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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第2章 これが戦国時代なの?

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俺の救世主

 いきなり欄丸様のパパと出会った俺は何が何だか意味が分からないまま、街道の端にある茶店の縁台に二人で腰をかけ濃い緑茶を飲む事になってしまっていた…。


「先ほどは役目とはいえ失礼いたした、まさかこうもすぐ巽殿と会えるとは、拙者も運が良い♪」


「そ、そんな!私は何も出来ないひ弱な男でございます…」


 とりあえずここは<ひ弱>で<びびり>で情けない男になっておくほうが得策だろうと、ほぼ的中率5%もない俺のセブンセンシズが伝えていた!。


「そう自分を下げるものではない!それにな、何よりも最近の殿はすこぶる機嫌が良いのだ!その理由を欄丸に聞いてみると、摂津から来た巽殿と拝謁したのが切っ掛けらしくてな♪」


「あ、あの?それ以外に欄丸様は何か言われておられましたか?」


「いや、巽殿が何を殿と話しているのかまでは聞こえなかったそうだが、それ以降ずっと殿のご機嫌が良くなったと聞いただけだ!」


 やはり欄丸様は忠義の人だった!実の父親にも真意を伝える事無く、俺と信長様の関係を守ってくれていたのだ!。


(有り難いな♪よし、今度は欄丸様にも何か土産を持ってきてあげよう♪)


「それにな、欄丸は中々友を作れなくてな…身分も身分なだけに、皆も欄丸とは距離を開けておるのじゃ…親としては殿のお側に着けるお役は栄誉じゃが、逆に可哀想だとも思えていてな……それが今日、拙者が城へ赴いた時、欄丸が嬉しそうに[自分にも信頼出来る友が出来ました!]と言うではないか♪」


「そ、それが…私…ですか?…」


「そうじゃ、欄丸の口からはっきりと「私の友の名は巽淳一殿です!」と言いおってな!もうそれを聞いた拙者も嬉しくて嬉しくて、一度巽殿に会ってみたいと思っていたら、正に天のお導きかこうしてすぐ巽殿と出会えたのじゃ♪」


「欄丸様が私の事を友と…」


 ダンディな口髭を蓄え、数々の戦場を勇猛果敢に駆け巡った猛将森可成(もりよしなり)様も普段は子を想う優しい父親なのだと俺は痛感した。


「うむ、これからも是非、欄丸の話し相手になっていただきたい!」


「それは私のほうこそ、喜んで♪」


「かたじけない!しかし、少々気がかりな事もある……」


「それは…何でございましょうか?」


「それは殿の変わりようじゃ、これまでは評定の度に扇子や湯飲みを投げつけ常に苛立っておられたのだが…それが妙な事に七日以上前から殿の不機嫌が治まり、恐れ多くも次の評定では我らに茶と菓子まで振る舞われるようになったのだ!」


「信長様が?」


「いかにも、当然ながらその変貌に疑問を抱いた者もおってな、その者が内密に調べてみると、ちょうど殿がお変わりなる前日、藤吉郎が一人の男を城に入れたと門番から聞き出したそうじゃ!」


「えっ!」


「お(ぬし)の事であろう?巽殿?すでに殿からの命が重臣達に廻っておるので、今更事実を隠さずとも良い…」


 いずれはこうなると想像はしていたが、俺の心の準備が出来上がる前に事が大きくなってしまったからか、俺の未来が凄く恐ろしくなってしまった!。


「それにじゃ、巽殿が乗っておるその芦毛の馬、殿の所有している名馬の一頭<(さざなみ)>で間違いない!」


「え、そ、そんな名馬なんですか!!」


「うむ、その様な名馬を足軽頭の巽殿に与えるとは、殿の巽殿への信頼が大きいという証!だが、それを良しとは思わぬ者もこの先出て来よう……」


 ヤ、ヤバイ!俺はまたしてもこの茶店で失禁しそうになっていく!出る杭だけじゃなく、主君の信頼を得ただけでも嫉妬や憎悪の対象になってしまうのがこの戦国時代なのだ!。


「ど、どうすれば……」


「まぁ殿の命がある以上、表立って巽殿に手を出す輩はおらぬとは思うが…自分の手を汚さず、金を使い他所(よそ)の者を使ってくるやも知れぬ……」


 やはり歴史の神は戦国時代らしいやり方で俺を消そうとしているのではないか?もうすでに恐怖の波に襲われている俺のシッコを貯蔵している膀胱は破裂の極みになろうとしていた!。


「案ずるな巽殿、拙者とて欄丸の友をみすみす見逃す事はせん!何か不安な事が起これば遠慮なく拙者を訪ねて来られよ!」


「も、森様~(涙)あ、ありがとうございますぅ~~…」


 未来の天下人になるとはいえ、まだ藤吉郎様は下級武士!織田家の重臣になるにはもう少し先の事だ…となれば、この事態を避ける為には森様のスネに必死でしがみ付くしか手立ては無い!!。


「だが、この先…巽殿を一人で行動させるわけには…おぉ!そうじゃ、拙者の知人に幼き頃から武芸に秀でた者がおったわ!その者を巽殿の警護に当たらせるとしよう!」


「そ、そのようなお方を私ごときに?」


「巽殿は欄丸の友!子の友を守ってやるのも親の務めでござる!安心いたせ、拙者からの頼みならば喜んでこの役を引き受けてくれるはずじゃ!」


「そ、そんなにお強い方なのですか?」


「おぉ、歳はまだ22じゃが、剣術組み手で20人の相手を叩き伏せた猛者じゃ!そやつなら立派に巽殿を守ってくれるぞ!それに、忍びの心得もあるでな、安心いたせ♪」


「あ、ありがとうございます!!森様!!どうかヨロシクお願い致します!!」


 今、俺の頭の中には三国志で出て来る<張飛(ちょうひ)>や<関羽(かんう)>、婚姻で呉の国に向かう<劉備(りゅうび)>の警護をしていた<超雲(ちょううん)>が格好良く浮かんでいた♪そんな猛者が俺の身を守ってくれる!<おねちゃん>は保険だが警護をしてくれる勇ましい御仁は俺の盾となってくれるのだ!!。


(歴史の神様!疑ってごめんなさい…)


「さて、では明日にでもその者を巽殿の元へ向かわせるとするが、お主の住まいはどこじゃ?」


「はい、今は<中村>にある藤吉郎様の生家でやっかいになっております…」


「あい分かった、では藤吉郎の生家に向かわせるとしよう、巽殿!これからも欄丸と仲良くやってくれよ♪」


「は、ははーーーー!有り難き幸せ!!」


「ははは♪巽殿は面白い男じゃの!では御免!」


 森様が去った後も、俺はまだ縁台でぼぉ~と湯飲みを持ち放心していた…さすがに今回はトランクスの生地がほんのりと濡れていたのは言うまでもない…。


(…ど、どこかの川で洗濯しなきゃな……)


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