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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第3章 戦国女子が令和の時代に来るとこうなります!

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戦国女子!初めてカフェに入る!

 私とおね殿(どの)が藤本殿(どの)の奥方に飼われている(あお)(いのしし)に乗せられ連れてこられたのは、茶色い壁造りの御殿だった…。


「あははは~♪…ねぇ、ねぇ?…瞳ちゃん?…ここが甘い物が食べられる茶店(ちゃみせ)?…」


「そ、そうよ…で、出来れば、店内では…静かにしておいてね……」


「瞳殿(どの)……どこにも…甘い物らしき物は…見えませぬが…」


「ここは中に入ってから注文をするの…ま、私に着いて来て!」


 恐らく入口であろう大きな板の戸を瞳殿(どの)は手前に引き、先に我らを通すと目の前には信じられないような光景が広がっていた!。


「な、こ…これが…茶店…なのですか?」


 御殿の中は、至る所に長い縁台のような腰掛けが各々(おのおの)台を挟んで並び、更にまた食欲を刺激させるような芳しい香りが店に漂っていた!。


「あははは~♪…ここも涼しいねぇ~~…れいわのお店は、何処に行っても涼しいんだぁ~♪」


「お、おねちゃん…シッ!…」


 [いらっしゃいませ、お三人ですか?…空いている席にどうぞ♪]


 我らは女中(じょちゅう)に言われた通り、壁際にある腰掛けに座った…おね殿(どの)はまたしても瞳殿(どの)の横に座り、私は一人対面の席に座った…。


(それにしても……ここに入ってから…人の視線を感じる……まさか、私が剣客だとバレたか?…それとも…この[仕込み(がたな)]を見抜かれている?)


「ひ、瞳殿(どの)…何やら先ほどから人の視線が気になるのですが……私が剣客だと知られたのではありませんか?…」


「くす♪…違うわよ、きっと(かえで)ちゃんも、おねちゃんも、その浴衣姿が綺麗だからみんな見ているのよ♪…お2人共美人だし♪…」


「ご、ご冗談を……」


「冗談じゃないわよ♪…お化粧もしていないのに、そんなに素顔が綺麗なんだもの♪…羨ましいわ…」


「け、剣客に…化粧など…必要…ありません…」


「くす♪…でも、(かえで)ちゃんは剣客の前に女の子なのよ、女の子は恋をすればもっと綺麗になるんだから、(かえで)ちゃんは誰か好きな人とか居ないの?…」


「わ……私は……その……」


「あーーーーーーーーーーーーー!!…瞳ちゃん!…そんな話より、うち、早く甘い物が食べたいなーーーー!!…」


 いきなりおね殿(どの)は私と瞳殿(どの)の会話に割り込んだ…どうやら早く甘い物を食したいのだろう…。


「ご、ごめんなさい……じゃ、これを…」


 何やら瞳殿(どの)は壁際に立ててあった大きな冊子を手にすると、おね殿(どの)の前に置いた…。


「さ、ここに記載されてある商品を選んでね♪」


 瞳殿(どの)は何枚か冊子の(こう)を開いていき、その中身をおね殿(どの)が眺め始めた!。


「すごーーーい!…この冊子の絵!…まるで本物みたい~~~!…何、何?…この絵のやつ、みんな食べられるの~~?…あははは~♪…全部美味しそう~~!…」


「お、おねちゃん…もっと静かに…シッ!…」


 [あんなに綺麗な人なのに…]

 [隣に居る普段着の人…施設の人かしら?…]


 忍びの極意を極めた私は他の者より耳が効く…どうやら私には意味不明な会話にしか聞こえないが、おね殿(どの)の事を話してるようだ…。


(なるほど、この茶店(ちゃみせ)ではあまり騒がぬ(ほう)がよいのだな…)


「あははは♪…うちね、コレと…コレ!!…えいっ!……えいっ!…」


 おね殿(どの)は冊子にある絵に向かって人差し指の先を押さえ付けた!。


「お、おねちゃん?……何をやってるの?」


「あのね~、たっちゃんが、じはんきで~…欲しい物を押したら出て来るのを見たの~♪…だからうちもこの絵を押してるぅ~♪」


 [たっちゃんて、お友達の事かしら?…ちゃんとあの子に注文方法を教えてあげればいいのに…]

 [でも、お友達が居るのはあの子にとって素敵な事よ…]


 意味は分からないが、どうも周りの声はおね殿(どの)に対し同情しているような感じに聞こえる……となると、私もその中に入っているのだろうか?…ならば、ここは瞳殿(どの)を見習うとしよう…。


「えっと、プリンアラモードに…杏仁豆腐ね……で、(かえで)ちゃんは何にする?」


「あ、私は…瞳殿(どの)と同じで…構いません…」


「私と同じでいいの?」


「えぇ、構いません♪」


「じゃ、ビッグパフェにするわね♪…ふふ♪…この際だから、旦那に内緒で贅沢しちゃうわ♪」


「びっぐぱふぇ?…」

(ぱふぇ…どこかで聞いたような…)


「それは来てのお楽しみ♪…きっと(かえで)ちゃんも気に入るわよ♪」


「ありがとうございます、では、楽しみにしております…」


 [あら?…あの子も職員さんかしら?…とても礼儀正しいし…]

 [そうみたいね、だって今日は天神祭りでしょ?…迷子にさせないよう二人体制なのよ…]


 剣客に同情はいらない…どうやら私は、おね殿(どの)とは別の存在だと分かってくれたようだ。


「じゃ、店員さんを呼ぶわね…」


「あ、では…私が…先ほどの(かた)を……呼んできましょう!」


「そんな事をしなくても、ここに来てくれるわよ♪…そこに備え付けてあるボタンを押せばいいの…」


「なるほど、ボタンとやらを……」


 これは見覚えがある形だ、(あるじ)が[じはんき]とやらで飲み物を買ってくれる際に押していた突起物だ!。


(こんな使い方も出来るのか…なかなか有能なのだな…このボタンとやら…)


「あははは~♪…それ、うちが押したい、押した~~い♪」


「じゃ、お……おねちゃんに任せようかしら……」


「やたーーー♪…じゃ、いくよぉ~~~………えいっ!…」


 ♪ピ~~~~~~ン、ポ~~~~~~ン


「あははは~♪…いい音がしたねぇ~~♪」


 [あの子、凄く嬉しそうじゃない、大人の年齢になっても、色々な物に興味があるのね…]

 [職員さんもいい人そうだし、あの子も幸せじゃないかしら?…今日はあの子にとって、楽しいお祭りの思い出になるといいわね♪…」


 やはり…私の耳には、おね殿(どの)に対し同情しているかのように聞こえていた…。


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