表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第3章 戦国女子が令和の時代に来るとこうなります!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/152

便利な時代だけど…

「……おね殿(どの)……」


「な、何よ?…」


 少しスネた表情で川を眺めているおねちゃんに楓さんは静かに声をかけた。


「何が原因でおね殿が不快になられたのかは、分かりませんが…私に怒っておられるのなら…謝ります…どうか……許してください……」


「か…(かえで)…………ま………そ……その……う、うちも……年上なのに……あんな態度をとって……悪かったと思ってる………ごめん……」


「…おね殿(どの)…」


「ほっ……さ!…二人が仲直りした御褒美に、今日はこの時代の美味しい物を私がご馳走しますよ♪…絶対に驚くほどの凄い料理ですよ♪」


「えっ♪…ほんと?…たっちゃん♪…この時代の美味しい物ご馳走してくれるの?」


「あ…あの♪…[アイス]なる物も……頂けるのですか?…」


「あ…あれ?…何、この二人の変わりようは?…」


「あははは~♪…[あいす]?…何それぇ~~!」


「アイスとは…氷のように冷たく……とても……甘い菓子……だそうです……」


 どの時代でも女性は食べ物に弱いと見える、まぁこれで二人の仲が良くなれば食事代の出費なんて安いものだ♪。


(て、あ!…俺、今…あまり現金持ってなかった!…出来ればカード支払いはしたくないし……どうする?…あ、そうだ!!)


「おねちゃん、楓さん…ちょっと待っててくださいね…」


 俺は浩一のリュックから自分のスマホを取り出し、我が親友でもある[藤本浩一]に電話をかけた!。


<プルルル~~~……プルルル~~~……プルルル~~~……も、もしもし?…淳一か?…>


「おぉ、浩一!…御無沙汰だな!」


<はぁ?…お前、昨夜倉庫の屋根からバンジーしたのに、何が御無沙汰なんだよ!…もうホームシックになったのか?…それにしても帰って来るの早すぎじゃね?…>


「まぁその変の話は後でするから、すまないが俺達を迎えに来て欲しいんだよ!」


<俺達?…どいう事だ?…>


「それも後で話す!…今、俺達は淀川の河川敷に居るんだ、俺の視界からだと梅田と中津が見えてる、左側に御堂筋線が走ってる…」


<なるほど、江坂側の河川敷だな?…なら、1時間ほど待っててくれ…>


「よろしくな、それと…すまないが20万ほど用立ててくれないか?…色々入用(いりよう)が出来てしまって…」


<あぁ、お安い御用だ♪>


「頼むぜ、親友!!…それと、軽トラじゃなく乗用車で来てくれな!」


<OK!>


(これで足と軍資金の心配は無くなったな♪…後は、ここで浩一の到着を待つだけだな♪)


「ねぇ?…たっちゃん?……ここに戻った時、頭でも打った?…ちゃんと自分の名前覚えてる?…」


 不思議そうにおねちゃんは俺の顔を覗き込む、そんな彼女の視線は可哀想な子を見ているような哀れみをひしひしと溢れ出していた。


「え?…な、何がです?」


「だって、ずっとその手にしている[(いた)]と話してるから…それとも、たっちゃんって…板と話をする癖があるの?」


「え?…あぁ、これはスマホといいまして、この時代ではなくてはならない道具なのです、簡単に説明すると、ここに居ない遠くの人と会話が出来る道具なんです…例えば、おねちゃんが住む長屋からおばちゃんの住んでいる[中村]までわざわざ訪問しなくても、このスマホがあればいつでもおばちゃんと話が出来るのです♪」


「こ、ここに居ない人と、話が出来るの?…」


「えぇ、そうです…」


 俺はおねちゃんにスマホを手渡すと、不思議そうに本体を彼女は眺めていた…無論、その後ろから楓さんも覗いていたのはいうまでもない。


「こんな小さな[(いた)]で…遠くの人と…話せる……さすが、たっちゃんの時代だね…」


(あるじ)…これは…忍びの活動に役立ちます……私の土産は…これがいいです…」


「あ、でも…あの時代ではスマホは使えません…なんていうか…これを管理してくれる大きな道具が無いからです…」


(人工衛星の話をしても間違いなく理解不能だろうし…ん?…あ、そうだ…アレなら今後、戦国時代でも役に立ちそうだ!…それも信長様に献上するか…)


「あははは~♪…うちは、もっと可愛い土産を探すんだぁ~♪…だから、しっかりこの時代の街をうちらに案内してね~♪」


「分かりました♪」


 おねちゃんはスマホを俺に返すと、また静かに淀川の流れを見詰めていた…。


「たっちゃん?…この川…濁ったお茶のような色をしてるね…うちらが飛び込んだ庄内川の水の方がずっと透き通っていて綺麗だよ…さすがに泳ぐ気にもならないな…この川…なんて呼ばれてる川なの?…」


「この川は[淀川(よどがわ)]といいます、あ…ある[関白様]の側室様(そくしつさま)から頂いた名前が由来となっております…」


「ぷぷっ♪…その関白様、おなごを見る目がよほど無いお方なんだね~♪…こんな水の汚い川に、その側室の名前を使うなんて~♪…あははは~♪…その側室も相当顔が汚かったりして~♪…」


(あの…この水の汚れは、時代がそうさせてしまったからで…それに…いずれ…そのお(かた)は、あなたの身内になるのですが…)


「はっ!…となると、関白様は…相当ブサイクな顔のおなごが好きなんだ♪…あははは~♪…変な男だぁ~…となると、正室様(せいしつさま)なんて、見ただけで吹き出してしまうほど顔がブサイクなおなごに違いないね~♪…あははは~♪…一度、そのブサイクな正室様(せいしつさま)の顔も見てみたいもんだ~♪」


(……あの……鏡……貸しましょうか?…)


 そうなのだ…この淀川も、昔はもっと綺麗な水だったはず…沢山の川魚や生き物が生息し、蛍だって飛んでいたに違いない…それに、今の季節なら子供達の水浴び場にもなっていただろう…。


「おねちゃん…これでも以前より、この川の水もかなり綺麗になったのですよ…こんなに川の水を汚したのは、未来の俺達のせいなんです…世の中が便利になればなるほど、自然を壊してしまったのです…川の水もそう、山の動物達も…住処(すみか)を追われていったのです…」


「ど、動物なんて…何も罪は無いじゃない…そ、そんなの可哀想だよ……」


「えぇ…そうですね…でも、それが今…私達が立っている未来の日本の現状なのです……」


 俺は彼女達に便利な世の中になればなるほど、それで起こる悲しい事実がある事を伝えた……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ