表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第2章 これが戦国時代なの?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/152

帰ってきました、戦国時代!

「ん………んん~~~~~~………はっ!!」


 目が覚めた俺の前にはこれは見事な青空と太陽の光りが俺を照らしていた!。


(あれ?…確か倉庫の屋根から飛んだ時間は夜だったような……それに、爺ちゃんの田舎で嗅いだ事のある草と土の匂いがする…えっ!!…水の流れる音も聞こえる…)


 俺はすぐ飛び起き辺りを見渡すと、目の前には庄内川、そして深夜にダイブ?いや、突き落とされたあの大きな橋があった!。


「よし!!また戦国時代に戻って来たぜ!!…待ってて下さい!藤吉郎様!!今からすぐに……い…いや、ちょっと待て!!」


 俺は一路、藤吉郎様の家へと向かおうとしたが、藤吉郎様の家には<おねちゃん>しか居なかった場合の事を考えた!。


(ま、まさかだとは思うが…俺が<おねちゃん>の御褒美欲しさに帰って来たと思われたらどうしよう!あの時の<おねちゃん>はいつもの<おねちゃん>と違ってたし…)


 俺にとってはまだ一日しか経っていない感覚だが<おねちゃん>にすれば10日以上も心配しながら俺の帰りを待っていた事になる!そんな中、俺が無事帰って来た姿を<おねちゃん>が見たとしたら…。


(き、危険だ!!…<おねちゃん>もそうだが、俺の命も……正直、俺も男だ!…<おねちゃん>の誘惑を退けるほど俺は精神力が強いわけではない!…流れのまま、きっと行く所まで行ってしまう自信がある…いかん、それで俺の命を消す事は断じて出来ない!)


 そんなわけで、俺はちょっとだけ、ちょっとだけ、何度も言うがちょっとだけ後ろ髪を引かれながら、まずは小一郎様とおばちゃんが住む家へと向かう事にした!。


(これからはなるべく<おねちゃん>と2人きりになる事を避けないと…だ、だって俺も男だし…どこまで<おねちゃん>の誘惑に耐えられるか…おっと、そんな事より小一郎様と会う前にこの作業着を着替えなきゃな!…)


 木陰で作業着から浴衣に着替えた俺は、浩一のリュックを背負い小一郎様の家へと歩き始めた。


(やはり下駄より草履を選んで正解だったな♪こんな砂利道じゃ下駄なんて怖くて歩けないぜ!)


 道中何人もの地元の人とすれ違ったが、どちらかと言えば今は俺よりもリュックに目がいっている感じがした。


(珍しい背負い籠だと思っているんだろな…ま、これなら別にいいか♪)


 今回は一人でこの尾張の国を歩いている!なので自分のペースで歩く事が出来ているからか、足の痛みもそれほど感じる事はなかった♪。


(さて、ちょっとそこの石にでも座って休憩するか…)


 途中の小川で水筒に入れた水を飲みながら、俺は初めてゆっくりとこの戦国時代の風景を眺めていた。


(ほんと、住宅もビルも無く、当たり前だが車も信号も無い…昔話で観たまんまの風景だな……畑と小屋と山ばかり……俺はマジで戦国時代にタイムスリップして来たんだな…)


 こんなのどかな風景とは裏腹に、間もなく苛烈な群雄割拠の時代が始まるなんて、俺には全然想像が出来なかった。


(本当に俺はこの時代で何かを成し遂げる事が出来るのだろうか……ただの電気屋なのに…いや、今は考えるのをよそう!まずは木下家の人々に会わなくては!!)


 休憩を終えた俺は、また一本道をひたすら<中村>まで歩き始めた、それにしても俺が住んでいる時代の道に比べれば極めてシンプルで、迷子と言う言葉は不要なほど簡単に<中村>へ辿り着いた。


「さて、小一郎様とおばちゃんは居るかな?」


 俺は気を入れ直すかのようにリュックをしょい直し、藤吉郎様の生家の庭へと入っていく!。


「どこに、小一郎様は…………いっ!!!!…」


 庭に入った瞬間、ちょうど俺の目の前で<おねちゃん>が畑で野菜の収穫をしており、最悪のタイミングで俺は<おねちゃん>と目が合ってしまった!!。


「た……たっちゃん?………たっちゃんだよね?…………」


「は………はは………た、只今戻りました………」


「たっちゃん………たっちゃぁぁーーーーん!!」


(げっ!これは超マズイぞーーーーーー!!!)


 俺はどうする事も出来ず、思い切り<おねちゃん>から熱いハグをされてしまった!!。


「心配してたんだよ!!…どうして(ふみ)一つくれなかったのさ!!」


「いや、そ…それは絶対<あて先不明>で帰ってきますし……あ、あの!こ、こんな所…藤吉郎様に見られたとしたら大変ですよ!!」


「大丈夫だよ!あの人、今清洲城で台所奉行の奉公してる最中だから♪」


(そ、それはや、やばいぞ…俺の胸部に…や、柔らかい物が…当たってるし!…死罪!これで俺は将来100%死罪になるんじゃないのかーー?)


「あ、あの!小一郎様とおばちゃんは御不在ですか?」


「え?奥に居るよ~~♪」


「なら余計にこんな事は!!!」


<巽殿!!……巽殿ではありませんか!!…>


(げっ!益々やばい事になってしまったーーー!!)


 慌てて玄関口から小一郎様が飛び出して来た!もうこれで俺の人生は終わったと心底思った!。


「あ、あの!小一郎様!こ、これは…あの…<おねちゃん>からで……決して私にやましい所はなく!」


「え?…あ、そういう事でしたか!…あはは♪そんな事気になさらないでください、姉上はいつもこうですから!」


「え?でも、藤吉郎様が見たら……私は手打ちに……」


「ははは♪それも心配無用です、兄上はそれほど心が狭いお人ではありませんから!それよりも…巽殿…よくぞ…よくぞ兄上との約束を守っていただき……くっ……ありがとうございます!…うっ……よく御無事に…この木下小一郎…感謝の念に耐えませぬ…うっ……くくっ…」


「ぐすっ、もう!小一郎ちゃん!姉のうちより先に泣くなんて…ぐすっ……いけないんだから!!」


「何を庭で騒いでいるんだい?…!!…おやまぁ!巽様!!…よくご無事で!!ほんによく帰って来てくれました…おばちゃんは嬉しいよ♪」


「た、只今!おばちゃん!」


 俺は命が助かっただけではなく、後の天下人の家族に温かく迎えられた事がたまらなく嬉しかった!。


「さぁさ、そんな庭におらんで、中に入りなされ、巽殿!」


「あ、そうですね…母上!…これは気が付きませんで…さ、どうぞどうぞ!巽殿!!」


「は、はい!」


「あははは~♪今夜はたっちゃんとの再会を祝して宴会だぁ~~!!」


 居間へと招かれた俺は背中にしょっていた浩一のリュックを床に下ろし、バザーですら売れそうにもない汚れた座布団に座った。


「わぁ~~お♪何?何?その布で出来た<籠>?…凄く大きいねぇ~~!それも未来の<しょい籠>なの?」


「あ、これはリュックサックといいます、役目はこの時代と同じく物を入れる<籠>みたいな物です」


「いやはや、巽殿と会う度に驚く物が飛び出してきますなぁ~!あ、姉上、早く巽殿にお茶を!」


「あははは♪そうだった~!ちょっと待っててねぇ~~♪」


 やはり<おねちゃん>は俺と再会できたのがよほど嬉しいのか、ご機嫌で(くりや)に向かい、お茶の準備を始めてくれた。


「で、巽殿?…殿から御所望された<ぺんらいと>の手はずは?」


「えぇ、しっかり私の時代から100本持ってきました!」


「は……はぁぁぁぁ~~~~…良かったぁ~~~…これで兄上も当家も救われまする~~……感謝いたします、巽殿!!」


「そんな、とんでもない!……あ、そうだ!小一郎様、私の時代から何点かお土産も持ってきました!」


<え~~~~~~♪お土産~~~?…何?何?うちの分もあるの~~~?>


<お土産>の言葉を耳にした<おねちゃん>はお盆に湯飲みを乗せたまま、瞳を輝かせ小走りで俺達の元へと戻って来た。


「あ、ありますよ…で、ではまず小一郎様のお土産から!」


「は、母上や姉上よりも、拙者が先でよろしいのですか?……いや、何だか申し訳ござらんな♪」


 座布団に正座したまま小一郎様はウキウキした表情になりながら、何度も両手の平で太ももを摩り俺がリュックを開ける様子を見詰めていた。


「おやおや、小一郎がそんなに楽しそうな姿を見るのは久しぶりじゃのぉ~~…」


「は、母上!巽殿が私に未来のお土産をくれるそうなんです♪」


「おぉ、それは良かったねぇ~!」


「あ、おばちゃんの分もありますので!」


「あらあら、こんなおばちゃんにまで気を使う事ないのに♪」


「トンでもありません!こんなにお世話になっているのに、おばちゃんを忘れるなんて事は私には有り得ませんから!」


 こうして俺は藤吉郎様以外の木下ファミリーに囲まれながら、リュックの中からDVDソフトと同じサイズの小箱を取り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ