戦国美女達を連れて令和に帰ってきました!
俺があの山本さん宅の屋根から転落してまだ二日も経ってはいない…この戦国時代と時間の誤差はあるものの、俺は奇跡的に短期間で多くの人々と出会う事が出来た…そして今…この時代の人間を463年後に連れて行こうとしているのだ。
(…歴史の神は…何も邪魔をして来ないな……この行為も許すのか?…も、もしかして、川に飛び込んだ時に命を奪うつもりでは?…いや、そうなれば歴史から[北政所]は消えてしまう…だから、俺達を見逃しているのか?…)
いったい歴史の神は俺に何をさせたいのか想像も付かないが、今は自分の考えをそのまま遂行するだけである。
「おねちゃん、楓さん、先に私が欄干の上に乗り座って待ってますから、焦らずに来て下さいね…」
「あははは~♪うち、木登りも得意だったから大丈夫だよぉ~~♪」
「…この程度…難なくこなせます…」
俺は浩一のリュックを背負い先に欄干に乗ると、おねちゃん達が来るのを川の水面を見詰め待った。
「よっこらしょ~~♪…あははは、お待たせぇ~~♪」
「…お待たせいたしました……主…」
俺の左側におねちゃん、そして右側に楓さんがそれぞれ欄干の上に座った。
「いいですか、絶対私の手を放さないでくださいね、もし放してしまうと自分の身に何が起きるか分かりませんので……」
俺は彼女達の手をしっかり握り締めた…おねちゃんもこの時とばかりに俺の手を強く握ったのだが、何故か楓さんもギュッと力強く握り返してくれたのは、俺の勘違いだろうか…。
「巽殿!…御武運を!」
「い、いいのぉ~~…巽殿は、楓ちゃんと手を繋げて…いいのぉ~~……」
(この人は…最後の最後までブレない人だ…)
「しっかり聞こえてるよ!…この表六玉!…さ、たっちゃん、もう行こ!」
「は、はい…ではいいですか?…」
俺達は欄干からゆっくりお尻を浮かし、何とかバランスを取りながら立ち上がる!。
「た、たっちゃん…きっと…みんな令和で会えるよね?…」
「お、恐らく…」
「愚問…必ず成功します……」
「あんたには聞いてないっての!」
「喧嘩はダメと言ったでしょ…じゃ!…いきますよ!!」
「あははは~♪…それぇ~~~~~~~!!」
「…ふっ…」
しっかり手を握り、この凸凹三人組は庄内川へと飛び込んだ!…もし、この光景を他人が見たらトンでもなくヤバイ光景に映るだろう…。
(た、頼む!…成功してくれ!!)
♪ドッボォォォォーーーーーーーン!!
…………………
………………
……………
…………
………
(ん……やけに顔が熱い……夏の太陽の陽射しか……それに……周りが騒々しい……おかしいな…確かおねちゃん達と川に飛び込んだのは夜なのに………はっ!!)
俺が慌てて飛び起きると、おねちゃんと楓さんは先に目覚めていたのか、ただ呆然と目の前の景色を直立不動で見詰めていた…。
(こ、ここは…見慣れた風景だぞ……この澱んだ空気…それに車の排気音……か、帰って来れた…)
「や、やりましたね!…おねちゃん、楓さん!!」
「…た、たっちゃん………う、うち……夢見てるわけ…ないよね?……えぃっ!!」
「い、いたた!!…おねちゃん、そんな事は自分の顔で…やってくださいよ…」
左手で俺の頬をつねっても、おねちゃんは口をポカンと開きこの光景に目を奪われていた。
「う、うちら…ほ、本当に…たっちゃんの時代に……き、来ちゃった……これが…未来の日ノ本…」
「えぇ、おねちゃんの時代から463年経った日本です…ようこそ、令和の時代に♪」
「あ、あ…あははは~~♪…凄~~~い!…本当にうちら、たっちゃんの時代に来たんだぁ~♪」
やはり、おねちゃんもあの亭主の嫁なのか、この時代に来ても全くブレる事無く、この光景を興奮しながら眺望していた。
(左側に大きな橋……右方向の先には高速道路が見える……で、正面が大きな川……そっか、ここは淀川の河川敷か!…どうりで見覚えがあると思った!…でも、何で淀川に来たんだ?…まさか、おねちゃんを連れてきたから?…将来身内になる淀君の淀だけに?…)
「あははは~♪…あれってなんだろぅ~~?…細長い祠みたいなやつぅ~~…」
「お、おねちゃん…あまり遠くに行かないでくださいよ!」
「大丈夫ぅ~~~♪…あははは、あっ、何だかこの祠臭う~~~!!」
(だって…それは、簡易の公衆トイレだから…)
今のおねちゃんは、俺が子供の頃に観賞した人気アニメ[○なりのト○○]のワンシーンで、越してきた家の中を探検する妹の行動にそっくりだと感じていた…。
(にしても、さすが楓さんは初めて見る光景でも堂々としているな…さっきからずっと微動だにしていない…さすが大和飛燕流の伝承者と言ったところか…)
「ひっっっ!!…た、たっちゃん!…あ、あの橋に……輪の付いた変な色の[猪]が鳴きながらいっぱい走ってるぅぅーーー!!…あ、危ないから逃げようよ!!」
「え?…あ、あれは[車]という乗り物で…まぁ早く走れる[籠]みたいなものです…」
「く、車?………!!!……ひっ、ひぃぃぃぃぃーーーー!…たっ、たっちゃぁぁーーん!…あ、あの同じ橋に……お、大蛇が唸りながら進んでるーーー!…た、食べられちゃう~~!…」
「お、大蛇?……あ、あれは[電車]という、長い[籠]をつなげて走る乗り物です、一度に多くの人を運べるので、とても便利な乗り物なんですよ♪」
「で、でんしゃ?…へぇ~~~…やっぱ、たっちゃんの時代って凄いんだぁ~~…あははは~♪…次は何が飛び出してくるか楽しみぃ~~♪………て、さっきから楓のやつ、ずっと前を眺めたままだけど…この光景に感動してるのかな?…」
「…恐らくは…自分が未来に来た事を…心静かに、先代の伝承者の方々へ報告しているのでしょう…律儀ですね…楓さんは…」
「そっかな?…うちにはそう見えないけど……」
何かと楓さんに関しては否定的な態度を取るおねちゃんは、ゆっくりと楓さんの背後から忍び寄っていく…。
「お~~い、ブス楓ぇ~~…何ぼぉ~~と、突っ立っているんだよぉ~~♪」
「お、おねちゃん、楓さんの瞑想を邪魔しちゃ……」




