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戦国時代の電気屋さん  作者: 朝風清涼
第6章 竹中重治調略

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墨俣築城

「わははは!こうも短い期間で築城してしまうとは、さすが藤吉郎じゃの!」


「いやいや、小六(ころく)蜂須賀(はちすか)衆が我らに味方してくれたからこそ、この城を守れたのじゃ、感謝するぞ♪」


 竹中重治(たけなかしげはる)の調略前の大仕事…それがこの墨俣(すのまた)に築城する事だった、この地に城を築けば美濃の喉元に(やいば)を突き刺したのと同じになる。

 これまで佐久間信盛(さくまもりのぶ)様、柴田様がこの任を受けたのだが、ことごとく斉藤勢の奇襲に合い失敗していた。


「だが、あの怒り心頭の信長の前で、よくお(ぬし)が名乗りをあげれたものじゃな…」


「それも、わしの友、巽殿(どの)と藤本殿(どの)、そして小一郎が前もって事細かく計略を思案し準備をしていてくれたからこそ、わしは名乗りを上げる事が出来たのじゃ♪」


「なるほど、すでに築城の策は出来ておったのか!…お(ぬし)は良い友を持ったの♪…」


「それは小六(ころく)も同じじゃ、わしは良い友に囲まれて幸せじゃ♪これからも、よろしく頼むぞ♪」


 こうしてまた一人[蜂須賀小六(はちすかころく)]が藤吉郎ファミリーに加わった、さすが野武士達を纏める頭領であり、見事な顎鬚を蓄え顔には刀傷が数箇所ある強面(こわもて)の男だが、接してみると礼儀も正しくそれはそれはさっぱりとした性格で、俺や浩一も短期間で彼と打ち解ける事が出来ていた。


「しかし、お(ぬし)の弟は中々の策士じゃな!…まさか別の場所で木柵や大まかな部材を準備しておったとは、見事な築城技術を持っておるものじゃ♪」


「いや、それらを組み立てるのに、お(ぬし)らが獅子奮迅してくれたから成功したのじゃ♪」


 俺達の時代によく見る分譲住宅も、殆どが施工会社の工場で部材を製作し、それを現場で組み立てるプレハブ工法を採用している、この工法はマイホームの夢がある浩一が小一郎様に伝授し、彼がパソコンで設計図を作成し、その図面の通りに木材職人を使い部材を加工させていたのだ。


「にしても、藤吉郎…一つ理解出来ぬ事があるのじゃ…斉藤勢がこの敷地に押し寄せた時、木柵の前にある鉄線に騎馬が触れたと同時に、何故馬は倒れたり立ち止まったりしたのじゃ?…まぁその陰で斉藤の騎馬軍は柵の突破が出来なくて助かったのじゃが…」


「それは私が答えましょう!」


「ほう、藤本殿(どの)が?」


「あれは田畑を荒らす猪や鹿などの侵入を防ぐ電気柵というもので、なんと言いますか…あの鉄線に触れるといきなり全身が弾けるように痛いのです、蜂須賀(はちすか)様も経験があると思いますが、寒くて唇が乾く日などは、金属に触ると指にバチッ!と痛みが出ませんか?」


「お、おぉ…あれは敵わぬの…わしはあれが大嫌いじゃ…」


 浩一は静電気の発生条件から始まり、あの電気柵の仕組みを蜂須賀(はちすか)様に講義した、俺ではあれほど上手く説明は出来ないが、後ろで聞いていた藤吉郎様もウンウンと頭を頷かせ納得しているのだから、浩一の講義は完璧なのだろう。


「なるほどのぉ~、南蛮にはこんな電気を作る道具まであるとは…にしても、その鉄線のお陰で何頭かの馬を手に入れる事が出来たのじゃ♪いい戦利品となった!」


 しばらくすると、墨俣築城の報を受けた信長様が本隊を率いここに到着した!。


「猿!やはりわしの目に狂いは無かったの、巽、藤本、小六、よう猿を支えてくれた!…皆、大儀である!…これよりこの城は、わし自ら直轄とする!」


「は、ははぁ~~~~~~~…」(藤吉郎一同)


「さぁ、今宵はそなたらが主役じゃ!大いに飲み騒ぐがよい♪…すぐに酒宴の準備をさせるとしよう、わはははーー!」


 久しぶりに信長様の高らかに笑う姿を見た…これまでの歴史では、この墨俣城の築城はまだ先になるはずだったが、こんな俺達の行動も歴史の神は見逃してくれた!。

 恐らくは、あの電気柵のお陰で斉藤勢の騎馬隊が総崩れになり、各兵たちも戦意を失い退却してくれた事によって、犠牲者も僅かの数で済んだのが評価されたのかも知れない…。


「何をしておる、猿!…はよう、わしを城内に案内いたさぬか!…わははは~~~!」


「は、ははっ♪」


 これで藤吉郎様も織田家の重臣として格上げになるのは決まっただろう、残るはあの[今孔明(いまこうめい)]と呼ばれている竹中重治(たけなかしげはる)の調略のみ……。

 しかし、まだこの段階ではあの男の事については未知数が多い、俺達が授業や小説などで学んだ竹中半兵衛が史実と違う可能性もある…。


(まずは…(かえで)さんからの報告を待つしかないか…)


 以前、織田軍はあの男の策に完敗している…確か、十面埋伏陣じゅうめんまいふくのじんだったか…簡単に言えば伏兵を隠しておき、後ろから敵の虚を突き全方位から襲う兵法なのだが、それを見事にやってのけた彼の若い才に惚れ込んだ信長様は、恨みどころか、どうしても竹中重治(たけなかしげはる)を家臣として迎えたくなったのだ!。


(結果、あの勝利が原因で今の斉藤龍興をここまで堕落させていったのだが…)


「おい、どうした?淳一、また先の事を考えてるのか?…それより早く酒宴会場に向かおうじゃないか!明日からの事は朝日が出て考えればいい、今は今日の勝利を存分に味わおうじゃないか♪」


「すまんな、どうしても経営者の癖が抜けなくて…つい先の事を深く考えてしまう…そうだな、浩一の言う通り、今日は二日酔いになるまで飲むか♪」


「おう、今日はめでたい日だ、存分に飲んでおねさんに迷惑をかけるとしよう♪」


「はは、それを想像すると酔えないな…」


 その日の夜は珍しく信長様もノンアルではなく本物の酒を飲み、恐れ多い事に俺達にまで酌をしてくれるほど上機嫌だった!。

 ただ、宴もたけなわになった辺りで、かなり酔った藤吉郎様の裸踊りを見た俺と浩一は…数分後、胃の中にあった酒を全てリバースしてしまうほどの超グロい[藤吉郎セクシーダンス]に苦しむ事となったのは予想外だった!。


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