楓!憧れのメイド衣装を買いに行く♪
私とおね殿がそれぞれ出来上がった[ちぇき]なる絵をユリア殿から貰っていると、ようやく頭目との話しが終わったのか、瞳殿が店の奥から戻って来た。
「あら?…どうしたの?…二人とも店の中で立ち尽して…」
「はい、今…ユリア殿と[ちぇき]をいたしておりました♪」
「楓ちゃんの口からチェキの言葉を聞くなんて驚きだわ……どれどれ、見せて見せて~♪」
私は先ほど出来上がった絵を瞳殿に手渡したが、おね殿は非常に不満そうな表情をし、瞳殿と目を合わそうとはしなかった。
「あら♪…楓ちゃん!…とっても可愛いポーズしてるじゃない♪…」
「た…ただ指先を…唇に当てただけですが…」
「それが女の子の可愛い姿なの♪…でも…ほんと、可愛い!…楓ちゃんならこの時代のアイドルになれるわよ♪………で、でも……そ、その隣の方は………う、うん!…とっても松葉ガニにそっくり…と、特に、この口を少し開いて偶然上目になった顔……と、とれとれピチピチに見えるよ~~……」
「なんか嬉しくない………楓…その絵、絶対!、たっちゃんに見せないでよね!……」
「し、しかし…これは、おね殿が自分で……」
「こ、こんな風に…なるとは、思わなかったから……ぐすっ…う、うえぇ~~~…ユリアしゃん!…もっかい、あの絵を作ってぇ~~~~!!」
「そ、それはよろしいですが…追加料金かかりますけど……」
「う……うぅ……ひ、瞳…しゃん……ぐすっ……おねぎゃい……」
まぁおね殿の気持ちも分からないことは無い、私だってあんな姿を主に見せるなんて絶対嫌だと思う…。
「わ、分かったわよ!…もう1回撮ってもらいなさい!」
「え?…あははは~♪…やたーーー!」
「ほんとにこんなんで…この人学校の教科書に載るのかしら?…一度文科省に事実を伝えたいわ…」
「え?…なに?…瞳ちゃん?」
「なんでもない…」
こうしておね殿は再戦を許され、改めて我らは[ちぇき]なる絵を作り直してもらった…そして、おね殿がユリア殿から新しく教わったポーズは、軽く右手を挙げ「いらっしゃいませ、入口はこちらでございます」のポーズらしい…。
「あははは~♪…これ可愛い~~…楓!…これならたっちゃんに見せられるね~~❤」
(…間違って最初の絵を主に出したら面白いのに…)
「やれやれ、なかなかの出費になったわ…後できっちり巽君に請求してやる…あ、楓ちゃん!、御希望の衣装が売っているお店を教えてもらえたわよ♪」
「ま、真でございますか!…」
「えぇ、それもここから歩いてすぐの場所よ♪…行ってみる?」
「ぁ…あ…は、はい♪」
「じゃ、ユリアちゃん、お会計お願い出来るかしら?」
「はい、お嬢様❤」
私達は支払いを済ませ、ユリア殿から「行ってらっしゃいませ、お嬢様♪」と見送りをしてもらい、ついに私が憧れたメイド衣装を買いに向かうのだった♪。
[一方、永禄時代では]
[藤吉郎視点]
「兄上、あれから月日が流れましたが、姉上も巽殿も息災でしょうか?」
「うむ、楓ちゃんも付いておるので心配はなかろう…じゃが、わしは巽殿が未来の道具で楓ちゃんの着替えとかを覗いていないか気になる!…」
「それなら姉上も同じではありませぬか?」
「い、いや…恐れ多くも、森様からお預かりしたおなご、粗相があってはわしが森様に顔向けが出来ぬではないか…おねよりもそちらの方が心配じゃ!」
「巽殿はその様な事をなさる方では無いと思いますが…」
「小一郎、お主は想い人の八重がおるから分からぬのやも知れんが、男とはちょっとした事で心に隙が出来てしまうものなのだ!」
「では、兄上は毎日、心に隙が出来ているのでしょうな…」
とたんに小一郎の目が細くなり、冷ややかにわしを見詰め始めた…それは兄を敬うというよりも、呆れていると表現する方がいいかも知れない。
「な、何の事じゃ?……」
「とぼけなさるな、先日清洲城へ[夫役]報告の為に赴いた所…女中の者から兄上をどうにかして欲しいと嘆願されました…何かにつけちょっかいを出してくるので困ると…」
「そ、それは…あれじゃ、台所の場を明るくしようと……」
「もし、この件が姉上の耳に入れば、なんと申し開きをされるのですか?」
「し、しかし…おねも、楓ちゃんと令和の時代で遊んでおるのだ…わ、わしだって少しは遊びたい…」
「兄上!」
「はい、すみません…以後、気を付けます……多分……」
まだまだ巽殿が戻って来るまで日にちがある!…わしは閻魔の居ないこの夢のような時間を無駄にする事を諦めずにいた♪。
「それにしてもじゃ、あの巽殿の献上品、あれもかなり殿はお喜びであったな♪」
「えぇ、まさかあの着物の下に風が出る丹前のような物を着け暑さをしのぐとは…あれを考えた御仁は大したもんです!」
「あれから胡蝶様もご機嫌だと殿も言っておられた♪…それにの!…酒宴の際、殿自ら酒を一気飲みするお姿を皆の前で披露されたそうじゃ!」
「おぉ、それはまた豪気な事を…で、それは…あの…」
「うむ♪…あの酔わない酒じゃ♪…いやぁ~、欄丸殿から聞いたのじゃが、あの底なしでもある勝家殿と飲み比べをし、殿が勝たれたそうで、それはそれは殿の御威光が高まったそうじゃ♪」
「全く、凄い方ですね…巽殿は…これほどの短い期間で…見事に殿のお心を掴まれた…あぁ、私も早く巽殿にお会いしたい…もっと勉学を教わり殿のお役に立ちたいです…」
「わしも会いたい…楓ちゃんに……」
「は?…」




