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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第3章 戦国女子が令和の時代に来るとこうなります!

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浩一と戦国女子

 どうやら、まだ戦国時代には[おしるこ]という甘味は存在していなかったみたいで、てっきり楓さんも期待してくれるとばかり思っていたのだが、無反応の彼女に少々俺は拍子抜けしてしまった。


(水あめなんか平安時代には存在していたらしいから、てっきり[おしるこ]もあると思ってたけど…戦国時代よりまだまだ未来の甘味だったのか?…)


「あ、あの[おしるこ]は小豆を甘く煮た飲み物で、楓さんが気にしているゲップも出ませんよ…はは…」


「なら…それで……お願いします……」


 俺はまた自販機で[おしるこ]を購入し、缶のタブを開けてから楓さんに手渡した。


「あ……(あるじ)…ほ、本当に……この筒…冷えてます……」


「さ、飲んでみて下さい…気に入ってくれればいいけど…」


「…は……はい…………クビッ!………!!……あ、甘いです♪……冷たくて……美味しいです♪」


 こうして俺達は暑さで乾いた喉を潤しながら、浩一の到着を待っていた…ちなみにおねちゃんは楓さんが飲んでいた[おしるこ]も気になったのか、また俺におねだりをし、更に楓さんも「甘すぎたからお茶が飲みたいです」と、言い出す始末だった…。



 [十数分後]



[おい、淳一!…ここに居たのか?…さっきから電話を鳴らしていたのにさ!…探したぞ!]


 暫く自販機前で俺達がくつろいでいると、俺にとっては久しぶりとなる浩一の生の声が聞こえてきた!。


「おぅ!…すまん、浩………いっ!!」


 俺が浩一に返事をしようとした時、いきなり手にしていたお茶のペットボトルを地面に捨て、楓さんは俺を(かば)うように浩一の前へと立ち塞がり、腰帯に差していた[仕込み刀]の(つか)を握った!。


「役目により…貴殿の姓名を聞かせていただく!」


「お、おい…淳一…な、何この子?……時代劇オタか?…」


()(あるじ)に何用か?…姓名を名乗られよ!…名乗らねば…間者(かんじゃ)とみなし、この場で貴殿を……」


「だぁーーー!!…楓さん、楓さん!…彼は私の親友です!…私達を迎えに来てくれたんですよ!」


「…ぇ……あ、(あるじ)の……し、親友!……あ、あの…大変失礼をいたしました!……わ、私…(あるじ)の警護をするよう(めい)を受けております橘楓(たちばなかえで)と申します…」


「…なぁ?…淳一?…どういう事?…もしかして…お前、戦国時代でナンパでもしてきたのか?…」


「いや、まぁ…これには色々訳ありでさ…後で話すよ…」


「あははは~♪…この時代にたっちゃんの命を狙う馬鹿が居るわけないじゃぁ~~ん!…(かえで)って、結構早とちりなおなごだねぇ~~!…あははは~♪」


「…淳一……このノリノリで能天気なお姉さんは?……誰?……」


「あははは~♪…うち?…うちは[木下おね]だよ~♪…こう見えて亭主持ち!…亭主は[藤吉郎]って言って、おなご好きで~さえない表六玉(ひょうろくだま)のボンクラ亭主なんだよ~♪」


(藤吉郎様が居ないと思って言いたい放題だな…)


「…木下おね……亭主が…木下藤吉郎って!……あ、あの太閤の!……」


「しっ、浩一!!……お前が驚くのもよく分かる……時として、俺達が学んだ歴史の文献は大きく間違っている事もあるって事だ……今は何も言わず、おねちゃんを見守ってやってくれ……」


「わ、分かった…とりあえず、俺の車の中で話を聞こう…あ、申し遅れましたが、淳一の友人で[藤本浩一(ふじもとこういち)]と言います…」


「あははは、よっろしっくねぇ~~♪」


「は…はぁ…」


 互いの自己紹介を終えた俺達は、浩一の愛車を停めているコインパーキングに到着した…のだが…。


「あははは~♪…ここ、人が乗せれる[(いのしし)]がいっぱい居てるねぇ~~♪…浩ちゃんの[(いのしし)]はどの子なのぉ~~?…」


「こ、浩ちゃん?……じゅ、淳一?…あの、おねって人は…いつもあんな風なのか?…で、何で俺の車が猪になってるんだ?…」


「あまり深く考えるな……し、暫くすると…慣れるから……今は好きなようにさせてやってくれ……」


「あ…あぁ…」


 何が何だか分からないまま、浩一はパーキングの清算を済ませ、俺達を自分の車に案内してくれたのだが、ここからまた一苦労な出来事が始まる。


「あ…(あるじ)…ほ、本当に…この…[(いのしし)]の…腹の中に…入るのですか?」


「大丈夫だから、まぁ(かご)に乗るようなもんだよ…心配ないって…」


「あははは~♪…うち、[(いのしし)]に食べられるの初めてぇ~~♪」


「だから食べられたりしませんって!」


「こ、このような狭さでは……もし、(あるじ)に何かあっても……抜刀出来ませぬ……」


「楓さん、この時代は安全なので、絶対(かたな)を抜かないでよ!」


「お、おい!…淳一!…この子、本物の(かたな)を持ってるのか?…ずっと腰に差してた木の棒…あれって木刀じゃなくて、本物の[仕込み刀]か?…それ、マジでヤバいだろ?…」


「だ、大丈夫…絶対、俺が抜刀させないから……はは…」


「おいおい…トンでもない子達をこの時代に連れてきたな……今からパトカーを見たらビクビクしなきゃならなくなったじゃないか…」


「す…すみません……その理由も車の中で説明します……」


 何とか楓さんを(なだ)め、彼女達を後部座席に乗せた俺と浩一は、とりあえず会社の倉庫へと向かう事にした。


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