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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第2章 これが戦国時代なの?

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時代劇には無くてはならない場面…

「か、楓さん!!い、いつから居たんですか?」


「ちっ!」


(あれ?今おねちゃん、舌打ちしなかった?)


「たった今です……(あるじ)がちょうど…おね殿の目に入った虫を見ている時……」


(ほっ、どうやら彼女はおねちゃんの目に虫が入ったと思い込んでいるようだ!それはそれで好都合だけど、まずい!またおねちゃんの機嫌が悪くなってきた…)


「それと…何度も言いますが…あなたは私の(あるじ)、敬語は不要…<楓>と読んでください…」


 人は見かけによらないとはよく言ったもので、見た目は青春アニメのヒロインのようにポニーテールで美人、更に着物に隠されてはいるが、スタイルもかなりいいようだ!…でも…。


(この無感情な性格…これのマイナスポイントはかなりでかい!…絶対この子とデートしても、男が困ってしまうタイプだ…つい「君はサイボーグ?」と、突っ込みたくなる…)


 俺といい雰囲気の時に彼女が現れたからか、怒りを抑えられないおねちゃんは、そっぽを向きじっと川の流れを眺めている…。


「あの、どうしてこの場所に私達が居る事が分かったのですか?」


「おね殿は素足、(あるじ)は草履……道に残る跡から向かった方向が分かります……」


 そういえば森様がこの子は[忍びの心得]もあると言っていた…そのスキルを使って彼女は俺とおねちゃんを探していたのだ!。


「す、凄いですね……はは…」


(あるじ)は物を覚えるのが苦手ですか?……私の伝えた事…もうお忘れですか?…敬語は不要と申しましたが…」


(サイボーグの君には言われたくない…)


「あぁ~~~!!…もう~~~!……あんたさ、自分がつまらないおなごだと理解してないの?」


「お、おねちゃん?…」


 とうとうイライラの限界に達したおねちゃんは、いきなりその場から立ち上がると、右手で楓さんを指差しながら彼女の顔を睨みつけた!。


「つまらない?…おね殿の言葉は…理解出来ません……」


「あのね!本来は[つつましく]、[おしとやか]になって男へ尽くすのがおなごなんだよ!…その為には相手を思いやる心が必要なんだ!…でも、あんたにはそれが無いんだよ!!」


(あ、あのおねちゃん?…あなたも自分の事が理解していないような…)


「意味不明……男に尽くす道など…教わった事は無い……(あるじ)の警護も…ただ森様に命じられただけ…森様から解任の命が下れば、すぐにあなた達の前から消えます……」


「そ、そんな人生で…あんたは本当に幸せなのかい?」


「更に意味不明…剣士が(めい)を受け、それを遂行する忠義…それ以上の幸せはないでしょう…」


「だーーー!…あのな、あんたはお・な・ごなの!…いずれ誰かと夫婦(めおと)になって子を産み、その子を育てるのがおなごの使命なんだよ!!」


「そんな使命…教わった事など一度もありませぬ…それ以上に…私は大きな重責を背負っている…」


 やはり、おねちゃんと楓さんは水と油の関係なのかも知れない…しかし、何処と無くおねちゃんが安心したような表情に見えるのは俺の勘違いなのだろうか?。


(それとも、女の直感で楓さんは恋愛に興味がないと感じたからか?)


 俺も男だし、ちょっとだけ<モテ期>の兆しを期待していた自分が馬鹿のように思えた…。


<おいおい!あの川辺で女同士が男を取り合ってるぜ!>

<けっ!こちとら女(ひでり)が続いているってのによ!…いい御身分じゃねぇか!>

<よう、兄さん!…どっちか一人俺らに回してくれや!!>


(え?な、何?…)


 俺はガラの悪い声の方向に視線を向けると、ずらずらと6人ほどのイカツイ男が土手を下りて来る!…その風貌は完全に時代劇の悪役さんそのものだった!!。


「なぁ~~、色男!…女2人と楽しむのは贅沢と思わねぇか?…」


 リーダー格の男が俺の肩に腕を回し汚い顔を寄せ、臭い息を吐きつけてくる!。


(うっ、臭い!そうか、この時代はまだ歯磨き習慣が無いからか…)


「い、いえ…私は別に…この2人とそんな関係では……」


「なら、2人とも頂いても文句はねぇよな?」


「そ、それは…」


(マ、マジでこの男の息が臭い!!)


 楓さんは確かに強い、しかし俺も日本男子だ!あまり女性の前で情けない姿を晒したくはないのだが、相手は全員刀を腰に差している!で、俺は丸腰…完全に掛け率100対0で俺の敗北は決定的!。


「か、(かしら)!…お、俺はあの年増(としま)より、桃色の着物を着た女がいいな♪」


「はぁ?…誰が年増だって!!」


「お、おねちゃん…」


「俺はあの年増女の着物を剥がしたいけどな~♪…ひひひ!」


「て、事だ!兄さん?…お前も命が欲しいだろ?…ここは素直に女達を渡して、さっさと母ちゃんの居る家に帰るこった♪」


「い、いや…そ、それは……」


「しょうがない……そなたら全員…私が相手しよう…なので、この御仁とおなごには手を出すな…」


「か、楓…さん…」


 これだけの人数が居るのに、楓さんは顔色も変えず悪役さんの前へ出て行く!。


「ほう、上玉の姉ちゃんが俺達の相手をしてくれるのか♪…いいだろう、年増を相手にするよりお姉ちゃんの(ほう)が楽しめるってもんだ♪」


「くっ、こいつら~…絶対、殺す!!」


「年増は黙ってろ!…もうお前は用済みだ♪」


「ひひひ、(かしら)!…さっきの神社の裏にこの娘を連れて行きやしょう♪」


「おぉ、そうするか!…ふふん、当然、最初はわしだからな♪」


「いや…そこまで…行く必要は無い……ここで…そなたらと済ます……」


 楓さんの容姿とスケベ心で悪役さん達は気が付いていないようだが、俺には[仕込み刀]を握る彼女の背中から漂う、阿修羅(あしゅら)のような恐ろしい殺気を感じていた!。


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