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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第2章 これが戦国時代なの?

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信長様からのお呼び

 テレビにパソコン、それにゲームやスマホ…俺の時代では目を酷使する物が目白押しで、いつも<頭痛>とは隣り合わせの生活をしているのだが、あまり目を酷使しなさそうな戦国時代にも<頭痛>がある事を俺は初めて知った。


「さ、おばちゃん、この薬を水と一緒に飲んでください…」


 俺は鎮痛剤を1錠おばちゃんに手渡した。


「こんな豆みたいなのが薬なのかい?」


「はい、私の時代にある薬です、味も無く飲みやすいですよ…」


「おぉ、巽殿の時代にある薬なら安心じゃ♪母ちゃん、早う飲め!!」


「う…うん…」


 おばちゃんは目を閉じたまま、グイッ!と一気に薬を喉に流し込んだ。


「ふぅ~~、ほんに苦味もなく簡単に飲めたぞな……」


「ねぇ?ねぇ?たっちゃん?…本当にあんな豆みたいな薬が頭痛(あたまいた)に効くの?」


「えぇ、おそらく半刻もせぬうちに治まると思いますよ♪」


 とりあえずおばちゃんにはしばらく安静にしてもらい、俺と小一郎様、藤吉郎様は今後の織田家の先を語り合っていた。


「えぇ、まだ信長様には桶狭間と美濃攻略までしか伝えてはいませんが、これから更に織田家は厳しい道のりが待っています…」


「そうか~、わしも巽殿から殿の未来を聞きたいのじゃが、未来が変わってしもうても困る…巽殿、後生でござる、どうかこれからも殿をお守りくだされ!」


「は…はぁ…でも、こんなひ弱な私が信長様を守れるのかどうか…」


<巽殿!!ここに巽淳一殿はおられまするか?>


 家の外から俺を呼ぶ声が聞こえた、その声に反応し先に<おねちゃん>家の外へと出てくれた。


(何だろ?聞いた事もない声だったけど…誰?…欄丸様なら顔に比例した美声だけど、今の声はかなり図太い声だったな…)


「ね、ねぇ?たっちゃん……今、使いの人が来て、至急信長様がたっちゃんに会いたいから清洲城に来るようにって…正装もせずそのままの格好でよいとの事だって…」


「え?今戻って来たのに?」


「おぉ!ならばわしと共に急ぎ殿の元へ向かおうではないか♪」


「それがさ、今回はたっちゃん一人で来るようにと…」


「わ、私一人でですか?」


「わ、わしはお呼びじゃないのか?」


「うん、たっちゃん用の馬も連れてきてるから、それに乗って早く城に来い!だって…」


「う、馬!!」


 まぁそれなりに学生生活をエンジョイしていた俺は、乗馬の経験も無い事は無い!だが、それは旅行先で乗馬体験コースをゆったりパカパカと遊びで体験したくらいだ…。


「な、なんと!足軽頭の身分で馬に乗れるとは!巽殿は相当殿に気に入られているのでござるな♪わしも颯爽と馬に跨り城下町を疾走してみたいものじゃ♪羨ましいのぉ~~…」


「ひ、人事(ひとごと)だと思って……」


「さ、たっちゃん!早く行かないと殿様の逆鱗に触れちゃうよ!」


「は…はい~~…」


 こうして俺はまた浩一のリュックを背負い藤吉郎様達に見守られながら家の外に出た。


(あれ?確かに馬は馬だけど…俺が乗馬したサラブレットよりも随分と小柄だな…ちょっとでかいポニーみたいだ!…あぁ、そう言えばサラブレットって人間が徐々に競馬用に改良していった馬だったっけ?…へぇ~純粋の日本馬は初めて見た!この大きさなら楽勝だな♪)


 人間の植え付けられた記憶とはかなり恐ろしい…映画やドラマでのかっこいいシーンには颯爽と騎馬軍団が現れるのだが、よくよく考えてみると撮影に使われているお馬さんはみんなサラブレットだった…。


(てっきり俺もそんなイメージを抱いていたが、実際この時代はミニサイズのお馬さんだったのね…だが、それがいい!!)


 サラブレッドと日本馬の違いにややショックな気持ちになりながらも、俺はこのちょっとでかいポニーちゃんに<松風(まつかぜ)>と勝手に命名し、あの有名な傾奇者(かぶきもの)さんを真似るようにポニーちゃんを跨いだ♪。


(今度、城下町で煙管(キセル)を買お…)


 不安そうな木下家の皆様に見送られながら、俺は使いの人と共にまた清洲城へとんぼ返りとなった。


(へぇ~、小柄とはいえ結構スピードが出るじゃないか、時速30Kmくらいかな…)


 乗馬体験で教わった騎乗方法を思い出しつつ、やはり馬は歩きよりも便利だと痛感していた。


(それにしても、信長様が急ぎ俺に用って何だろ?…また未来の事を聞きたいのだろうか?…でも、それはあまりに危険だし…ま、会えば分かるか…)


 さすがにポニーちゃんサイズとはいえ馬は速い!これまでの徒歩よりも3倍時間を凝縮し清洲城へ到着してしまった。


(この()欲しいな…でも、足軽頭の身分じゃ無理かな…せっかく<松風>って名前も付けたのに、ここでお別れって残念だな…)


 お馬廻り役の人に<松風>を返した俺は城内で待機していた欄丸様に出迎えられ、またあの蒸し暑い大広間で信長様の登場を待った。


(今度俺専用のネッククーラーを持ってこよ…)


 さすがに3度目となると俺の心にも余裕が出来たのか、この大広間の様子をのんびりと眺めている。


(ここで評定するから対して珍しい物はないけど、ほんのりと<御香>の香りがするのは気分的に落ち着くな…ま、俺の時代でいう<アロマ>的役割か…)


<殿のおな~~~り~~~>


 欄丸様の声が廊下で響くと、俺はパブロフの犬のように自然と頭を垂れ土下座をしていた。


「おぉ、巽!何度も呼び寄せてすまぬ!」


「いえ、信長様の御用命なれば直ちに参ります!」


「そうか、(おもて)を挙げよ!ちと巽に申し付けたき事があるのじゃ!」


「は、何でございましょうか?」


「うむ、もっと近こう寄れ!」


「は、はい…」


 俺は信長様が座っている<一の段>の手前まで正座のまま身体を移動させると、信長様も俺に側に寄ってきた。


(ゴクッ…ま、まさか!いよいよ戦が始まるとかじゃないよな…)


「実はの、巽!よく聞け!!」


「は…はい…」


 俺は身体を緊張させ信長様の表情を確かめていた!。


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