楓!萌え萌えオムライスを食す❤
瞳殿がコーヒーとやらに口を着けるまで、私はこれまで味わった事の無い耐えがたき恥ずかしさをようやく乗り越えていた!。
(こ、この記憶だけは……すぐに忘れたい……)
「さすがお嬢様ですね❤…皆様、とっても可愛かったですよ♪…特に浴衣のお嬢様の「ぐ~~る❤……ぐ~~る❤」は凄く可愛くて、ユリア感激しちゃいましたぁ~~♪」
(お、お願いだから…もうそこに触れないでもらいたい!…せ、切腹したくなるので……)
「ねぇ~、ねぇ~、ユリアちゃん!…うちはどうだった~?」
「はい♪…とても心がこもっていましたから、きっとお嬢様のコーヒーも美味しくなっているはずですよ♪」
「あはは、そうかなぁ~❤…瞳ちゃん、こーしー美味しい?」
「え、えぇ……お、美味しい……わよ……」
「やたーーーー♪」
間違いなくおね殿は、この令和の時代から更に500年後の未来に行ったとしても、平然と生きていけるだろうと私は実感した…。
[お待たせいたしました、萌え萌えオムライスでございます♪]
「あははは~♪…やっと楓の[おむらいちゅ]が来たねぇ~~~…」
別のおなごがこの[おむらいす]やらを持って来てくれたのだが、先ほど冊子で見た絵とはかなり違う見た目であった。
「あ、あの…ユリア…殿?……これは私があの冊子で見た[おむらいす]と違うのでは?…上に血文字がありませぬ…」
「血文字?…うふ♪…お嬢様のお言葉は面白いですね♪…それは今からユリアが書いてさしあげます、恐れ入りますが、お嬢様のお名前は楓様でよろしいでしょうか?」
「そ、そうですが…」
「ありがとうございます、では…」
ユリア殿は、何やら血のようなものが詰まった珍妙な形の筒を手にした!。
「ユリア殿?…その血が詰まった筒なる物は何ですか?…」
「え?……うふふ♪…本当にお嬢様は面白い事を言われるのですね、これはケチャップですよ♪…トマトを潰したソースです、お嬢様も御存知ではありませんか?」
今日、460年前から来たのだ、そんな[とまと]やら[けちゃっぷ]など知るはずもないのだが、不安そうに私を見詰める瞳殿の手前、ここは話を合わせるのが賢明だと判断した。
「し、知っておりまする!……い、今はユリア殿をからかったまで…は、はは…」
「まぁ、本当にお嬢様はお茶目さんですね、でも…あまりユリアをからかうと、プンプンしちゃいますよぉ~~♪」
「ぷ…ぷんぷん?」
「はい♪…じゃ、教えますね!…まず、両手をグーにして、このグーになった両手をこめかみにトントンと、叩きながら……ユリア、プンプン!」
「は…はぁ……それが、ぷんぷんなるものですか…」
「あははは~♪…ユリアちゃん可愛い~~❤…今度からうちもやるぅ~~♪…おね、ぷん、ぷん、ぷん!」
(…おね殿、あほですか?)
何とか誤魔化しが上手くいったのか、瞳殿の表情にも安堵が窺え、彼女は静かにコーヒーとやらを飲み始めた。
「では、今から楓お嬢様の為に、ユリアが愛情を込めてお名前を書かせていただきます❤」
ユリア殿は[けちゃっぷ]の筒を持つと、笑顔で[おむらいす]を見詰めた、そんな彼女の様子を我々は固唾を飲んで見守る…。
「いきます♪………まずは……」
(ん?……私の名前は…かえで……なのに…なぜ、いきなり私の名と関係の無い[∧」の文字を書き始めるのだろうか?…)
暫くユリア殿の様子を見ていると、彼女が何を画いていたのか理解出来た!。
「あははは~♪…猫ちゃんだぁ~~~!…可愛いぃ~~❤」
「はい♪…で、その猫ちゃんの顔の下に……か~~~~……え~~~~……で~~~~……と❤」
「あ~~~、楓いいなぁ~~~!……うちも[おむらいちゅ]にすれば良かったぁ~~!」
(ポッ❤…ほ、本当に……可愛い❤)
「そして、最後に…❤マークで囲って……完成です♪……ユリアお手製、楓お嬢様オムライスで~~す♪…どうぞ、お召し上がり下さい❤」
「こ、この…可愛い猫ちゃんが……私、ですか?……これほど可愛い猫を画いて頂いたのに、食べるのは申し訳ないです…」
「またいつでも来店していただければ、画きますよ♪…さ、温かいうちにどうぞ♪…はい、スプーンです♪」
「ありがとうございます…い、いただきます…」
「ねぇ?、ねぇ?…ユリアちゃん!…じゃ、次はうちの名前で画いてねぇ~~~♪」
「畏まりました、お嬢様❤…またの御来店を心よりお待ちしております♪」
初めて食した[おむらいす]…滅多に口に出来ないふわりとした卵と甘酸っぱいご飯の味が重なり、更にこの赤い[けちゃっぷ]なる濃い汁が更に食欲を促してくる!。
(こ、こんな美味しい卵とご飯は初めてだ……[おむらいす]…私の好物になってしまったようだ❤…またあの時代に戻る前に食べておきたい…もう、二度とこの時代に来れないかも知れないから……なぜか…そんな予感が…している……)
「ねぇ?、ユリアちゃん?…今、ここに店長さんかオーナーさんは居るかな?」
「え、本日はオーナーも居りますが…あ、あの…何か私のご奉仕に不手際でもありましたか?…」
「いえ、ユリアちゃんは最高に私達を持て成してくれたわ♪…実は、この楓ちゃんなんだけどね、今度の学祭でメイド喫茶をする事になって、それでユリアちゃん達が着ているメイド衣装の取引先を教えてもらいたくてね♪」
「あ、そうですか、ではオーナーをお呼びしてきますので、暫くお待ちを♪」
一瞬、不安そうになった顔をしたユリア殿だったが、今回は上手に嘘を言えた瞳殿の言葉に安堵し、[おーなー]という人物を呼びに行ったようだ。
「どう?…楓ちゃん?…オムライス、美味しい?…」
「はい♪…これなら全部食べられそうです❤」
「えーーーーーーー!!…ちょっと楓ぇーーー!…うちの分、残しておいてよぉ~~!」
「なら、おね殿も頼まれてはいかがでしょうか?」
「う……ぜ、全部は…もう食べれない……あぁっ楓!…ねぇ?…ちょっとだけ頂戴よぉ~~~~!」
「ふぅ…分かりました、おね殿の分も…残しておきます…」
「あまり端っこは嫌だからね!…ちゃんとうちが満足する量を残してよ!」
「はぁ…分かりました…」
なぜ藤吉郎様がおね殿と夫婦になったのか全く理解出来ないが、この何処にでも動じない心の強さに惹かれたのかも知れない…。
[お待たせいたしました、当店のオーナー(工藤彩香)でございます、本日は御来店ありがとうございます]
(ん?…お、おなごの頭目か!)




