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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第3章 戦国女子が令和の時代に来るとこうなります!

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これってデートだよね?

 信長様との拝謁を済ませた俺達は、また松風の背に楓さんを乗せ帰りの道中をのんびり歩いていた。


「信長様との話しも終わったし、後は上手く令和の時代にみんなで行けるかどうかだけだね…」


「そうですね、くすくす♪」


「か、楓さん?…何がおかしいの?…てか、楓さん…今、笑った!…」


「も、申し訳ありません、(あるじ)…私と信長様の会話を聞いていた(あるじ)の顔を思い出しまして……何やら笑いをこらえているようで…くすっ、それがおかしくて…」


「だ、だって…本当の楓さんを知ってるのは俺だけだし……つい笑いそうに…」


「信長様、[相変わらず愛想の無い語りようじゃの]…て、くすくす♪やっぱり、おかしいですね♪」


「楓さん…」


「あ、(あるじ)!…喉が渇きませんか?…あの先に茶店があります♪…そこでお茶でも?」


「い、いいね!…じゃ、お茶でもしようか…」


 これって俺の時代ではドライブデートに近いのかも知れない…単に車が馬に代わっただけで、今の俺と楓さんの会話は、誰が聞いてもデート中のカップルの会話にしか聞こえないだろう。


(楓さんにはそんな考えなど微塵も浮かんではいないと思うけど…やはり、デートだよな…)


 心を開いてくれた楓さんには嬉しく思うが…何故か、俺の背中にずっとおねちゃんの冷たい殺気が刺さっているのは思い過ごしだろうか?。


「すみません、お茶と団子を二つお願いします!…あ、楓さんは団子でよかった?…草餅もあるみたいだけど…」


「あ、(あるじ)と…同じでいいです……」


「そ、そう?…じゃ、女将さん、それをお願いします!」


 [はいよ、暫くお待ちを…]


 茶屋に到着した俺達は近くの柵に松風の手綱を結び、道沿いに出されていた縁台に楓さんと並んで座った…。


「あの、(あるじ)…こうして、殿方(とのがた)と茶店に来たのは、初めてです…」


「そ、そうなんだ…楓さんの時代では、あまり男の人と、こうして茶を飲んだりしないのかい?」


「…私はこれまで…剣術が生き甲斐でしたので…そのような機会もなかったです…(あるじ)はよくおなごと、こうして並んで茶を飲まれていたのですか?」


「え?…な、無いとは言えないけど…俺の時代って、男も女も平等になっているんだよ、学校…いや、寺子屋(てらこや)のような所で学問を学ぶ時でも、よく男の子も女の子も並んで学んでいたし、ご飯も一緒に食べてたから…」


「そうですか、いい時代なのですね……そんな時代に、私は(あるじ)と行けるのですね♪」


「…楓さん…」


 [さぁさ、お茶と団子、お待ちどうさま…では、ごゆっくり♪…お若い夫婦(めおと)さん!]


「えっ!…い、いや!…お、俺達は!……その…」


「くすくす♪…さ、あなた…お茶ですよ❤…」


「か、楓さん、じょ…冗談もほどほどに……」


 [おやおや、仲の良いこって…ご馳走さん!…ほ、ほ、ほ…]


「いや、あの…女将さん!!…か、楓さ~~~~ん…」


「あ♪…お団子…美味しそうですよ、(あるじ)♪」


 今、俺の前には、あの野党共を冷酷に叩きのめした[大和飛燕流(やまとひえんりゅう)]伝承者、橘楓(たちばなかえで)の面影は微塵もなかった…今、彼女は何処にでも居る普通の女の子になっている…それも、軽い冗談すら言えるほど可愛い女の子に…。


「楓さんて、冗談も言えるんだね……正直、驚いたよ…」


「不思議です、(あるじ)になら、何も気にせず話が出来てしまいます…それはきっと、(あるじ)が、お優しいからです…」


 お団子の串を右手に持ち、俺に優しく微笑む楓さんは、間違いなく恋愛経験など無いはず!…それでも彼女の一つ一つの行動は男心(おとこごころ)を十分にくすぐっていた!。


(いかん!…絶対に楓さんは、おねちゃん達の前ではサイボーグモードになっていてもらわないと、俺の命は風前の灯になってしまうぞ!!それも、おねちゃんだけじゃなく、藤吉郎様の嫉妬まで買ってしまう!)


「あ、あの…楓さん?……お、俺との…約束…覚えてるよね?…」


「え?は、はい…一緒に令和なる時代に行く事ですか?」


「じゃ、じゃなくて……俺の前では…普段の楓さんでいいけど……」


「くす♪…分かっています…皆さんの前では[忍び]の私になっていればいいのですよね?」


「そ、そうそう…よろしく頼むよ!」


「はい♪…でも、私も……おなご…ですから…」


「えっ?」


「いえ、何でもありません…くす♪」


(何でも無い事はないだろーーーー!!…何?…その意味有りげな言葉わぁーーーー!!)


 楓さんがここまで心を開き、冗談まで言ってくれたのはマジで嬉しいが、そんな彼女とおねちゃんを連れて令和に戻る俺は新たな不安材料を追加してしまった気がしていた。


「ここのお団子、美味しいですね♪、(あるじ)♪」


「は、はは…そだね…楓さんは、甘い物が好きなの?」


「え?…うふ♪…そうですね、剣術の鍛錬の後はよく食していましたね…このお団子とか、草餅とか、水あめも舐めていました…果物なら、柿とか、梨も甘くて好きですね…滅多に口に出来ませんでしたが…」


(そうか、この時代は甘い物はまだ高級品だったんだ…)


「じゃ…きっと、令和の時代に行ったら、楓さん驚くよ!」


「そりゃそうでしょうけど…どんな時代かまだ見当もついていませんので…」


「そうじゃないよ、楓さんの好きな甘い物が沢山あるって事だよ♪…ケーキにパフェ、どら焼き、この季節ならアイスもいいね!」


「あ…[愛するもいい?]…あ、(あるじ)…こ、こんな人が往来をしている場所で…な、何を言われるのですか!……そ、それに……も、もっと…その…静かな場所で…い、言うべきものでは?……でも…わ、私には警護のお役もあり…そ、そんな急に打ち明けられても…こ、困ります…」


「え?………えぇーーー!!…ち、違う、違います!!…ア、アイスというのは、氷のようにとても冷たく甘い菓子の事で、この季節にピッタリの食べ物なのですよ!!」


「え?……ぇ……ぁ………ゃ……やだ……わ、私……と、トンでもない勘違いを!………」


 楓さんの頬から耳にかけほんのりと朱色が広がっていく…勘違いは勘違いでも、青春時代の淡い少女のように彼女は恥じらいを露にしていた…。


(こ、ここは男の俺が何か気の効いた言葉を言うべき場面なのだが……な、何を楓さんに言えばいいんだ~!…)


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