あるじ)が戻って来ている、私は安堵と共に果たしてあの(かた)の視線はどちらを向いているのか気になっていた…。


「お帰りなさい、二人とも…買い物は楽しかったですか?…」


「あ……ある……!…」


「あははは~~♪……ねぇ?…たっちゃん!…見て見てぇ~…この[ようふく]、瞳ちゃんに買ってもらったんだよぉ~~♪…これ、うちに似合う?」


「あ………」


 おね殿(どの)はすぐさま(あるじ)の元へ駆け寄り、今の自分の姿を笑顔で披露し(あるじ)の気を向けさせた…。


「えぇ、とっても似合ってますよ!…一瞬、誰だか分からなかったです!…そのベレー帽がいいですね」


(ぁ…(あるじ)…)


「あははは~♪…ねぇ?…明日[ちょっぴんもーる]で、うちに合うリップをたっちゃんに選んで欲しいな~♪」


「でもこの前、おねちゃんに渡したリップもあるのでは?」


(やはり…(あるじ)は、おね殿(どの)に…リップなる(べに)を渡していたんだ……)


 私はまたあの不快な気分が胸の奥から湧き起こり、ついメイド衣装のスカートを右手で握り締めていた…。


「えぇ~~!、今度はうちとたっちゃんで選びたいのぉ~~♪…いいでしょ?」


 一瞬、おね殿(どの)の視線が私に向けられ、その直後軽く微笑んだ…別にあの二人が買い物をするぐらい(たい)したことは無いのだが、どうしてもこの不快な気分を拭い去る事が出来なかった…。


「じゃ、じゃぁ…明日も瞳ちゃん、付き合ってくれるかな?…なかなか化粧品の店って行きずらくて…」


「おねちゃん女性だし、気にする事ないじゃん…二人で行ってくれば?…」


(え?…それじゃ、私は…どう…なるの?…)


「あははは~♪…じゃ、浩ちゃんも(かえで)もみんなで行こう~~♪」


 この私でもおね殿(どの)の性格が読み取れない…普通なら(あるじ)と二人になりたいので瞳殿(どの)の案に乗ると思っていたのだが、なぜか彼女は全員を誘った…となれば、あの私に向けた笑みは一体なんなのだ?…この人の思考が全く読めない…。


(私の考え過ぎか…それとも、おね殿(どの)は、ただ楽しければそれでいいのか…分からない…)


「いや、私の車…そんなに乗れないし…巽君一人で満席よ…」


「それに、僕はまだ淳一に預ける荷物をまとめなきゃならないから、四人で行って来て下さい!」


「え、浩一?…男は俺だけになるじゃないか…」


「ハーレムだな♪…ただ、橘さん以外は人妻だがな♪…瞳?…明日はパートの店、定休日だろ?…また案内人頼むよ!」


「それは、これから始める焼肉の質にもよるけどね…」


「瞳ちゃん用に用意した肉は特上カルビに厚切りタン、それにロースとローストビーフのサラダもあるんだけどね♪…それでもダメかな?」


「特上タン❤…そ、それなら話は別よ♪……いいわ、明日も案内人になってあげる♪」


「そうこなきゃ♪…恩に着るよ、瞳ちゃん!…あ、2人共、クーラーボックスに冷たい飲み物も用意してあるから、先に飲んでてくれる?…俺は少し(かえで)さんと話しがあるので!」


(え?…あ、(あるじ)?…)


 私の事など気にも留めてくれないのかと思っていたが、(あるじ)は私と二人で話をするらしく、このもやもやした気持ちの不快感が少し楽になった。


「た、たっちゃん、…は、早く戻って来てよね!」


「ほらほら、おねちゃん、また珍しい飲み物があるかもよ♪…それに、特上タン、タン❤」


 瞳殿(どの)は不服そうなおね殿(どの)の背中を押し、あの煙が立ち昇る鉄の[籠]の(ほう)へと連れて行かれた…。


「あ、(あるじ)?…何か…私に…用でも?」


「え?……あ…い、いや……今日、初めてこの時代に来て疲れてはいないかと…」


「少し、疲れましたが、平気です…」


「そ、そう…良かった……それに、その服……やはり(かえで)さんに似合ってるよ……ほ、ほら…あまり、そういう言葉をおねちゃんの近くでは……はは……」


「べ、別に…あ……(あるじ)の為に……着たわけではありませんから!……」


「え?…」


(馬鹿!…なんで思っても無い事を口にしちゃうのよ!…どうして素直に「(あるじ)の為に着てみました!」が言えないの!…)


「そ、そうなんだ…ずっとメイド服着た女の子を羨ましそうに見てたもんね……」


「はい…」

(ち、違います……私は……おね殿(どの)よりも先に………私を……見て欲しくて…)


「あ、明日は一緒に行動できるから…また…警護を頼むよ……」


「こ……心得ました……」


 自分がこれほどまでに心が狭いおなごだったのかと思うと怒りを覚える…こうして(あるじ)が私に気遣い話しかけてくれたのに、こんな態度をしてしまった自分が許せなかった…。


[ほら、ほら、(かえで)ちゃんも巽君も、そろそろ始めるわよ!…と、その前に女性達は倉庫の中でその衣装から、私が着ていたお古のジャージに着替えてねぇ~~!]


「あ、(あるじ)……瞳殿(どの)が呼んでいますので、行きましょう…」


「う、うん……」


 私と(あるじ)の会話をしている姿をずっと瞳殿(どの)の後ろで見ていたおね殿(どの)は、[(くら)]の中でジャージなる着物に着替えている際も(あるじ)と何を話していたのか?と聞かれたが、私は何も答えずただ着替えに集中していた…。


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