戦国女子!ランジェリーなるものに興味を抱く!
「ちょ、ちょっと、おねちゃんも…楓ちゃんも、こっちにいらっしゃい!」
瞳殿は私達を壁際に誘い、両手で口を囲みながら小さな声で問いかけを始めた…。
「あまり大きな声で言えないけど…おねちゃんも楓ちゃんも、私はおなごに見える?」
「え?…何処から見ても瞳殿はおなごに見えますが…」
「うん、うちと同じ位の美人だよぉ~♪」
「じゃ、これから、おなごの身に拘わる大事な話をするから、私の問いかけに答えてちょうだい!」
何やら瞳殿の顔が真剣になっている…これはもしかすると、この[しょっぴんぐもーる]内に不貞な輩が潜み、そやつはおなごらの敵なので我らが結束し成敗する考えなのかも知れない!。
「瞳殿、私は…いつでも…心構えが出来ております!」
「うちは何でも答えるよぉ~♪」
「じゃ、聞くけど……おねちゃんと楓ちゃんは浴衣の下に何か着けてる?」
「は?…いえ、本来…浴衣の下には、何も着けないのでは?…それが、何か?…」
「あははは♪…うちも浴衣の下は、スッポンポーーーン♪」
(瞳殿は、何を聞きたいのだ?……浴衣の下に何も着けない事がおかしいのだろうか?…まさか、この時代の不貞な輩は浴衣のおなごを狙っているのか!…なるほど、浴衣ならすぐ脱がす事が出来そうだからな!…だが、そのような輩は、私が愛刀[虎斬燕]で首を刎ねてやる!)
「う~~ん……やっぱり…危険だわ……」
(なるほど……この時代の不貞な輩は危険なのか!……ふっ、ならば、私を狙うなら狙えばいい!…そやつの命日を今日にしてやる!…)
これほど悩んでいる瞳殿は初めて見る…よほどこの時代のおなごは、浴衣を着るのを用心せねばならぬようだ…。
(だが…[うめだ]とやらでは、浴衣を着たおなごを大勢見たが……そうか、複数で行動するには安全という訳か…となると…一人の時が危険なのだな!……ならば、私が囮となるか…)
「瞳殿!…先ほどの[びっぐぱふぇ]の礼に、私が一肌脱ぎましょう!…」
「えっ!…だから、脱いではダメなんだって!…」
「心配ありません、私の大和飛燕流に敵などおりません!…浴衣のおなごを狙うような不貞な輩は、私が成敗いたします!」
「いや、あのね…今、楓ちゃん…もの凄く勘違いしてる………だから、もう一度…丁寧に質問するね…」
「は……はぁ……」
瞳殿の表情が、まるで疲れながらおね殿と話をしている主のような顔になった、せっかくこの令和の時代に大和飛燕流の名を轟かせたかったのだが、どうやら私の思い過ごしだったようだ…。
「すぅぅ~~~~~………はぁ~~~~~………すぅぅ~~~~~………はぁ~~~~~……よし……あ、あのね…お、女の私が…言うのも…へ、変なんだけど………もうちょっと私に顔を寄せて……」
「な、何でしょうか?」
「あははは♪…睨めっこ?…」
私達3人はかなり互いの顔を寄せ、私とおね殿の視線は瞳殿に注がれた…。
「ち、小さい声で聞くけど………おねちゃんと…楓ちゃん……ここで浴衣の襟を広げて…オッパ……いえ、お…お乳を…出せる?…」
「い!…いきなり、な、何を言われるのですか、ひ…瞳殿!…」
まさか、瞳殿は亭主が居るにも拘わらず、女人好みのおなごかと思い、つい私は浴衣の襟をしっかり正してしまった!。
「さ、さすがに…うちも……そんな事出来ない……辺りに…し、知らない男も…居るのに…」
「でしょ?…でも、もし…もし、何か不幸な出来事が重なり、おねちゃんや楓ちゃんの浴衣が脱げてしまったら?…それも大勢の男が居る前で?…」
「そ、そんな事になれば…御先祖に顔向けが出来ませぬ……私なら…自害の道を選びます…」
「う、うちも……藤吉郎と離縁して…あ、尼さんに…なる……」
「そうでしょ?…それほどおなごの肌は尊いのよ♪…そう簡単に男に見せるもんじゃない!……で、そのおなごの尊い所を隠してくれるのが、あの店のランジェリーなのよ!」
「え?……あ、あの店がですか?」
「えぇ、ほら、よ~くあの店の前に立っている人形を見て…マネキンっていうんだけど…ちゃんとランジェリーがおなごの尊い部分を守ってくれてるでしょ?」
瞳殿が指差した人形の背丈は実際のおなごと変わらず、彼女の言う通りおなごにとって大切な場所は布地で守られていたが、なぜかその布地は色鮮やかな紫で、見た事のないような花の模様と、淡い緑の蝶結びをした小さき紐が布地の上部分に施されていた。
(なるほど、下の布地はそうなのか…で…あの上で巻いたサラシのような生地にある二つの山が乳を隠しているのだな!…これなら乳がこぼれ出る事はなさそうだ…)
「あははは♪…あの桃色のやつ可愛いね!…でも、あの上に着物を重ねて着るんだよね?…せっかく可愛いのを着けてるのに、何だか勿体無いような……」
「ふふ、いい所に気が付いたわね♪……この時代の女の子は、普段見えない所にも着飾るの♪…それを[密かなおしゃれ]って言うのよ…ある意味自己満足な所もあるけど、恋するおなごなら…愛する人にだけ自分のランジェリー姿を披露し彼に褒めて欲しい夢もあるわね…」
「あははは♪…瞳ちゃんもそうなの?…」
「えっ!……や、やだ……もうそんな時代はとっくに終わってるわよ……でも、あのピンクのランジェリー…おねちゃんに似合うかもねっ!…」
「おぉ~…実はうちもそう感じていたのだ♪…瞳ちゃん、うち!…何だかやる気が出てきたよぉ~!」
その気になったおね殿とは違い、少し私は不思議な気持ちになっていた…あの瞳殿の言葉を聞いた時…なぜかその瞬間、私の頭に主の顔が浮かんだからだ…。
(あ、あの[メイド]なる着物はいいが、あれほど肌を露にした姿を…あ、主に見せるなど…剣客としては恥…けど、分からない…なぜ主の顔が頭に浮かんだのだ?…そうか、これは恐らく令和の時代が私を麻痺させているに違いない……)




