戦国女子!ランジェリーショップに入る!
「さて、心の準備は出来たようね?…今からあの店に行くけど、あそこの店の店長…いえ、女将は私の友達なの!…だから、ちゃんとしたサイズを測ってもらってからランジェリーを選ぶようにしましょう♪」
「さいず?…瞳殿?…それはいかなる物ですか?」
「えぇ~~っと……ま、それは後から分かるから!…とりあえず私に着いて来て…」
いよいよ私達はこれまで見た事も無いほど明るい店の中に入ったのだが、そこはまるでおなごの園のような場所だった…それに、至る所でおなご達が[らんじぇりー]なる物を手にし楽しそうに笑っている!。
(そ、それほど楽しそうにしているとは…よほど男にあの人形の様な姿を披露したいのだろうか?…全く、この時代のおなごは乙女の慎ましさを知らぬのか?)
「さてと、我が友、恭子はいずこに~~~~………あ、居た居た♪…おねちゃん、楓ちゃん、ちょっち友達を呼んでくるから、ここで大人しく待っててね!…何処にも行っちゃダメよ!」
「あははは~♪…いいよ~…」
「畏まりました…」
瞳殿は、店の奥で[ランジェリー]とやらを綺麗に折り畳んでいる髪の短いややふくよかな容姿のおなごの元へと向かった、恐らくあの彼女がこの店の女将なのだろう…。
「あははは~♪…ねぇ?…楓ぇ~、やっぱりうちは桃色が似合うんだってぇ~♪…」
「そのようですね…」
「ふふん♪、たっちゃんもね、うちの為に!…うちの為だけに!!…桃色の[リップ]っていう紅をこの時代から買ってきてくれたんだよぉ~♪」
「それはおかしいです…確か、小一郎殿や、仲様にも土産があったと聞き及んでおりますが…」
「うっ…で、でも!…楓なんて、たっちゃんから何も貰ってないでしょ!…」
「そ、それは…従者が…主から施しをされるわけにはなりませぬゆえ…」
忍びの鍛錬で[人相判断]を会得している私は、ずっと前からおね殿の唇は気になっていた、本来おなごが付ける紅はほんのりと赤いはず…なのに、彼女の唇は桃色だったからだ。
(…確かに…おね殿の唇はキラキラして綺麗だった……あれは……主が、おなごのおね殿に……)
「ふふん♪…せっかく[れいわ]に来たんだから、今度はたっちゃんに直接うちのリップを選んでもらおうかなぁ~❤…」
「ど、どうぞ……御自由に…」
「で~も~……その時だけどぉ~~…楓は何処かに消えててよねぇ~~……」
「な、何故です?…私は主の警護役!…離れるわけにはまいりません!」
「おんやぁ~…今はたっちゃんと離れてるじゃん!…もう楓だって、この時代は安全だと分かってるんでしょ?…お馬鹿のうちでも気が付いてるんだもん、あんたが気が付かないはずないでしょ?」
「そ、それは……」
「ふひ♪…だ~か~ら~…うちとたっちゃんの買い物を~…邪魔しないでよねぇ~~♪」
「す、好きになされば…よ、よいのでは……」
「ふひ♪……じゃぁ~~、そうするねぇ~~~~~♪」
おね殿は無邪気な笑みを浮かべながら、自分の顔を私の顔に寄せた…。
(……え!!……わ、私………今……右手を…握り締めている?……それに…この不愉快な気持ちは何なのだ?……たかが主とおね殿が買い物をするだけなのに……)
「お待たせ!…ちゃんと大人しく待っててくれたようね!…」
瞳殿は明るい表情で私達の待つ場所へあのおなごと共に戻って来た…ただ、今の私は彼女と逆の心境だが…。
(これはまだ、私の心がこの時代に対し敏感になっているからだろう…買い物だけで不愉快になるなど、笑止千万…まだまだ鍛錬が足りてない証拠…それに、今のおね殿は、私に敵対心など持っていなかったのだ…なのに…私は…)
「さ、紹介するわね、私の友達でもありこの店で一番えらい人!…近藤恭子さんです!」
「なんだか変な紹介ね、初めまして、近藤です!…今日はお嬢さん達のランジェリーをチョイスさせていただきます、まずB・W・Hのスリーサイズやカラー…それに、人それぞれ好みのデザインがあるのでゆっくり決めていきましょうね♪」
(…このおなごの言ってる言葉…半分しか理解出来なかった…)
「じゃ、今度はこちらの自己紹介ね、この可愛いポニーテールのお嬢さんが橘楓ちゃん、そして…」
「あははは~♪…うちは、きのし……ぐっ!!!…」
いきなり瞳殿は右手でおね殿の口を塞いだ!…私の想像だと、またおね殿が余計な言葉を滑らしてしまう事を警戒したのだろう!。
「はは、恭子…こ、この子は[おさね]ちゃん、わ…私の親戚なの!……は、ははは……」
「そ、そう…よ、よろしくね……」
「あ、あのさ!…恭子、この子達…本格的にランジェリーを買うの初めてで…試着室に入るの緊張するかも知れないから、私も一緒の方がいいんだけど…」
「そう…じゃ、一番奥の広い試着室が空いてるか確認してくるわ…少し待ってて…」
近藤殿は何やら不思議そうな表情でこの場を離れ、試着室なる所へと向かって行った…。
「ちょっと、瞳ちゃん!…何でうちの口を塞ぐのよ!…それに、[おさね」って何?…」
「あのね、この時代に[おね]なんて名前の子はまず居ないの!…それに、フルネームだと色々な事で面倒になりそうだし…恭子はあぁ見えて歴オタだから……と、とりあえず、この店に居る間、おねちゃんは[おさね]で通してもらうわ!…でないと何も買ってあげないからね!」
「…う……分かりました……今から…[おさね]になる……」
「あ、あの…私は…楓で…よろしいのですか?…」
「うん、この時代でも楓って名前の子は居るから、あなたは大丈夫よ♪」
「…なんでこの時代まで[楓]の名前が残ってるのに、[おね]は残ってないのよ!…」
「え、えっと……べ、別の名前で…の、残ってるんだけどね…教科書とか……」
「え?…瞳ちゃん?…今、何か言った?…」
「いえ、何でも無い…」




