これまた困った
「ま、まぁ…母ちゃんもこう言ってるので、言って来い!…おね、しっかり楓ちゃんの操を守ってやるのだぞ!」
まぁ藤吉郎様の考えは同じ男として簡単に読むことが出来る、俺が楓さんへ上手く言い寄り、その流れで俺が彼女に手を付けてしまうのが無性に嫌なのだろう…。
(そんなの絶対有り得ないのに…俺、まだ殺されたくないし、それよりも楓さんではなくて…おねちゃんの事を心配したほうがいいと思うけど…色々な面であの人、令和の時代で何かやらかすと思うから…)
「姉上も気を付けて行って来て下さい!」
「う……うん……ちょ…ちょっと怖いけど……か、楓と一緒だから…おね、頑張る!」
その言葉は完璧に建て前だと俺は理解している、実際彼女の本音を表現するとこうだ!。
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[や♪……やっほーい♪……ちょ…超~嬉しいんですけどぉ~……た、たっちゃんと一緒だから❤…おね、楽しく未来で遊んじゃう~!]
が、正解だ…。
「しかし、巽殿…話は変わるが、この尾張でも間もなく戦が始めるのでは?…と、噂が広がっておる!…そなたに詳しくは聞かぬが、それは間違いではないのだな?」
「えぇ、恐らく今川勢は軍備を整え上洛準備を始めているはずです……ん?…」
この時、俺は重大な事に気が付いた…緊急事態の連続で、この時代の暦を気にしていなかった事もあったが、今日の体感気温だとすでに6月後半が過ぎ、恐らく7月に入っているはず!…それに、畑の田植えも終わっている…。
(おかしい、確か桶狭間の戦いは西暦1560年6月だ…なのに、まだそれほど尾張は騒々しくない…何故だ?)
「と、藤吉郎様…今は何の月ですか?…後、今は永禄三年ですよね?」
「は?何を言っておる、まだ今は永禄二年文月じゃ…」
「え?…永禄二年………文月?……」
(文月…て、事は…七月……そうか…まだ今は西暦1559年の七月…となると、桶狭間の戦いは一年後…そうか…俺は1559年にタイムスリップしたんだ…て事は…実際には463年後の未来から俺はやって来たのか…まぁ、もうそんな細かい事はどうでもいい!…となると…これで十分、令和での準備期間が出来た!)
「藤吉郎様、小一郎様、これからこの永禄の時代と、私が居た令和の時代における刻の誤差について説明を致します…」
こうして俺はこの時代と令和の時代に生じる時間の誤差を説明した…途中、小一郎様は嬉しそうにお得意の電卓を叩き、ボールペンで藤吉郎様やおばちゃんにも分かりやすくメモ帳に図を描きながら丁寧に解説してくれた。
「なるほどのぉ~、巽殿の時代で言う30分が我らの時代では一日になるのか…」
「そうです兄上!…恐らく我らは姉上や巽殿と離れる期間が長く感じるとは思いますが、姉上達はほんの数日しか我らと離れていない事になります!」
「あらまぁ~♪…なら、わしも令和に住みたいのぉ~♪」
「何故です?…母上?」
「だって、そんなに誤差があるなら、わしが老けていくのも遅くなりはしないかと思っての♪」
「は、母上…刻だけの問題なので…お、恐らく人の身体には影響は出ないかと…」
「なんじゃ、残念じゃの…」
「で、藤吉郎様、小一郎様、おばちゃん、私達が令和の時代で3日間を過ごすとなると、この時代に戻るのは150日後くらいになります…その間、随分御迷惑をかけると思いますが、令和時間の3日間だけお時間を頂けますでしょうか?」
「ひゃ、百五十日も…おねと会えぬのか?……そ、それは…ちと…さみしいのぉ~…あぁ~…さみしいのぉ~~♪……」
「何言ってんだい!…うちの場合はたった3日間あんたと会わないだけなんだよ!…ちっとも淋しいなんて思わない時間だよ!」
いや、あの藤吉郎様は本気で淋しがっているとは見えなかった!…どちらかと言えば、妻の束縛から解放される喜びに、心を躍らせる浮気亭主のような口調に聞こえていたからだ。
(…おねちゃんが留守の間、城中の女性にオイタをするつもり満々のようだ…俺でもこの単純な藤吉郎様の反応を見抜けるんだ、きっとおねちゃんも……)
俺はチラリとおねちゃんの姿に視線を向けた…。
「ふひ♪」
(ふひ?…い、今…俺にだけ軽く微笑まなかったか?…て、やはりおねちゃんも、藤吉郎様が他の女性にオイタをする事を完全に見抜いてるんだぁーーー!)
してやられた!…すでにおねちゃんは、小一郎様の解説聞きながらこの策を計画していたのだ!…会えない期間が長ければ長いほど、藤吉郎様の女好きという害虫がウズウズするのを彼女は見抜いていた!。
(まずい、これを理由に誘惑されては、もう逃げ場が無い!…出来るだけ俺は楓さんの側に居るのが安全だろうが、他にも逃げる口実を作っておかなきゃ、でないと…お…俺の人生は……)
何かいい案が浮かばないか自分の頭をフル回転させた時、俺は信長様の命を思い出した!。
(そうだ!…胡蝶様の暑さ対策アイテム!…急ぎ納品しなければいけなかった♪…これだ!)
「あ、あの…藤吉郎様…令和に遠征中、私だけ一瞬ではありますが、この時代へ戻ってきます…何故なら信長様から火急に納品する道具を依頼されましたので!」
「えっ!…で、ではおね達はどうなるのじゃ?…ま、まさか…おね達もすぐ帰らせるつもりか?」
一瞬、もの凄く残念そうな顔をした藤吉郎様を俺は見逃さなかった!。
「いえ、お二人は令和の時代に居る友人の奥方様に面倒をみてもらうつもりです…」
「え?…たっちゃんだけ途中で帰っちゃうの~?げっ、その間…楓と2人きりなのぉ~?」
「心配いりません、私の友[浩一]の奥さんはとても優しい人です、事情を話せばきっと素敵なおもてなしをしてくれますよ♪」
「そ、そうじゃなくてぇ~~……」
これで何とかおねちゃんの誘惑作戦は回避出来るかも知れない…後は…一番の問題児……を、どうにかする番だ…。
「というわけで…楓さんも…おねちゃんと令和の時代で待ってて……」
「否!!…主が戻るのなら、私も戻ります…それが…私の役目…」
「ちょっと!…うちだけ令和に残すつもりかい?」




