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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第2章 これが戦国時代なの?

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おねちゃんはご機嫌斜め!

「ぬぅわに~~~!!…お、おねと…か、楓ちゃんの身体を狙った奴等に襲われたじゃとぉーー!!」


「は、はい…藤吉郎様…でも、楓さんが守ってくれまして…」


 悶絶している野党共の声を背後で聞きながら、俺達は道中一言も会話をせず藤吉郎様の家へ戻って来ていた。


「あんた、今サラッと[楓ちゃん]とか言わなかったかい?」


「ゆ、許せーーん!!今からわしが出向いてその者達の首を()ねてやるわ~~!!」


(あ、また藤吉郎様は話を反らした…)


「木下様……あの者は…生かすよう(あるじ)から(めい)が出ています……」


(あるじ)?…それは、巽殿の事か?」


「はい…それに、あの者達は…今後…耐えがたき苦難に合うでしょう…殺すより、その方が犠牲者も…その家族も…気が晴れます…」


 つい先ほど6人の野党と暴れた疲れを全く見せず、楓さんはおばちゃんから出されたお茶を静かに飲んでいる、そんな楓さんの様子を壁にもたれジッとおねちゃんは腕組をし見詰めていた。


「それにしても兄上、私が知る剣術流派では[一刀流]や[霞流]、[神陰流]などございますが<大和飛燕流>は聞いた事がございません…」


「そうじゃの、わしも初めて聞く流派じゃ…」


「…大和飛燕流は……男子、女子に拘わらず…最初の子に伝承する平安の時代から続く[一子相伝]の剣術……」


「なら、今の伝承者は…楓ちゃんか?」


「おい、表六玉!またサラッと[楓ちゃん]と言ったな?…しっかり聞こえているぞ…」


「はい…私が第六代の伝承者です…」


 以前、楓さんが言っていた[重責]とはこの事を意味していたのだ…しかし、女性が伝承者という事は……いずれ誰かと結ばれなければ、次の代に[大和飛燕流]を引き継がすのは無理なはず…。


(て事は…楓さんに好きな男が出来て→2人でデートして→いずれ結婚して→子供を産み→笑顔が絶えない明るい家庭を造りながらの剣術指導……ま、全く彼女からそのイメージが湧いてこない……)


「さぁさ、物騒な話はここまでにして、お昼ご飯の準備が出来たよ♪おね、配膳を手伝っておくれ…」


「う、うん…」


「では…私は…(あるじ)の馬の世話に……」


「何言ってんだい、楓ちゃん!…ほら、あんたもここでみんなと食事をするんだよ♪」


(あるじ)と…同じ場で食事を取るわけには…いきません……」


「ふん、じゃぁ~好きにすればぁ~~!!…それに松風はうちが世話してんだよ!…余計な事をしないで欲しいもんだ!」


「おねや、楓ちゃんはあんたを守ってくれたんだよ、礼節を忘れてはならん…巽様、この場合は(あるじ)であるあなたが、ちゃんと動かなければなりませんよ…」


「あ、はい…すみません…分かりました…楓さん…いや、楓…今日は私もあなたに命を救われた、その礼として、楓と共に食事がしたい!…それでも(あるじ)の願いを聞き入れる事は出来ないかい?」


 女性の名前を呼び捨てにしたのは高校二年の時に初めて出来た彼女以来だ、まぁ結局受験勉強が切っ掛けで、その彼女とは別れてしまったが…。


(当時は初めて彼女の名前を呼ぶ事が出来て有頂天になっていたが…今は…そんな気持ちになれないよな…ま、相手は無感情のサイボーグ剣士だし…それに……)


 そう、俺はおばちゃんに言われた通り(あるじ)の威厳を出す為、彼女を[(かえで)]と呼んだが、それを聞いたおねちゃんの顔がとても悲しそうになったのを見てしまったからだ…。


「…畏まりました…(あるじ)の命なら…致し(かた)ありません……」


 こうしてかなりギクシャクした昼食会が始まり、ここは[人たらし]の藤吉郎様が、何かと城内で起こった面白い話で場を盛り上げようとしてくれたのだが、この場の空気には勝てず、見事に空振り三振だった…。


(こうなった原因は…全部俺の責任だよな……でも今は…この空気に…耐えられない…)


「ご馳走様でした、あ、あの…私は、少し松風の様子を見てきます…」


 この場合も俺が纏めなければならない事は重々承知していたが、何を話せばいいのか思いつかなかった…ここに来て女性との交流経験が少なかった俺には、それが大きな仇となってしまった。


(情けないな…俺…いい年して女性の扱いもまともに出来ないなんて…)


 馬小屋で松風に餌を与えながら、俺はこれまでの青春時代を少し後悔していた…もっと恋愛経験をしておけば良かったと……。


「なぁ?松風……俺ってさ、この時代で何が出来るんだろ?……へたれで情けなくて、人の気持ちもちゃんと理解出来ない…こんな俺は、ただこの時代をひっかき回しに来ただけなのだろうか?…お前もこんな御主人を持って嫌だろ?…」


 馬の知能はかなり高いと聞いた事があった…松風もそうであるように、俺の暗い雰囲気を察してくれたのか、優しく俺の顔を2回舌で舐めてくれた。


「ありがと、松風…お前は人の気持ちがよく分かるんだな…俺も見習わなきゃな…」


「お、おほん!…巽殿…今、ちくとよいか?」


「藤吉郎様…構いませんよ…何か私に?…」


「う、うむ…実は…男同士2人きりで話しがしたくてな…」


(ゲッ!ま、まさか…藤吉郎様もおねちゃんの事に気が付いたんじゃ!!!)


「な、何の話でしょうか?……」


 どうも藤吉郎様の態度がよそよそしい…俺の額から汗が噴出してくる!心臓の鼓動も早まりだす!。


(ま、待て!落ち着け!俺はおねちゃんに手を触れただけで、他には一切手出しはしていない!キ、キスはしそうになったけど…まだ俺は潔白だ!)


「実はな……おねの事じゃ……」


(やっぱりそう来ましたかーーーー!!!)


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